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1 ~やらかしたっ。 ん?・・何?この光景は・・~


 ・・・うん・ん・・・

ここは・・? あれ??自分の部屋だ・・・


おかしいなぁ? 今朝・・お父さまに黙って馬に乗って森の中に入って・・・

あ・・ そうだわ、あの時確か、急にイノシシか何かが出てきて、馬が驚いて・・


そうだ・・私、落馬したんだ・・・

それで確か・・お兄さまに助けてもらって・・・・・


んんっ・・?いつつっ・・・

うぅん・・・あたま・・いったぁ・・・・・



彼女の名はミリアーナ・ウィルヴィレッジ、10歳。

家族には両親と、少し歳が離れるが7つ上の兄が一人。

片田舎の弱小貴族、ウィルヴィレッジ男爵家の第2子に生まれたのだが、家は特に経済的に苦しい訳でもなく、そして自由奔放に育ててくれている両親と色々と気に掛けてくれている優しい兄のおかげか、とてもお転婆に育っているのだった。

10歳の誕生日を迎えたこの日、いつもは父親か兄と一緒に馬に乗って出かけるのだが、今日は自分の誕生日だったからか気分に浮かれ、父親に黙って朝からこっそりと一人で馬に乗り、近くの森までのつもりで遊びに出てしまう。

そして森の中を散歩している途中、飛び出てきたイノシシによって馬が驚き、落馬してしまったのだ。



ドタタッドタタッ・・


「ミリアーナ!返事をしろっ。どこにいるんだ!」


(くそっ!こっちじゃないのか・・・?ん?・・あっ!!)

「ミリアーナ!おい、大丈夫か!ミリアーナっ!!」


「うぅ・・お兄、さま・・?」

「おいっ!しっかりしろっ!!大丈夫か!?怪我は!? 黙って一人で馬なんかに乗ってこんな所まできて・・・とにかくっ、家に帰るぞ!」


「うん・・・・・・」


今日はミリアーナの誕生日だったので、家族でささやかなお祝いをしようと庭に呼びに来た兄だったが、厩に馬が居ない事に気付き、もしやと思い馬を駆り森へ探しに出、そして森の中で落馬をし気絶して倒れているのに気付き、助け出したのだ。


そして、この日の夕方、今である。



うぅ・・それにしても頭痛い・・と言うより、なにかモヤモヤする・・・・・


ん・・・?

なんだろう?なんか変だ・・・?

なんだかモヤモヤと妙な光景が・・・?


??あれ??

ん?わたし・・あれ・・ん?!

あ・・、自分が「ミリアーナ」だって事はわかっているんだけれども・・・


なんだろ?これ、記憶・・?夢?

なんか見たことのない光景が頭の中にあるんだけど・・・?


・・・これって・・・??

んん?!なんだか見たこともない妙な・・乗り物・・?のような?

ん~ん? くるま? だんぷかー??

うわっ?!何かおっきいものがこっちに来るっ!?

なによっ?これ・・??


・・・なんだか良くわからない光景だけど・・・


まぁいいわ、きっと夢よね。頭の痛みもおさまってきたし、起きよう・・・


いたた・・・

頭も痛いのだが、身体も痛い・・けど、幸か不幸か、どうやら擦りむいたのと捻挫だけで済んだみたい。



 トントントン


「はい」


「ミリアーナ、入っていいか?」


「うん」


「なんだ、起きて大丈夫なのか?体は痛くないか?」


「うん、もうだいじょうぶ。まだちょっと体は痛いけど。 助けに来てくれてありがとう、お兄さま」


「まったく、お前というヤツは・・・お転婆過ぎるのも程々にしないと・・

 父様も母様も心配してたんだぞ?」


「うん・・ごめん・・・」


「もう起きあがれるのか?」


「うん」


「したら、父様も母様も心配して居間で待っているぞ?」


「うん、起きてあやまりに行くね・・・」


どうやら両親にひどく心配をかけてしまったみたい。

まあ、あたりまえか・・今回はちょっと自分でも調子に乗り過ぎてしまったと思う・・



「 ―――すみません、今日は診て頂き有難う御座いました。」


「いやいや、落馬したというのに、この程度の怪我で済んで良かったですよ、奥様。 お嬢さん、お大事にねぇ。」


兄フレデリックに抱えられて帰ってきたミリアーナに気付いた両親は、大慌てで医者を呼び、診て貰ったのだ。

結果は怪我の他は問題無かったらしく、今帰ってゆくところだった。



「「ミリアーナ!!」」


「もう大丈夫なのか?」


「どこか痛むところはない?」


「はい・・だいじょうぶです・・」


「まったく、お前というやつは・・親に心配をかけさせるんじゃない!」


「本当よ、ミリアーナ。今日はあなたの誕生日だというのに、いつの間にかに居なくなって・・フレデリックが気付いてくれたから良かったものの・・」


「ごめんなさい・・・」


「全くだ。こんな事になるのだったら、お前の為に馬なんて用意しなければ良かったって思うじゃないか・・」


「・・・ごめんなさい。」


「ミリアーナ。しばらくは馬に乗るのは禁止だ。」

「えっ・・・」


「そうよ、ミリアーナ。今回はやり過ぎよ?お医者様も言ってたけれど、大した事故にならず、怪我だけで済んで・・。 お父様の言う通り、しばらくは乗るのをやめなさい。」


「・・・・・はい。」


こうして、10歳の誕生日は「やらかし」の日として過ぎてしまったのであった。



ミリアーナちゃん、やっちゃいました。

まだ、転生前の記憶が曖昧です。

この先、しっかり育って(育てて?)いきますので、どうか生温い目で見てやって下さい・・・

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