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風の国の物語  作者: たくぼあき


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2/5

ライズ


風の国のライズ王子は、赤ん坊の時に叔父に風の国の国王である父を暗殺され、更に彼自身も命を狙われたため、母と共に追っ手を逃れて風の国の各地を転々としながら成長した。


父なきのちの風の国の王位は叔父によって簒奪され、王妃アマリエも王太子のライズも廃位されて王族の特権をも失ってしまう。


父の居城だった空中宮殿も広大な領土も武力でもってほとんど叔父のものにされてしまい、元王妃と王子はわずかな直轄地以外を失ってしまった。


そこでさえいつ攻め落とされるか分からない。


今味方をしてくれる豪族たちも誰がいつどこで裏切るか分からない。


そんな、怒りと悲しみと不安の中、疑心暗鬼になりかねない日々をアマリエは赤子のライズを育てながら必死で数少ない味方たちに支えられながら過ごす。


アマリエ元王妃の実家は風の国で有数の大豪族であり、国王と娘のアマリエの間に生まれたライズ王子の外戚としてすぐに母子を保護して新国王派閥と激しく争うのだが、アマリエの妹がバルの妃になっていることからまさにこちらでも骨肉の争いとなっている。


更に国王の地位を手に入れたバル王は、アマリエとライズを風の国の平穏を乱す、自身の権力を揺るがす存在の反逆者と認定し、王の命令により追討命令まで下されてしまった。


もっとも人々に慕われていた先代国王を弑逆した謀反人とみて、バルに対しての反感を持つものや圧政に対する反対勢力も多かった。


しかしながらその軍事力に恐れをなして恭順してしまう豪族もあり、まさに国を二分する争いが続いた。


か弱い若き元王妃と幼いライズに味方する勢力と現国王派とそこから長く王位継承戦争が続く。


ライズは、バル王の差し向ける軍勢に追われつつ、国内の支援者や味方の領地を転々とする落ち着かない幼少期を過ごす。


しかし、彼には強く賢い母のアマリエが常にそばにいて愛情深く見守ってくれていた。

そして本当に突然愛する夫の命を理不尽に奪われたライズの母には、嘆いている暇はなかった。


戦って勝たなければ息子の王位の正当性どころか命さえ危なかったのである。


夫が暗殺された当時のアマリエは息子のライズを出産したばかりで王宮を離れた自身の離宮で過ごしていた。


そこへ、信用のおける伝令が空中宮殿で何かただならぬ騒ぎが起きた事を伝えてきた。


更に次には夫が義弟のバルに殺害された事を伝えられる。


その軍隊が王妃の離宮に攻め込む直前夫の忠臣であるムラサメという武将がかけつけ間一髪で救出して王妃の直轄地で安全と思われる所にまで王妃と忘形見を落ち延びさせてくれたのだった。


アマリエは、その功績に報い、ムラサメを将軍とし、また息子の撫育官も命じて王妃として、母として、突然の暴挙に及んだ夫の弟を糾弾し、また自分達に味方する豪族たちを集め軍備を整え、その軍勢の先頭に立って息子の王位継承の正当性を主張して元義弟の軍隊と戦いに明け暮れた。


そして、ライズが戦いしか知らない王子になってはならないという教育的配慮からライズと小姓達を風の国の中で比較的平穏で学術施設が多いテトクエという小都市に遊学させたところ、事件が起きた。

その都市が敵方に急襲されライズ王子は更に隣国の水の国に緊急脱出する羽目となってしまう。


水の国の王家が人道的に受け入れてくれなければ今度こそライズの命はなかったかもしれない。

とにかくまだまだ若いくせに波乱の人生を歩んできた王子、それが風の国のライズ、なのである。

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