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短編集。『五分間の奇跡』  作者: 鴉野 兄貴


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ばか

 ばかについて語る。


 筆者は所謂知的障害者をよく見ている。

 色々意見はあるだろうが素直にまず聴いてほしい。


 職場の前で性器を露出していたり、珍奇な歌を大声で歌いながら歩いたりの奇行。誰もいないのに楽しそうに誰かと会話している姿。

 筆者の母校は知的障害者を普通学校の普通クラスに通わせる教育方針を取っていた。

 こういうことを書くとなろう規約に反するかも知れないが障害者で在日韓国人と被差別部落の両親を持つ生徒もいた。彼は人格者で優しく、強くてガタイが良くて勉強家でカッコよかった。多くの人間は彼にはなれないのは解る。だが彼はある意味エリートだった。

 実際、アカ教師どもも格好の旗印にしていたがそれ以前に彼の性格や能力は素晴らしかったのだ。


 しかし殆どの子は知能云々の話以前の事となる。


『生きる事すら出来ない』


 作者が小学校を卒業する前に死んだ子がいる。

 巨大な手を振り回して頭にヘッドギアをつけ、愛嬌よくふりまく子だったと思う。

 別の子と記憶が混同しているかもしれない。



 子供が残酷だということを理想主義に嵌った大人は気づく事は無い。障害者の為の学校がある。しかしこの学校を卒業した場合就ける職が限られる。例として挙げれば盲学校ならほぼ確実に鍼灸の道に進む。

 そういうことでわざわざ県外から転校してまでうちのアカ学校に入学してきた子が少なからずいた。

 こういった子は世話好きの子供たちと一部教師がサポートする。子供は思いのほか仲間を思いやる。弱いものを労わる心がある。大人より利害を超えた行動を取ることすらある。


 しかし。

 言っちゃ悪いが筆者は苛めっ子たちが彼等を苛めるのを止めたこともあるし、苛めっ子たちに焚き付けられて彼らをブレーンバスターでぶっとばし、頭をスープレックスでコンクリート壁に叩きつけた事もある。

 即ち子供と言うモノはそういう物だ。その場の気分で動く。


 本題に戻って彼らは『バカ』だったのだろうか。

 確かに知性は低く見えるかも知れない。


 そもそも普通の人間と彼等は意思伝達出来ない。

 職場の前を往復する謎の友達と楽しそうに会話する知的障害者の『子供』。年齢的には筆者より年上と推察できる彼を見れば多くの人間がそう判断するだろう。彼と意思伝達は出来ないと。


 ダウン症の子供が産まれる前に堕胎する技術が発達している。議論の余地が大いにあるかもしれないが筆者はこの事前診断で我が子がダウン症と解ったら即座にその子を捨てるであろう。お前は子供好きじゃなかったのか。



 普通の子供すら筆者は育てる能力が無い。

 経済的にも人格的にも筆者には子供を育てる資格がないことはこの事実から解る。


 彼等は概念の世界にいるわけではなく、現実にこの世に生まれ、存在し、何事か解らぬ台詞を吐いている。

 多くは配偶者に恵まれる事は無いがそれは筆者とて同じだ。例外的に長子は家督を継ぐためによその国から配偶者を『買ってくる』例も知っている。


 精神的、肉体的問わず、たまに『変な子』が産まれるのは生物として必然だと思う。何処のバカが石を削って鏃を作ろうと考えるだろうか。石は石でしかない。常人の発想ではない。少なくとも他の獣は殆ど考えない。何処のバカが火のついた枝を拾おうとするだろうか。ましてやその枝で更に火を他のものにつけて焼いた肉を食おうと考えるだろうか。


 所謂『賢い人間』はこういったことは考えない。


 異端視された生物は容赦なく群れから排除されるからだ。群れが維持できなくなる。猿でも狼でもそうだがそうやって排除された獣は多くは死を迎える。

 自分で何でもやらなければいけないからだがたまに生き残るよくわからん個体も出現する。



 翻して人間を生物の群れと見ると、彼等知的障害者は間違いなく人間と言う種の多様性に貢献している。

 参考までに言うと狼から犬は発生したが遺伝子的多様性は狼のほうが多い。犬の遺伝子は尖っているというか、人間に求められた個体の子孫だけが生き残っている。犬種はいっぱいあるけど『犬』でしかないそうだ。


 そして犬は生物として見ると人間とセットしていないと『ヤバい』生き物だ。飛べないカイコガはさておき、人間の手を離れるとフナになる金魚よりある意味脆いかもしれない。


 人間が考える『知的障害』は人間の学問などの認知によって考え出された概念で、獣は持っていない。

 群れに害悪なら放逐されるだけだ。

 人間は社会的地位などと言うワケの解らない概念その他によってこういった子供が配偶者を得る事もある。獣でもあると思うが。


 筆者の職場前で意味不明の唄を歌う人。

 筆者には見えぬ誰かと大声で楽しそうに会話する子。

 こういった人々は筆者の目には他の人が言う『バカ』とは映っていない。彼等には言語で表現できない何らかの手段で世界を見ている。筆者が言語や文字で世界を表そうとするならば、彼等は頭の中に浮かぶ映像で、音で、歌で、匂いで世界を表す。愚昧なる筆者にわかることは兎に角彼らはそれを言語で表現していないだけである。



