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短編集。『五分間の奇跡』  作者: 鴉野 兄貴


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ゴミはごみや

 ある日のことです。


 私はいつものように目覚めて鼻を少しぐちゅぐちゅさせ、かゆみをとって目やにを取り払い、お家から出て。


 何故かお家を壊そうとする不審なお兄さんに出逢いました。


 箒で殴ってしまったのは良い思い出です。


『ゴミだと思った。今日は粗大ごみの日だもの』



 當間トーマさんとの出会いを私は一生忘れないと思います。


 私は見ました。

 気炎を吐き続ける鋼鉄の巨大な車を。

 私は覚えています。忘れません。


 馬もないのに力強く大地を疾走し、街中の汚物をためらいも無く拾っていく彼が、汚物にまみれながらも、こともあろうに笑顔を浮かべていたことを。


「どうして汚いものを拾うのですか」

「俺は街をキレイにするのが仕事なんだが」



 ごみを拾う浮浪者は確かにいます。多くは私物にするためですが盗賊ギルドの人がある程度管理して意外とお金になるモノを換金してくれたりするそうですが。


「街をキレイにする仕事。ですか」


 そういう発想は初めて聞きました。


「というか、個々何処? GPSにも出ないし」

「じーぴーえす?」


 色々話してみても頓珍漢な返答ばかり。外国の人でしょうか。

「こんなにゴミだらけじゃ車が走らない」

 そういってためらいも無く汚物を拾い、道を広げていくトーマさん。


「どうしてそんなことをされるのですか」

「だから、今日は粗大ごみの日で、俺は朝から車に乗ってゴミ回収に出かけた筈なんだが」


 トーマさんはさっと『車』に乗ると馬も無しに鋼鉄の車をやすやすと動かします。どなたかが後ろから押しているのかと思いましたが違うようです。凄い戦車ですね。


「町が綺麗になると病気も無くなるし、みんな笑顔になると思う」


 そんなこと考えたことも無かったのですが。



「ごみ処分場は何処?」


 ある日問われた私は、ごみ処分場なる場所がないと悩む彼の為に『火球』を用いて全てを消し去ってさしあげました。その時の彼の喜びようったら!

「これは凄い! 手伝ってくれ!」

 良く分からないうちに私は彼のお仕事を手伝う羽目になっちゃったのです。


 彼と一緒にごみを川から浚い、街中の汚物を取っていく過程で莫迦にされたこともあります。正気を疑われたこともあります。


 それでも、私たちはやり抜きました。

 そして今の街はピカピカです。


 私たちは本日、国王陛下の御前にいます。


 水を綺麗にし、街をきれいにし、人々が花を植えて明るく笑う街になった。

 病気が根絶され、治安が良くなったと。

 ボロボロの『ゴミ回収車』に彼はその勲章をつけました。


 彼は今日、元の世界に戻るそうです。

 出来たら、私も連れて行ってほしいのです。

 彼の住まうべき国。彼の故郷ニッポンに。

 ファンタジー×現代の仕事をファンタジー世界の人側から。

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