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短編集。『五分間の奇跡』  作者: 鴉野 兄貴


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わたみん☆世間はオニばかり

 ブラック企業と政府がコラボ☆


 ※ この物語はフィクションです。

「突然ですが、あなたは10月3日、日本国の若者が血潮を流して財源を守ろうと奮闘している年金を利用し、大阪府N市のパチンコ店にて散財を行いましたよね」


 はぁ? その老婆に彼は告げた。


「年金不正利用罪で逮捕します」


 突如現れた黒服の男達が靴のままズカズカと入り込み、脅える老婆の両腕を掴む。手早くガスコンロを切って水電気ガスの始末をつけた男たちは鍵をかけて部屋を出た。

 老婆は『さっさと歩け』と丁寧に杖を持たされあるいは背中を押してもらい、もしくは抱っこしてもらいながら会場に運ばれる。そこには。


「何言っているんだ?! 年金を払って戻してもらっているだけだ!」


「年金でパチンコしてなにが悪い。トータル黒字だ!」

「トータル黒字来た~! いい年して家計簿付けていないやつ。草生えるわぁぁ」


「ワシ、競馬してナニがわるいの」

「私もだ。馬肉になる馬さんを助けているのに」


「生活保護を受けて自分で好きに使ってナニが悪い!」



 騒ぐ老人やその他の人々に職員はニコニコ。

「ええ。年金は皆様のお金で支えられていますが、現在の労働者によって支えられています。

 貴方たちが払ったお金をそのまま適用すると『一部の方』がもらえなくなりますし、それを維持するために国民やそうでない方々の皆様の多大な運動と血が流れたことを私たちは理解しています」


 その笑みが一気に変わる。


「ですが」


 鼻は大きく膨らみ、瞳が吊り上がったかとおもうとその頬は憤怒の赤に染まった。

「年金を、生活保護を維持しているのは現在労働している我々だ。貴様らに利用法の指示を行う権利は我々にある」


 彼は、彼女は、彼らは老人たちに告げた。



 『わた☆みん』。

 居酒屋チェーンであり、社長は国会議員を勤める。

 『24時間365日社員は休みなく会社の為に感謝して働け』を是とするこの社。

 相次ぐ正社員の心労死、過労死、無駄な雇用費用にあえぐこととなり、同社は政府と組んで不正受給者狩りに乗り出した。詳しいことは割愛するが受給分を働くまでは帰宅できず、財産も没収するという。



「孫に何か買ってやりたい?! 働いて言えッ」


「廃棄弁当の現物支給に抗議する?! 働いて稼いでいる若者の立場になれっ」


 教官達の鞭が飛ぶ。こんな居酒屋、ちっともくつろげない。


「あ。しまった。風呂で放置していたら溺死しいてたぜ。

 ち。しかたねえ。『介護中に病死』っと……何を見ている?!」


 弁当配送、デイケアサービスも万全である。元手はタダ同然。


「死んだ老人たちの余った年金を活用して年金の財源とする」

「流石です。総理」


 教官たちは知らない。若者の雇用を確保するために定年が来年50歳に下げられることを。すぐに自分たちも鞭打たれ、死ぬまでタダ働きさせられる立場になるということを。渡る世間はオニばかりだ。長生きするものじゃない。



「と、言う夢を見たんじゃ」

「お爺さん。面白いですよ」


 老夫婦は軒先で茶を飲みながら腕を組み、口づけを交わした。


「心臓麻痺をおこしそうだ」

「ふふ。おじいさんったら」

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