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45 ~魔道具師になるぞっ!  クラスが変?~

お待たせしました。更新再開です。

今回から第3章、魔道具師科編に入ります。


副題変更しました。

前→~前世の知識で今日も頑張るっ~

今回から→~前世の知識はありますが転生特典がないので、魔道具師になる為に一から勉強頑張りますっ!~


 もうすぐ4月。

春休みもあと数日で終わる。


王都も春らしい空気に包まれ、窓辺から入る風も心地よい朝。

イザベラもソフィアも帰省から戻ってきており、いつも通りの毎日が始まっている。



「はぁ・・、もう春休みも終わりじゃんっ。 時間経つの早いなぁ・・。」


「新学期になれば魔道具師科の生徒になれるではないですか。」


「うん、そうなんだけどねぇ・・」


「何かしたんです?」


「うん・・。なんかさ、その、ね。」


「そんなに三人別々になるのが嫌なのですか?」


「うん・・。」


「まだそんなこと言ってるんです? クラスがバラバラでも、同じ寮に住んでるんだし、授業だってたまには一緒になるじゃないですかぁ。」


「いや、そうなんだけれどさ。」


「私は新学期から商学科に入れるの、すごく楽しみですよ? だって、自分が勉強したかった事をやっと学べるんですから。」


「そうですね。(わたくし)もこれから士官への道に入れると思うと、気が引き締まる思いです。」


「二人とも凄いなぁ・・。」


「もう、何を言ってるんですかぁ。一年前のミリアーナさんならきっとこう言ってますよ?『うんっ♪ だって新学期から、ついに魔道具師科の生徒なんだよっ? もうっ、楽しみなんだもん♪』って。」


