昆虫図鑑
子供のころ見ていた『昆虫図鑑』が出てきた。
カラー図解に各昆虫の生態、擬態だの寄生だの共生だのの解説ページと子供向けにがっちりした型紙でできた装丁は埃にまみれた今なおしっかりとした手触りを伝えてきてくれる。
懐かしくなってパラリとめくると一面に広がるパンティの図解。
え?! パンティ?!
慌てて閉じる。
不思議そうに妻が俺の横顔、鼻面を見る。
おれの開き切った瞳孔も、背中が妙に伸びて歯をむき出しにして焦る姿も彼女から見てさぞ不思議だったろう。
おちつけ。今のページは蝶の図解だ。
そして開く。
パタパタと閃く。もというごめくパンティとブラジャー。何故に3D?!
というか生パンティのあの匂いというにはほめ言葉な臭いが一瞬したぞ。こんなことに4D導入しなくていいから?!流石に見開きページに20人分の生パンティの香りは破壊的だったようで妻が鼻を押さえ、『なんかすごい異臭がしたけど?!』とか叫んでいる。
「押入れにそんな変なにおいのモノがあるとは思えんけど」
整理していたが、出てくるのは俺たちの品や『親父』の趣味の品々ばかりだ。『魚介類』の図鑑を見つけた俺は同じく開いてみたが。
「くさいくさいくさいくさい?!」
今、凄まじいトラウマ画像が。
一億人分のマテGUYさんとアワビさんがヒクリヒクリと蠢いて、走行や跳躍に合わせて動く図解とか実際の膨張の様子だの、激しく『食べる』画像とか。
『動物』を見つけた。
即座に閉じた。人間その他のケモノな姿なんて見たくはないだろ? そう言うことだ。
「こんなものを見つけたわよ」
妻が持ってきたのは『地球』だった。
今では俺たちの子供は100億人いる。
俺の名前はアダム。
妻の名前はイブ。
俺たちはその後、楽園を追放された。




