謎スキル『ブラ●モリ』で世界最強
なんか散歩するだけで感心されるスキルに目覚めた。
「この地形がかっこいいですよね」
どうでもいい。
「いやほんとすごいよ! これマンガンだもん!」
「こっちは鉄だな」
「こっちはレアアースだよ!」
GO天号を作る必要は私にはない。勝手にやってくれ。
とりあえずいこう。ヴィルガスト(※犬)。
「あ、アーサー先生だ!」
「かっこいい!」
子供たちがあいさつしてくれる。
「あれがショーンベンパッパ先生か」
それは昔話だ。大学に勤めていたころは黒歴史なので忘れてくれ。
何? 青年よ。『犬を何故いつも連れているのか』だって? 逆に問おう。犬のいない人生は楽しいかね?
「すごい!」
「先生かっこいい!」
「犬がすごいのさ。肩書もなにも関係なく、ただ主人を見つめてくれる」
人生に不幸なことや困難なことはいっぱいあるけど、それらはじつのところ大したことがない。墓場までは持っていけないしいつか皆が忘れる程度のことだとそれらを列記していればわかる。これは犬が教えてくれたのだ。
「すごい!」
「はんぱない!」
ちなみにこのスキル。同じ時間に散歩しないと発動しない。
寒風摩擦とか健康に気を配る必要もある。
正直、眠い。(ぐー)
「先生が! 先生が立ってる!」
「ク●ラに勃起った! すごいぞ先生」
クウ●って誰だね?! あと私はそこまでお盛んじゃない! 最後の恋愛は……四〇代だったか。今では黒歴史だ。
「先生! それは機械化して無限増殖できるスゲー奴です!」
「……そんな性癖はない。ティーンに告白した黒歴史はあるが今では独身主義だ」
「先生は真面目だ! すごい!」
いや、ほんと過去の黒歴史を無視してでも褒めるのは勘弁してほしい。なんとかしてくれヴィル。
「だって先生は偉大ですから!」(キラキラ)
そういえば訳のわからないチートを得る前から君はそんな感じだったな。私は君を尊敬するぞ。
「先生!」
「なんだねヴィル」
岩をこーパカーンとわってみてくれって? 私を何だと。できるがやってどうするというのだね。何? レアメタルを取り出すのに必要と。それはやぶさかではない。人が産まれるのは間違いかもしれない。だが生まれた命は尊ぶべきだ。富を得ても砂漠に水を灌ぐようなものだが、日々を楽しく生きることは私も否定しまい。
……なんかめっちゃ喜ばれた。よかったな。報酬? いらんよ。あ、でも新作の本は買え。本の売り上げにチートは役立たないらしい。意味ない。そのままパン屋に立ち寄って二代目のパンを買う。なんかライ麦のラスクをお勧めされた。うむ。この歯ごたえに加えてドライフルーツのうま味。亡くなった先代もきっと褒めてくれるはずだよ。こら、泣くな泣くな。先に私が地獄だか天国に行ったら息子の成長を必ず伝えよう。
いつものレストランに行くとみんなが私たちの食べるものに注目しているがいつもの料理である。ヴィルは『たまにはいろいろ食べるほうが栄養バランスはいいですよ』と忠言してくれる。弟子としての能力的には同じヴィルでもフリードのほうが上だろうが、私は彼を尊敬しているのでたまには忠言に従うことにする。なぜなら。
「先生の為に新メニュー作ったのです! 絶対食べてください!」
そんなキラキラの目で見られても困る。店主よ。私が同じものしか食べない事を存じているだろう。……いただきます。
「先生が食べた!」
「先生が食べた!」
「俺も喰うぞ!」
「号外! 号外! 先生が新メニュー試食!」
真面目に勘弁してほしいぞ。
このチート能力など私の人生には不要なものだ。
だが、私の本ほどではないが「ここ、いい鉱物眠っているぞ」「この薬を作ればきっと助かる」「ここの街にこのようなものがある」それなりに研究に役立っているし、街のひとには好評らしい。私が望まぬ力でも幸せを周りに作っているならば、私も満足したい。
※1 お気に入りユーザーさんの新着小説を空目しただけである。よって鴉野はショーぺンハウアーを講談社まんが学術文庫でしか知らない。
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