天の川で水着デートを
暑い。暑い。
暑い!
そうだ!
今年は水着でデートしよう!
暑い。
彼と待ち合わせるのは実に一年ぶりになる。
今年も下界は蒸し暑く、下は雨模様。
天の川は増水し、鵲の車が私を乗せて飛んでくれる予定。
「お、織姫様ッ?! 破廉恥なっ?!」
私の装束を見て鵲たちは騒ぎ出した。
この日の為に鍛え磨いた体に手入れ済みのお肌。
今年最新流行の水着姿の私に彼らは目のやり場に困っているらしい。
「だって暑いじゃないッ たまにはいいでしょッ」
彼も一年ぶりで色々楽しみにしているはずだもん。
暑い。
マジ暑いって。あり得ないって。
「よし。今年はふんどしで行く。フラれても構わん!」
「彦星様ナニを考えていらっしゃるのですか」
「ナニを考えているに決まっているだろ!」
「彦星様。このお話は全年齢です」
「む。すまん」
仕事もせずに毎日いちゃつく俺たちに文句を言う天の神はバカップルとして年に一回しかデートを認めない。しかし俺たちは夫婦なんだぞっ?! 大人なんだからそれくらい。
「仕事はしましょうよ。彦星様」
「牛に叱られるとは。俺もどうかしている」
「天の川は今年も増水か」
「いつもいつも増水の季節の最も雨の降る日に設定しますよね。嫌味ですよね」
「下界では毎年晴れない晴れないと言われるしな。俺らの所為じゃないよなぁ」
「『リア充氏ね』と下界からメールが」
「捨て置け」
「彦星様! 大変です!」「織姫様! 大変です!」
騒ぐ牛たちに驚き、下界を見るとあやしい弾丸が放たれ、雨雲を消し飛ばしていくのが見えた。
「なんだアレ」
「天候制御弾頭だそうで」
なんとまぁ強引な。一応デートには影響ないのだが知らないやつらが増えたらしい。まぁいいが。
俺は星より輝く美しい妻に手を伸ばす。
「久しぶり。織姫。また綺麗になったね」
「彦星。浮気してなかった?」
「するか」
ぼくらは唇を寄せ合い、水着を纏って天の川で泳ぎ、はしゃぎ合う。
「七夕の伝統を何だと思っている!」
天界の長老のコメントに「勝手に新婚夫婦の営みを邪魔していまだ伝統扱いでギャアギャアいう老害乙」「馬に蹴られて死ね」「むしろ鵲ならぬ鵜に狩られて飛べ」と天界ネットが炎上したのは別のお話。




