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短いお話(あらすじも200文字)
お父さん。私達結婚します。
真っ赤に染めた頬で娘はつぶやく。
その日が来たなと僕は思う。
パパと結婚するとか言って聞かなかった娘も人を愛し、人に愛され、人を守り育てる人になるんだと思うと感慨を隠せない。
お父さん。娘さんを僕にくださいと言った彼の肩をたたく。
自らの腕は少し痩せ衰え、ぼくの指先には皺が、肌には血管が浮いている。
老いるのは悪いことではないと思う。
何故なら君たちに出会えたから。
贈る言葉を綴って。
筆を走らせPCを起動して言葉を練るもしっくりしない。
二人で嗅いだ花の香りの記憶もおぼろげでしっくりこない。
初めて握った君のてのひらの温もりははっきり覚えているけどその感動を文章にできない。
君がうちに来てくれて僕の生活は大きく変わった。
妻に余計なことを言った。
俺の子か? 喧嘩になったのを覚えている。
君が結婚すると僕に告げた時、ああ来る時が来たと感じた。
今日はてのひらの温もりを彼に譲る日だ。おめでとう。




