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短編集。『五分間の奇跡』  作者: 鴉野 兄貴


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世界破壊スイッチ

「世界中の核兵器爆発、火山噴火。プレート大地震を同時に起こす素敵なスイッチ」


 ネットオークションで手に入れたそのスイッチの価格は100円。


 押せば世界は滅びます。

 絶対に押さないで下さい。絶対に。

『世界破壊スイッチ 100円から。在庫五つ』


 インターネットのオークションサイトで俺はその商品を見つけた。クク○ス・ド○ンのザ○のようなネタ商品なのだろか。


 みると誰かが既に四つも買っていた。

 履歴を見る限り100円のままで落札されている。

 酔狂な奴もいるものだ。


 とりあえずそれを買った。

 買った瞬間に手元にそのスイッチがあった。


 幻だと思ったが、自らの掌の感触は幻覚とは思えず。


『購入ありがとうございました』


 気づかぬうちに出品者「かみ」からのメッセージも届いていた。



「これ、ホンモノなのかなぁ」


 押せば世界が滅ぶ。

 どうみてもバードカウンターをいじったようなしょうもない見た目のスイッチだが。


『押すな』


 大きく書かれている。



 押すなと言われたら押したくなるだろう。

 どうしてこんなもんを。


 押せば。滅ぶかぁ。

 一応、身内はいる。

 家族は。まぁ健在だ。


 説明書を読む。

 押すと世界中の核兵器と火山が一斉に爆発し、全地域で大地震が起きる。そんないい加減な説明しかない。


「信じろってほうが」


 馬鹿らしい。

 しかし、押してみたい気も否定できない。

 俺がこの世界の生殺与奪権を握っている。

 そう思うと、ゾクゾクする愉しみがある。


「これが、権力者の手に渡ったら世界制服も可能だろうな」


 押したら死ぬぞ。皆死ぬぞ。押すな。押すなよ。な武器だが。

「振られたら。押すとか」

 笑う。

 職場に来るあの綺麗なお姉さんに告白して。振られたら試す。悪くないアイデアだ。



「明日。試してみようかな」


 結局。押さなかったが。

 いや、告白なんてするわけない。

 振られたら職場に通い難いし。


「銀行強盗をして『押すぞ』とか」


 妄想をするのは愉しい。

 しかしそれを警察の人々が信じるかは別問題。


 結局。押すことはない。そんなこんなで俺はこの『百円』の買い物を手に、ニコニコ笑いながら仕事をすることになる。



 今日もつまらなく。明日もつまらなく。されど明後日もつまらない。


「こんにちは」


 あのお客さんが声をかけてきた。


「いつも、御利用ありがとうございます」


 俺は彼女に頭を下げる。



「すみません。先日は傘を貸していただき」

「あれ、置き傘で誰も取りに来ないものですから。それに日傘ですし」


 俺は彼女とたわいの無い雑談を楽しむ。


「これはお礼の気持ちです」

「あはは。どっちかというとデートのほうが嬉しいな」


 冗談を言うと、彼女の頬が赤くなる。

 え。もしや?!


「いい。ですよ」


 冗談だったのに?! やったぁ!!



 俺はスイッチをおいて彼女との待ち合わせの場所に急ぐ。


 あのスイッチを買ったほかの四人はどんな奴だったのだろう。



 俺の部屋で、猫たちのお気に入りのオモチャとして遊ばれているあのスイッチ。

 世界は猫一匹。

 そして世界の誰か四人の手に握られている。


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