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隼人との関係


ぐだぐたと隼人のお説教が続く。ここで反抗したり反省の色を見せていないと更にお説教が長くなってしまうので大人しくしていた。

「だからな、俺は早く帰れって言ったよな?こんな暗くなる前に帰れって言ったよな?おれはもう帰ってるものだと思ってたんだぞ。もしお前に何かあってたら……。」そう言った隼人から本当に心配しているという気持ちが伝わってきたので、素直に「ごめんなさい。」と謝った。


「はぁー……。明日からはなるべく早く帰ること、わかったな?もしなにかあるなら俺を呼べ。これくらいの時間だったら部活帰りだし迎えに行く」


「で、でも……それは隼人に悪いよ

「一人で早く帰ることもできないやつに拒否権なし」と言われ素直に隼人の提案に頷いた。


そして、ぽんっと頭の上に手をのせられ、二人並んで歩いて帰った。







隼人とはいわゆる幼馴染みだ。いつのまにか目の前の家に住んでいて、いつのまにか仲良くなっていた。

中学校では冷やかす奴等もいたからあまりずっと一緒というわけにはいかなかったが、親の帰りが遅い私とずっと一緒にいてくれた。


お互い好きという気持ちはない。

ないと思ってる。

私には好きっていう気持ちなんかわからないし、そのことも隼人は知ってる。

隼人に好きな人がいるのかどうかはわからないけど、彼女がいるっていう話は最近聞かない。

でも、すごくモテるみたい。優しいし顔もまぁまぁいいし、身長も高いしで。モテる要素をほとんど持っててときどき友達に羨ましがられているみたいだ。

隼人に彼女ができたらどうなるんだろう……。




そんなことをぼーっとぐるぐると考えていたら、ボコボコボコっと溺れそうになり、やばいと思ったときにはもう遅い。

水をいっぱい飲んでしまっていた。ゲホゲホ咳き込みながら、隼人に彼女できたら私も彼氏作ろうと結論を出した。






翌朝、「おーす」という声がし、隼人が玄関の前に立っていた。

「!?!?!?!?」声にならない。隼人はケラケラ笑っている。

「んもう!驚かさないでよ!心臓とまっちゃうよ!」

トンと隼人の胸の辺りを軽く殴る。


「ははっ、わりぃわりぃ。昨日の今日だしな。一緒に行って見張ろうと思って」と笑いながら隼人は言った。


「見張るってなによ~。悪いことなんて何もしないわよ。でも、久しぶりに一緒に行くね。花の水やりも一緒にしてよね?」と聞くと嫌そうな顔をしながらも「わかったよ」と言ってくれた。



まだ誰もいないいつもの時間。隼人と二人で花に水をあげる。


「これ、なんていう花?」


「ん?あー、それはねシクラメンって言うの。種をまいて増やすんだけど球根もできて面白いんだよ~」

ふーん、と興味のなさそうな返事が返ってきた。




伊豆もこんな話には興味ないのかな?と伊豆のことを考えてしまっていた。昨日はあんまり会えてないから会いたいなとか考えてしまう。会ったばかりなのに、なんでこんなに会いたくなるんだろう。

おじいちゃんみたいなお父さんみたいなところがあるからかな?柚子が可愛いからかも知れない。


昨日のやり取りを思いだし、ふふっと笑ってしまって慌てて口を隠した。

いけないいけない、今は授業中だ。変な人に見られてしまう。ところで、昨日の出雲さんと伊豆ってどういう関係なんだろう。花嫁とか言ってたから恋人ではないよね……?


気になるなぁ。今日も行っていいかな?それとも毎日行くのはだめかなぁと、伊豆のことを考えているとぱしっと頭をはたかれた。


「おーい、授業終わったよ?ちゃんとノートとった?」と顔を覗き込みながら友達の花ちゃんに聞かれた。


「わぁ!びっくりしたぁ~。もう授業終わったの!?やばい!ノートとってない!花ちゃん見せて!」と言うと、仕方ないなぁ~と言いながらノートを見せてくれた。


急いでノートを写していると「美景ちゃんの幼馴染みくんはモテるね~」と急に花ちゃんが言い出した。

「うーん、そうだね~。」と生返事をしたら「ねえ、本当に付き合ってないの?」と質問がとんできた。


ぶはっと吹き出しそうになるのをこらえて「ないないないないない。隼人と付き合ってたら今ごろ血祭りだよ……」


「ふーん?隼人くんはモテるもんね~。好きって気持ちは?」


「それもないかなぁ、私にはよくわかんない気持ちだね」と言うと頭をわしゃわしゃされた。


「可愛い可愛い。お願いだから美景ちゃんはそのままでいてね」と謎の言葉を残し、花ちゃんは席に戻っていった。







放課後、伊豆のところへ行こうか迷っていると


「おい、美景。今日はもう真っ直ぐ帰れよ?」と隼人が釘を刺してきた。


「わかってるよ~。心配しなくても真っ直ぐ帰る!」


「いや、心配だよ。俺も今日は帰ろうかな、腹へったし。」


「一人で帰れるよ~。」全く心配症なんだから。と言ったのだが、隼人は帰ることに決めたらしい。

行きも二人で、帰りも二人で。これは隼人のファンに見られたらやばいのでは……!?という危機感を感じながらも二人で並んで帰った。













スッ。

「あれは美景……と?誰じゃ?美景は彼氏でもいたかの?」



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