おしえてくれよ
この本面白いぞ。
電車のつり革を握りながら奴はそう言ってきた。
「貸してくれよ」
「図書館行けばあるんじゃないか」
わざわざ足を運んでやったのにその本は面白くなかった。俺はゲームして寝た。
「茶道やお花って面白いな」
「オカマかよ」
奴はそこで知り合った若くて綺麗な女と結婚した。俺は相変わらず風俗に通っている。昨日は盛大なハズレを引いた。
「ジム最近行ってるんだ。バレエ教室とかやっていて、面白いぜ」
「金払ってまでして疲れる意味が解らん。カネ使うだけじゃないか。あとバレエ? お前が? えんがちょ」
最近身体が重い。パチンコも負けた。煙草代も値上がりしている。
「最近大学の講義をネットで見たり出来るので今更はまってさ。学習証明ももらえる」
「アホか。卒業証書もらえないじゃないか」
この歳になって大学かよ。
この本面白いよな。
奴の持ってくる本が面白かった試しはない。しかし。
「ええ? 国からこれだけ幇助もらえたりするのか?」
「昔から言っているのだが」
ため息をつくやつの態度にむかつく。
しかし彼は貴重な友人であるので頼み込んでやる。
「そういう事は教えてくれよ」
奴はこう抜かした。
「毎回教えてやっても『お前の紹介したモノなんてつまらない』っていつも言って確かめもしなかったじゃないか」




