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20 ~あっ・・今のは・・・~


 学園からの帰り、馬車に撥ねられる事故に遭ってしまったミリアーナ。

既に医者に診て貰い、寮の自室に運び込まれ寝かされている。


幸い掠り傷程度で済んだようだが、跳ねられたショックなのか打ち所が悪かったのか、今はまだ寝ているままだ。

部屋にはイザベラとソフィア、そしてマリアーヌさんが見てくれている。


「それで、どうしたんだい? 馬車に撥ねられてしまったっていうじゃないか。」


「はい・・。 帰りに少し必要な物の買い物を済ませて、市場の前を歩いていたら、その・・・」


「遊んでいた子供がぶつかってきてしまい、このように・・。」


「そうかい・・。 お医者の話じゃ、掠り傷だけで特に命に別状はないって言うからねぇ・・それは一安心なのだけれども・・」


「はい。 すみません、私達がついていながら。」


「 ・・・。貴方達のせいじゃないのだから、ね? 貴方達まで気を追い詰めては駄目よ?」


「「はい・・」」


「はい。じゃ、私が見ててあげるから、貴方達は夕食にしてきなさい。食欲が出ないかも知れないけれど、少しでも食べないと、身体に良くないですからね?」


「はい・・」「わかりました・・。」



イザベラとソフィアは気には掛かるが夕食をし、戻ってくる。



「ちゃんと食べてきたかい?」


「「はい。」」


「じゃあ、ソフィアさんは、気にはなるだろうけれど、もう部屋に戻りなさい。遅くなるまで見ている訳にもいかないのだし、ね?」


「はい・・」


「大丈夫よ。私が見ているから。」


「はい。お願いします、イザベラさん。」


こうしてソフィアは部屋に戻っていった。


「イザベラさん?貴方ももうベッドに入りなさい。ずっと付きっ切りでは、貴女が身体を壊してしまうでしょう? 大丈夫。私がちゃんと夜中も見に来てあげますからね?」


「はい。 すみません、お願いします。」


こうしてイザベラはベッドに入る・・が、もちろんすぐになど寝られるものではないのだが。


ミリアーナはまだ気を失っているのか、寝たままである。



・・・・・・・・・

・・・・


ーーーーーーーーーーーーーーー


・・・・

・・・・・・・・・


「さっ。今日はもう仕事終わりっ。はぁ~疲れたっ。」

(ちっとばかし面倒な作業だから、もう続きは明日にしよう・・)


「今日はもう上がるね~。お疲れ~。」


「はいよ~ 美奈さ~ん、お疲れっした~。」



コトッ

 バフッ


(さて、と。か~えろっ。)

キュキュキュルル

    ヴォウンン・・・・

コクッ

  ヴォウン ヴォヴォヴォ・・

カッコッカッコッカッコッ・・


ヴォウウウン  ヴォオウオォォ・・・


(よし、今日も調子が良いな~)

「はぁ~、今日は疲れたな。 ちっとばかし面倒な作業もあったもんな~」




ヴオォォォン・・・

( ?? なんか変な感じ?・・)


ゴオォォォォン・・・

(ん~? ダンプだな・・)


「んっ!? やばっ!こっちにはみ出してきてるっ?!」


ゴオォォガガガ・・・


「あっ!ダメっ!!間に合わないっ!!!」


キキキッッッ・・

ズガバンッ バキキッ メキグシャッッ・・・



(うぅぅ・・・)


ピーポーピーポーピーポー・・・・・


(・・・ぅぅっ・・・)


ガラガラガラ・・・タタタタタ・・・


「バイタル不安定ですっ」

「緊急オペだ。ストレッチャーをこっちへっ」


・・・・・・・・・・・・・


ははは・・どうやらここまでなのかぁ・・・

みんな・・・ごめんね・・・・・


ピッ ピッ ピッ ピピッ ピッ ピーーー・・・・


ピンポンピンポンピンポン プープープー ピンポンピンポン・・・・・


( あ・・・バイタルサインモニターが煩く鳴ってる・・・)



「先生っ!・・」

「・・・すみませんが、もう・・・」


( ん?あれ?? みんな来てる・・・   あれはお母さんだ・・)


「そんな・・・」


「皆様、どうぞ、こちらへ・・」


( あ・・みんな・・・私・・  あ、あれっ?!ベッドに寝てるのって私? 私じゃんっ?!)


