29 ~食堂でバイトっ♪~
父に食堂でのアルバイトの承諾を貰い、もう一日、ランシュットの友達に会ったりして過ごしたミリアーナ。
今朝、早々に王都に戻る準備を済ませ、家族で朝食をとり終わり、今は父と兄が仕事に出かける時間となっている。
「ミリアーナ、王都に戻ったら、義父様とフリード君に、宜しく伝えてくれないか。」
「はい、わかりました。」
「じゃあ、しっかり働くんだよ?」
「はいっ」
「ミリアーナ、頑張れよ?」
「は~いっ」
「じゃ、行ってくるよ。」「いってきます、母様。」
「いってらっしゃ~いっ」「いってらしゃい、二人とも。」
父と兄に励まされ、そして出掛けていった父と兄を見送るミリアーナとリリアンヌ。
そうこうしているうちに自分も馬車の時間が来てしまった。
「あ、もうこんな時間! 私も行かなきゃっ。」
「あら。もうそんな時間なのね? じゃあ、戻っても頑張るのよ?お仕事も勉強も、ね? 宿題も忘れちゃ駄目よ?」
「はいっ、頑張るねっ、お母様っ。 したら、いってきますっ」
「はい。いってらっしゃい。」
そして再び王都行きの馬車に乗り、学園寮に戻るミリアーナであった。
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夕刻、予定通り馬車は王都に到着した。
今度は終点である。寝過しそうになる事もなく馬車を降りる。
(は~っ・・いつっ・・・ やっぱり馬車はちょっと腰が痛くなる・・)
そしてふと思う。
(馬車にサスペンション付けたい・・ あとは良いシート・・。ってさ、今の私じゃまだ何も作れないのよ・・。色んな物作れるように、沢山勉強しなきゃ・・・ さっ、戻ろう・・)
そしてほぼ一日馬車で揺られ続け、痛くなった腰を伸ばし終わると、まっすぐ寮へと向かった。
「マリアーヌさん、ただいま戻りましたっ」
「おや、おかえり、ミリアーナさん。もう帰ってきたのかい? どうでしたか?半年ぶりの実家は。」
「はいっ、色々話をして楽しかったですっ。」
「そうかい。それは良かった。」
「はいっ。今日からまた宜しくお願いしますっ。」
「こちらこそ、宜しくね。」
寮に戻ってマリアーヌさんに一声掛け終わると、そのまま部屋に戻って、明日の準備をする事にした。
(さっ、明日から頑張らなきゃっ!)
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そして翌朝。
いつもとは少し違う寮生活の朝が始まる。
段々と秋の風が入るようになってきた王都、今朝も早くから街の喧騒が聞こえてくる。
やはりイザベラの姿が無いのが少し寂しい。
もちろん、食堂に行ってもソフィアの姿は無いのだが。
(ん~っ さっ、今日からバイトだっ♪)
居ないものは居ないのだ。気持ちを切り替え、着替えてアルナキロス食堂へ向かう準備を済ませ、朝食を食べに降りてゆく。
そして食べ終わると、マリアーヌさんに一言伝え、バイトへと出かけたミリアーナ。
(さ~、ガンバだ~っ!)
意気揚々とアルナキロス食堂に向かい、到着する。
「おはようございま~すっ」
「あ、おはよう、ミリーちゃん。 もう良いの?もう何日かしてからでも良かったのよ?」
「はいっ。でも、早めに始めてみたくって。 えへへっ」
「そう。それはありがたいわね? それで、ちゃんと承諾して貰えたの?」
「はい。大丈夫です。 承諾書も書いていただきました。」
女将さんに承諾書を渡すミリアーナ。
「はい。 ん~。書類に不備は無し・・と。 よしっ! じゃあ、ミリーちゃん。今日から宜しく、で良いのかしら?」
「はいっ 宜しくお願いしますっ」
「じゃあ・・あ、ウチの旦那をまだ紹介出来てなかったから紹介するわね?
あんた~ちょっと来ておくれよっ。」
(あはは・・・ 女将さん、強そうだね・・・)
厨房で仕込みをしている旦那さんが挨拶をしに来てくれた。
「はい、この人が私の旦那。フランツって言うの。」
「お、おぅっ 宜しくな、嬢ちゃん。」
「はいっ ミリアーナ・ウィルヴィレッジですっ。 ミリーって呼んで下さいね?」
「お、おう。」
「はいっ! じゃあ、ミリーちゃん。これから仕事を教えるね。急に何でも頑張っちゃおうなんて思わなくても大丈夫だからね?」
「はい、宜しくお願いしますっ」
「はいっ! あんたも厨房に戻って開店準備だよっ!」
「お、おうっ!」
(ははは・・やっぱ女将さん強いや。)
こうしてミリアーナのバイト初日が始まった。
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そしてお昼時。
午前中はボチボチと客が入ってきていただけだったが、さすがはお昼。
客の数が俄然増えてきた。
「いらっしゃいませ~っ」
「おや。新しいウェイトレスさんかい?」
「はいっ。 今日からここで働かせて貰っていますっ」
「そうかい。頑張ってね。」
「はいっ」
「あ~腹減った。 お~い、女将さん。いつもの定食ね~。」
「はいよっ!」
「あれ? あの娘、新しいウエイトレスちゃん?」
「ああ、今日から来てくれるようになったんだよ。 ミリーちゃんって言うんだよ?宜しくねぇ。」
「はいっ、ミリーですっ 宜しくお願いしますっ」
「はいよ~ 頑張れよ~」
こうして常連客も次々と入ってきて忙しくなるのだった。
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そして夕方前。
この時間になるまで客が途絶える事なく忙しく仕事をし、やっと一息つく事が出来たミリアーナ。
(ふぅ~・・疲れた・・。今日は随分とお客さん来たなぁ・・・)
「ミリーちゃん、お疲れさん。 なんか初日から忙しくさせてごめんねぇ?」
「いえ、とっても楽しかったですよ?」
「そうかい? なら良かった。 ちょうど客足も途切れたし、そろそろ上がって良いよ?」
「はいっ」
「この調子で明日からも頼むよっ?」
「はいっ! それじゃ、今日はお先に上がらせていただきますっ。」
「はいよっ、お疲れさんっ」
「フランツさん、お先に失礼しますっ」
「おうっ 明日も宜しくな~」
「はいっ」
昼から忙しくなったバイト初日だったが、充実した一日となったミリアーナであった。