「ふふっ、そうですね、きっとそのように言っているかと。」


ソフィアとイザベラは笑いながらそう言うと、食後のお茶を勧めてきた。


「だからほら、いつまでもそんな顔してないで、いつものミリアーナさんらしくして下さいよぉ。」


「うん・・。  だよねっ。」


新学期を前になんとなく気が重くなっていたが、二人に励まされ、気持ちを新たにしてみようと思うミリアーナだ。


~~~~~~~~~~~~~~~


そして新学期が始まる。


今朝も王都の街中から、人々の活気ある騒めきが聞こえてくる。

イザベラはいつも通り窓辺でお茶をしながら早朝の雰囲気を楽しんでいる。


「おはよう、イザベラさん。今日から新学期だね。」


「おはよう、ミリアーナさん。 そうですね。今日からまた新しく始まりますね。」


ミリアーナは着替えて準備を済ませると、今日から帯剣しているイザベラと共に食堂へと降りる。


「ソフィアさん、おはよ~っ。」


「あ、おはよっ、ミリアーナさん、イザベラさん。」


「おはよう、ソフィアさん。」


「さぁ、今日から新学期ですねぇ。 お~、イザベラさんは今日から帯剣してるんですね?」


「ええ、今日からは士官科の学生ですから。」


「イザベラさん、やっぱりカッコイイよね。  さっ、早く朝ごはん食べて学園に行こっ?」


すっかり元の調子に戻ったミリアーナを見て、ソフィアとイザベラは微笑むのだった。



いつも通り三人で学園へと向かい、門を潜る。

学園の前庭を見渡すが、なんとなく生徒の数が少なく、少し寂しい感じがする。

それもそのはず、入学式前なので新入生の姿がまだないからだ。


とりあえず、掲示板を見る為に校舎入り口に向かうミリアーナ達。

既に生徒達が集まり、掲示板を見て騒いでいる。


「あっ、俺、今度からこの教室なのか。」「俺はこっちの教室か。」

   「私の教室、一番奥なんだ・・」「私は階段のすぐ隣の教室だ~」



「どれどれ・・お~、私の教室、商学科は一番奥の大きい教室ですねぇ。」


「私の教室は・・、一番手前のようですね。」


「ん~・・・私はどこだぁ?  あ、隣の校舎だ・・」


「魔道具師科、鍛冶師科、錬金術師科、薬師治療師科は隣の校舎なんですねぇ。」


「うぅ・・二人と別じゃん・・」


「きっと実習をする関係なのでしょうね。」


「なるほどぉ、だから実習棟のすぐ隣の校舎なんですね。良かったじゃないですかぁ、ミリアーナさん。きっと沢山実習出来るんですよ。」


「なるほど、だから士官科は訓練棟が近い此方側なのですね。」


「商学科は人が多いし座学ばかりだからそこなのかぁ・・」


何やらソフィアとイザベラだけが状況に納得しているようで、ミリアーナだけついて行けてない様子。


「じゃぁ、場所も判りましたし、早速向かいましょうかぁ。」


「そうですね、ではのちほど、お昼にお会いしましょう。」


(んっ?! あ、あれっ?  私、置いてかれてるっ??)


「じゃあ、イザベラさん、ミリアーナさん、またお昼に会いましょうねぇ~。」


「んっ、あ、うんっ。 またあとでねっ。」

(うぅ・・なんだか置いてかれたような気がする・・)


ソフィアとイザベラは自分の教室を確認出来たので、一言言うと早速移動をしていった。


(はぁ・・仕方ない、移動するか・・・。)


一人残されたミリアーナも、自分の教室の位置を確認し、隣の校舎へと歩き出した。




(ん~と。 ここであってるよね?)


普段見慣れない場所にある魔道具師科の教室。

一年生の時にも実習がある時に前を通った事があるはずなのだが、普段来ない場所なので見慣れる事はない。


(ん、中に入ってみよう。)


魔道具師科の教室は大きさ的には今まで居た教室とそれほど変わらないようだ。

しかし、入ってみると既に何人も生徒がいて、談笑している。


「おはようございまーす。」


先にいる生徒達の一人、灰茶色の髪をした男子生徒がこちらを見ると近付いてきて、何かを話して来た。


「やあ、君、新二年生かな?」


「あ、はい。そうですけど。」


「ようこそ、魔道具師科へ。 歓迎するよ。」


「はい??」


「ああ、そうか、そうだよね。新しく入ってくると不思議に見えるかな。 ここ魔道具師科はね、二年から上の生徒全員が所属しているんだよ。」


「はあ。  え?」


「うん、だからね、ここは先輩後輩みんなで使う教室なんだよ。 まあ、ここだけでなく、隣の錬金術とか鍛冶とかもだけどね。」


「はい。」


今までいた校舎の隣、ここの校舎には魔道具師科、鍛冶師科、錬金術師科、薬師治療師科が入っているが、その全ての科が二年生から上の全ての生徒が共用で使う校舎となっている。

理由は簡単。

単に科の生徒数が他の科よりかなり少ないからだ。

ちなみに魔道具師科を選んだ新二年生は十人ほど。

毎年似たような人数しか希望者が居ないので、二年生から四年生までの全員が同じ教室に所属しているのだ。

つまり、全員でも三十名居るか居ないか。

たまに高等科の魔道具専攻の人が訪れるらしいが。


「まあ、そういう事なんで宜しく。 あ、えっと、僕はここの科のクラスマスターをしている四年のレオナール・ヴィアディック。 宜しくね。」


「あっ、私は新二年のミリアーナ・ウィルヴィレッジです。 宜しくお願いしますっ。」


「ミリアーナ君ね。宜しく。 まあ、あとで先生が来たら色々説明とかしてくれるから、大丈夫だと思うよ。  席はねぇ、そこの列が空いているから、適当な所に入ってね。」


「はい、ありがとうございますっ。」


淡い緑色の眼をしたレオナールが入り口から離れた側の窓辺の列を指さす。

どうやらそこが新二年生が使って良い席のようだ。

とりあえず、ミリアーナはまだ誰も入っていない一番前の席を使わせてもらう事にした。


ヴィアディックという名に何となく引っ掛かりを覚えるミリアーナ。

しかしとりあえずその事は置いといて、クラス全体を見渡してみる。


(ああ、なるほどねぇ。どうりで胸にバッジを付けている生徒とそうでない生徒がいるのか。 今付けている人が先輩、と。)


暫くすると担任と思われる先生がやってきた。


(あ、ロベルト先生だ。)


「はい、みんなおはよう。 今日から新二年生が入ってきたから、先輩の皆は後輩の面倒を宜しく頼みますね。」


生徒達は頷く。


「えっと、新二年生も私の事は既に知っているね。一年の時は魔道具の講義をやっていたロベルト・ポッケルスだ。という事で、魔道具師科の担任もやっているんだよ。宜しくね。」


新二年生は皆で「はいっ」と返事をする。


「あー、午後一番に新二年生は講堂に移動してバッジの授与式を行うのだが、そこで各科の代表者一名が所属科のバッジを受け取る事になっているんだ。そこでなんだけれど・・」


(ん?なんだろ?急に話が出てきたけど・・ って、え?もしやこれは・・・)


ロベルト先生がミリアーナの方を見る。


(あ~・・・、見ないで欲しいかな~・・なんて。)


ミリアーナはなんとなく気付かない振りをしてみる。


「では、ミリアーナ君。君に今年の魔道具師科新二年代表として受け取りに行って欲しいのだが、良いだろうか。」


(逃げられなかった・・)

「は、はいっ。えっ?私ですか?」


「君以外にミリアーナ君は居ないと思うが。 どうだろう、お願い出来るかな? それとも、他に代表として立ちたい生徒は居れば問題は無いが。」


後ろの気配を窺うミリアーナ。

だがしかし。

他の新二年はミリアーナが代表として立つことに異議が無い様子。


「では異議は無いようだから、ミリアーナ君、君が代表として受け取ってくれるね。」


「はい・・わかりました。」


「まあ、大丈夫だよ。名前が呼ばれたら、壇上に取りに行くだけだから。気楽にしていれば良い。」


「はい・・。」

(いやいやっ、一番気楽に出来ないヤツじゃんっ!)


仕方なく引き受ける事にしたミリアーナ。


このあと今日一日の流れを説明され、今日の授業については、各教室において今まで受けた講義の質疑応答などの時間となることが分かった。

先輩達は各々目的の教室へ向かってゆき、新二年生は皆この教室に残り、午前中はロベルト先生に質疑応答をすることとなった。


そして昼休み。

ミリアーナは午後の事を思い、グッタリとしながら食堂へと向かった。



暫くは更新を週二回、土曜の夜と、火曜日の夜に行う予定でいます。

宜しくお願い致します。

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