 そりゃ糞尿を垂れ流したり性器を人前で露出することもある。筆者も小学生時代巨体を持つ同性の知的障害者に強引にキスされたことあるし。

 性衝動の類も全く理性の概念が無い事も解っている。

 テレビで『天使』として描かれる知的障害者はこんなもんである。


 天使? 獣だ獣。


 しかし。

 彼等は筆者が見てきた如何なる人物より『賢い』。


 規約だのなんだのは多くの子は解らない。

 社会生活そのものが困難というか殆どの子供は寿命そのものが短い印象がある。

 イデオロギーだの民族だの社会制度から来た差別制度の名残だので騒ぐのは大概彼等ではない。

 将来を語ったり出来る子は少ない。

 そういうことが出来るのはある種の社会性を得ている。人様を旗印にしようとか愚劣な事は考えないかもしれない。単純に彼らが見えているモノは他にニンゲンには解らないだけだ。


 そもそも感性が違う。解り合えない事が多い。

 映像を言葉にするのは難しく、言葉で映像を構築するのは難しい。PCはコンピュータの言葉を映像に出来るがそれだって人間の脳には劣るだろう。

 彼等の世界は推測するしかないが、我々はそれを行う能力がほぼ欠損している。



 我々は本能を否定する行動を取ることが多い。

 賢いとされる人ほど一度はイデオロギーだの宗教だの思想だのに嵌るし、趣味や楽しいと思ったことを損得抜きで行ったり出来る。確かにそれは『賢い』行動だが愚行でもある。


 では賢いという行動はなんだろうか。本当の賢者とは何だろうか。

 イデオロギーだの思想だのは人間社会がよりよくあるために生み出された道具にしか過ぎないと実体験で人は知る。

 さながら厨二病を罹患りかんした後に悶える女子高生のように。

 逆に言えば厨二病を罹患した後に元に戻った子供は罹患せずに済んだ子より人生経験が豊富と考えることも出来なくはない。

 厨二病は娯楽を得る手段ではあるが人生ではない。


 日本の首脳は民主主義で選出されるが、さして失策も無い有能な宰相に税金を駆使して漢字テストを行い、引きずり降ろして日本の利益は考えないが人類の利益(ただし彼が考える世界限定)を考える東大卒の宇宙人を宰相にした。どう考えてもバカは彼ではない。彼を選んだ日本国民全てだ。



 昔の日本は頭おかしいと言われるよくわからない驚異的な追い上げで三等農業国から世界最強の国家に喧嘩をうるよくわからない国になったが、いざ負けたら国民は全ての責任からさっさと遁走している。

 取り敢えず民主主義と言う概念を真面目に考えたら意味不明だが人間というか生き物の行動としては理に適っている。



 筆者はいつも思う。

 筆者の職場前で楽しそうに一人会話している彼の脳の中こそが真実の世界で、筆者は彼の妄想が生み出した存在でしかないのではと。


 一般的な『賢い』人間はかしこくもなんともない。『小賢しい』だけだ。


 素直に我らの見えない世界を見ている人間のほうが世界をよく見ているのではないかと。


 思想やニュースに振り回される我々はそれが正しいかを確信する材料を驚くほど持っていない事に気付くが彼らは筆者よりシンプルにものを見ることが出来るような気がする。たとえこの世界が誰かの幻想でも『だから?』と言ってのけ、笑っていそうなものを感じる。


 さて。

 ここまで語ったところで面白い話を紹介しよう。

 程度の低い嘘つきについての考察だ。



 悪態をつくことが見事に自己紹介になる。

 その悪態を万人に聞いてもらわなければ自己の尊厳や存在を維持することすら出来ない。

 主張の内容を逆にすればだいたい事実となる。

 程度の低い嘘つきほど正直者にして愚か者はいない。

 つまり筆者の事である。


 読者諸兄は筆者のような愚か者ではないと確信している。願わくば弱者を労わる心を、弱者を虐げる心と同じく大事に持ってほしいと思いつつ筆を置くことにする。


 弱者を労わる心だけを生物は持っていない。

 そんなことすら人間は眼を逸らそうとする。

 実に愚行だ。獣すら労わりながら虐げる。

 醜い行動はとりたくないとか言うが獣はそんなことは考えないと思う。


 筆者は明日になっても飯も食わずに何かを書いているのだろう。これこそ『愚行』の限りだ。

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