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33 ~休みも終わりっ~

今回はちょっと短いです。


 ソフィアが帰省から戻ってきた翌日。

三人で休暇中の出来事を話そうと、ミリアーナ達の部屋に来たソフィアが、お土産があると言って包みをテーブルに置いた。


「あまり量は多くないですけど、お土産で持って来てみました。バルテモントの特産品です。」


「なんだろう?」


「開けてみて下さい。」


「?、 うん。  ・・・・あっ!」

(これはっ!・・)


「これはもしかすると、花の香草茶でしょうか。」


「そうなんです。しかもこれ、本来ならもう今の時期は花は終わっているものですけど、時期をずらして栽培されたものなんですよ。だから今はあまり新鮮なものは出回っていないと思うので、持って来てみました。カミルレ茶です。」


(やったー!カモミールティーじゃんっ!)

「これ、林檎っぽい香りのお茶だよね?」


「ええ、そうですよ? 良く知っていますね?」


「うんっ。 これぜ・・ごほん、小さい時に一度飲んだことがあるの。きっと、お父様が手に入れた物だと思うのだけど。」

(うっかり前世って言いそうになっちゃった。)


「そうなんです?  まあ、せっかくなので今、みんなで飲んでみませんか?」


「そうですね。では、ポットを用意しましょうか。」


早速イザベラが部屋を出て、ポットを二つ、お湯のポットとティーポットを持って戻ってきた。


「では、早速。」


イザベラが包みから半乾燥した白と黄色の小さな花を丁寧にティーポットへ移し、そこへお湯を注ぐ。

すると、とても良い香りが立ち上ってきた。


(ぅぅ・・ドキドキ。 久しぶりだなぁ・・)


テーブルに三つ、ティーカップを並べるミリアーナ。

そして、待つことしばし。

カップへ淡く緑がかった黄金色の液体が注がれる。


「おぉ・・っ♪」


「綺麗な色ですね。 それに、とても香りが良いです。」


「でしょう? 王都で扱っている物と比べられないですよ。」


「ふぅ。  美味しい・・・」

(何年ぶりだろう・・こんなに良い香りのカモミールティー飲んだの・・)


「このカミルレって、魔力が含まれているって知ってました?」


「そうなの?」


「確か、軽い病気の時に使うポーションにも入っているとかでしたよね。」


「そうそう。摘んで時間が経っていない物ほど魔力が多く含まれているから、こういう新鮮な物はポーション製造用に回されちゃうらしくて、お茶としてはなかなか手に入らないんですよ。」


「そうなんだ。」


「それで、このお茶はあまり飲み過ぎてもいけないって話ですよ?」


(そうだ、忘れてた。こっちの世界は魔力があるんだった。前世ではハーブには薬効があったから、きっとこっちの世界ではその手の草木はみんな魔力が含まれているのかも。)


「では、控えめに。」


そう言いながらも、美味しいので二杯目も飲んでしまうのだ。



「えっと、更に二人にお土産があるんです。」


「なあに?」「なんでしょう?」


「えっと、ですねぇ・・・。  こちらはイザベラさんで、こっちのがミリアーナさんになんですけれどね。」


と、ソフィアは話しながら紙包みを二つ差し出す。


「ちょっと時期が外れちゃっているんですけれど、ミリアーナさんにはラワンドの香り袋です。」


(ラヴェンダーのサシェだ~)

「ありがとうっ♪ 大好きなのよ、この香りっ♪」


「気に入って貰えて良かったです。   そしてイザベラさんの方は、松明花の香り袋です。」


「ありがとう、ソフィアさん。」


「どっちも枕の中に入れると、とても良く寝られるとかいうので、試してみて下さいね?」


(イザベラさんのはモナルダかな?)


「そうですか。では今夜早速入れてみる事にしますね。」


「うん、やってみるね。」



そしてイザベラからもソフィアに渡したい物があると言って、ミリアーナにもあげた石鹼を渡した後、明後日から学園が始まる事の話題になった。


「明後日から学園がまた始まるね。」


「そうですねぇ。前期はまだそれほど勉強は大変じゃなかったですけれど、後期はどんな事をするんでしょうねぇ?」


「きっともう少し踏み込んだ授業になるのでしょう。二年次に進級すると専門科目として勉強しますし、その繋ぎになるのでしょうね。」


「二年次になるとみんなそれぞれ違うコースに進むことになるんだよね? 希望のコースに入るのに、何か試験とかあるのかな?」


「あるという話ですよ。」


「ですよねぇ。確か、適性試験をするって話ですよね?」


「そうなのか・・。  私、ちゃんと受かるかな?」


「ミリアーナさんは心配性ですねぇ? これから後期が始まるんですよ?」


「だよね。えへへ。」



こうして新学期の事を話しつつ、これからどんな授業になってゆくのかと、再び気持ちを新たにする三人なのであった。



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