「美奈っ!!!」


( みんないる・・  お母さん・・。 お父さん・・ お兄ちゃん・・  あ、先輩だ・・・)


「美奈・・・」


「陽太君、美奈を・・見てやってくれないか・・・」


「はい・・・」


( ・・・・ごめん。 先輩・・・・ 私・・・  ごめんね・・・)


「美奈・・・ 美奈っ! ・・・・。 うぅ・・ 美奈・・・・」


( ごめんね・・・・・―――――――



・・・・・・・・・

・・・・


ーーーーーーーーーーーーーーー


・・・・

・・・・・・・・・



・・・うぅ・・ん・・・

・・・・・・・・・

うぅ・・ぃっっ・・・


(あっ・・・・)

 

意識が戻ったミリアーナ。

とりあえず起き上がろう思ったのだが、何かが可笑しい事に気付き、ベッドに横になったまま考えてみる。


(今のは・・・・夢?)


(ミナ・・ みなって・・・。そうだ・・美奈よ・・・私。)


(ん? あれ?私は・・ミリアーナ・・よね??

  ミリアーナ・・?ミナ?みな? ん? ・・ん?!  私は美奈でミリアーナ???)


(ううん・・・・・?。)


(・・・・・・・・・・。)


(ん・・・・・。 あ・・・。 そういえば私・・馬車に撥ねられたんだっけ・・・。)


(ここは・・ベッド?  そういえば私・・跳ねられたあとの事・・憶えてないや・・)


(・・・。 とりあえず・・起きなきゃ。 みんなきっと心配してる。)


「っ・・・」


スサッ

   キシッ・・

       パサッ・・・


「んっ・・? あ・・・っ」


ミリアーナが起きた事に気が付くイザベラ。

そしてベッドの側にやってくる。


「ミリアーナさん?!  気付いたのねっ?! 良かったっ・・」


「あ・・、うん・・・ イザベラさん・・  うん・・」


「今、痛いところはない?!  気分が悪いとかは!?」


普段通りではない喋り方をしているイザベラ。

ミリアーナが跳ねられてしまった事でかなりのショックを受けているようだ。


「うん。 もう大丈夫。 ありがとう、イザベラさん。」


「・・・・・。 良かった・・・ 私・・ わたしっ・・・」


少し泣き出しそうになっているイザベラ。


「大丈夫よ?もう。 大丈夫。 だから、心配しないで?」


「うん・・・    良かった・・・・」


「うん。 ごめんね? 心配かけちゃったよね? もう、大丈夫だから、ね?」


逆にイザベラを心配するミリアーナ。



「うん・・わかったわ・・

   あ・・・、マリアーヌさんにもミリアーナさんの意識が戻った事を伝えに行かなきゃ・・」


「うん。 ごめんね、イザベラさん。」


「それでは伝えてきますね。」


「うん、ありがとう。」


気持ちが落ち着いてきたのか、いつも通りの喋り方に戻ってきたイザベラ。

イザベラはマリアーヌさんのところへ向かった。


(ありがとう、イザベラさん。 あ・・、ソフィアさんもきっと心配してるだろうな・・・)



しばらくすると、マリアーヌさんと一緒にソフィアも部屋に入ってきた。


「ミリアーナさんっ!  もう、大丈夫なのっ? どこも悪くないっ?」


ソフィアはまだ落ち着いていないようだ。


「うん。 ありがとう、ソフィアさん。もう大丈夫よ。だから、もう安心してね?」


「うん・・・ よかった・・ 本当に良かった・・・」


「どうやらもう大丈夫なようだね。 本当に・・心配したんだよ?」


「はい。 マリアーヌさん、ご心配おかけしました。 もう大丈夫だと思います。」


「そうかい・・?  一時はどうなる事かと思ったよ?・・」


「ですよね~ あはは~・・」


「まあ、この調子なら大丈夫なようだねぇ。 もう、次がないようにね?」


「はい。 ご心配おかけしました。

  イザベラさんとソフィアさんにも。 もう大丈夫よ?ありがとうね。」


「うん・・」「ええ・・」




「さあ、もうこれで一安心。 もう真夜中だし、ぐっすりと寝る事にしましょうね」


マリアーヌさんがそう言うと、皆、部屋へと戻っていった。



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