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5 ~父と兄の平和な日常っ~

初ブクマ、ありがとうございます。


 夏のある日の朝。


「おはようございます、父様、母様。」


「おはよう。」


「おはよう、フレデリック。 今朝は少し早いわね?」


「はい。今日は早番で書類の整理調査がありまして。」


「そう、したら早くに朝食済ませなくてわね?」


「はい。おねがいします。 ありがとう、母様。」


「どうだ?フレデリック。 仕事には慣れてきたか?」


「はい。最近は先輩方に良くして貰えて、書類の整理やチェックの仕方もだいぶ慣れてきました。」


「そうか。 ならば良い。」



フレデリックは王立学園の文官コースを卒業後、領内の役所に就職が決まり、まだ見習いだが文官の仕事に就いている。


「母様。では、行ってまいります。」


「気をつけてね。 いってらっしゃい。」


「お兄さま、いってらっしゃぁい。」


「ああ。」


片田舎に邸がある為、フレデリックは職場である役所へは乗馬にて向かう。


「私もそろそろ行かねばな。」


「そうね、もうそんな時間ですものね。」


「今朝は少し見回りをしてから向かおうかと思う。」


「そう、あなたも大変ねぇ。」


「ああ。」


父アルバートは領主の下で文官をしているが、農家の取り纏め役の仕事も兼ねている為、出勤時に時々領内の自分の管轄している農地を見て回るのだ。


「では、行ってくる。」


「はい。気を付けて下さいね。」


「うむ。」


「お父さま、いってらっしゃい。」


「ああ。いい子で待ってるんだぞ?」


「はぁい。」



邸を出て暫く。 農地を見て回るアルバート。途中、畑仕事に勤しむ農民たちと会話を交わす。


「毎日ご苦労様です。」


「見回りご苦労様です、アルバート様。」


「近頃はどうですか?見たところ、順調のようですが。何か被害など、出てはいませんか?」


「ええ。 おかげさまで今年も順調で御座います。」



領内の農地は作物の出来も良く、動物や魔物に荒らされるなどのトラブルもさほど起きない平和な環境にある。

夏も終わりに近づいているが、今朝も特に何事もなく見回りも済ませ、領主の下へと向かうのだった。



~~~~~~~~~~


「よっ、おはよう。 お疲れさん。」


「あっ、ブライトンさん、おはよう御座います。」


「どうだ、頼んでおいた書類、見つかったかな?」


「はい、こちらで宜しいですか?」


「おお、これで大丈夫だ。 いつもすまないね。この調子で頼むよ。」


フレデリックは普段通り仕事をこなしてゆく。


「お疲れっ、フレッド。」


「あ、お疲れ様です、シュミット先輩。」


「仕事は順調か?」


「はい、おかげさまで。」


「そうか。 じゃあ、ここらで休憩しようや?」


「はいっ。」


と、こちらもいつものように仕事の時間は過ぎて行くのだった。



~~~~~~~~~~


「アルバート君」


「はい、お呼びでしょうか?」


「うむ。最近はどうかね。 農地の状態や農民からの要望やらは大丈夫かね。」


「はっ。近頃は特に問題なく順調のようです。」


「そうか。では今後もよろしく頼むよ。」


「はっ!」


領主に呼ばれ、最近の様子を尋ねられるアルバート。

まあ、平和な環境の地であるので、こちらも特にかわることなく平穏な日々である。



~~~~~~~~~~


カッポ カッポ カッポ・・・


「父様。」


「おお。フレデリック、今日はもう帰りか?」


「はい。仕事も順調なので、今日は終わりです。」


「そうか。私も今帰るところだ。 たまには一緒に帰るか?」


「そうですね、では帰りましょう。」


職場は違う場所だが、どうやら帰る途中で一緒になった様子。そのまま二人は家路へと向かう。


「ただいま。」

「ただいま帰りました。」


「おかえりなさい。 あら、今日は一緒なのね?」


「ええ、たまたま一緒になりました。」


「お父さま、お兄さま、おかえりなさ~い。」


「おお、ミリアーナ。ただいま。今日もおとなしくしていたか?」

「もぅ、お父さまっ? いつもちゃんとおとなしくしていますぅ。」


「とか言って、今日もいたずらして遊んでたんじゃないのか?」

「もぉっ! お兄さままでっ!」


「まぁまぁ。 今日はちゃんとおとなしく中でお勉強してたのよね?」


「そうよ~ 私、今日はちゃぁんと勉強頑張ってたんだから。」


「そうだな。来年はミリアーナも学校へ通うのだしな。きちんと勉強しておかないとな?」


「うん! 私、お兄さまと同じ学校に入るんだからっ。」


「そうかそうか。ならば、なおさらしっかり勉強するんだぞ?」


「は~い。」


来春はミリアーナも学校へ入る年。

この国では11歳になる年から4年間、義務教育として学校へ通うのだ。

ミリアーナが通いたいと言っている学校、王都にある王立学園は、各領内にある学校と違い入学試験がある。

また、通うのには少し遠く、馬車で丸1日かかるので下宿か寮生活となるのだが、それでも兄が卒業した同じ学園へ入学したいというのだった。

もう入学まで半年もないので、試験に備え毎日コツコツと勉強をするミリアーナなのであった。



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