大平原の全身タイツ
世界のほぼ中心に位置し、永世中立を守ってきた国・アレンキア。
ペガサスやユニコーン、エルフにドワーフといった
およそファンタジーでは ありがちな存在が、多く現存している事で知られ
アレンキアの城下町から 一歩出れば広がる「アレンキア平原」を行けば
この大陸ならではの幻想的な動物とも触れ合える
自然との調和に重きを置く国。
その「アレンキア平原」をひたすら走る男がいる。
全身茶色のタイツ姿
顔は 赤と茶色の2色のペンキで、サル面を表現しているつもりだろうか?
とりあえず、いや、どう考えても不審者である。
『うおおおおおおおおおお』
もの凄い絶叫とともに草原を走り回る不審者
どうやら何者かに追われているらしい・・・
男の後ろを見てみると・・・
背後から迫るは「ハンターウルフ」
ひと度「動くモノ」を発見すると
とにかく執拗に追い回す性質を持ったオオカミで
当然、肉食・・・
不審者からすれば「捕まったら喰われる」という危険極まりない相手だった。
『ぐおおおおおおお・・・・すっ・・・スピードあーーーっぷ!!』
オオカミというだけあって
高い敏捷性を誇るハンターウルフの追跡
その追跡を、素早さが上がる魔法を使い 何とかやり過ごしている不審者
とにかく逃げて 逃げて 逃げまくった結果・・・
『おい!そこのエテ公! 左側におもいっきし避けな!!』と
たまたま通りかかった剣士風の男から
救いの手と やや悪態と思しき言葉を頂いた。
必死に走る 不審者 は
とにかく その声に従い左側へ転がる様に
というか足がもつれて大回転しながら左サイドへ・・・
ハンターウルフも、さらなる追跡を行うべく 進路変更を試みようとしたのだが
突如 目の前に現れた竜巻に巻き込まれ
大きな岩の向こう側へ吹っ飛ばされた事で、視界から不審者が消え
その追跡するという習性の呪縛から開放され 平原の彼方へ消えていった。
『た・・・助かったぁ~』
ヘナヘナと、その場に崩れ落ちる不審者
そんな彼の前に 現れたのは、蒼髪の剣士。
これが不審者こと「情報屋・ジル フラッド」が
蒼髪の剣士「マイン スランバート」と再会した瞬間だった。