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第2話:勇者パーティ

 ――ラクスが指名手配される五年前、人族と魔族の戦いは佳境を迎えていた。

 人族の劣勢で、このままでは魔族に滅ぼされるところまできていたのだ。

 しかし、突如として人族に希望の光が見いだされた。


 それこそが――勇者の誕生である。


 勇者として目覚めたカイン・レイドだが、元はどこにでもいるような平民の青年だった。

 戦い方など知らない青年は、勇者の力に目覚めたことで戦い方が頭の中に浮かび上がり、体が自然と動くようになっていた。


「……俺が……俺が、勇者だ!」


 カインは劣勢だった戦場の戦況を一人でひっくり返してしまうと、人族は一気に戦線を押し上げ始めた。

 それだけにとどまらず、勇者の誕生から数ヶ月の間に英雄と呼ばれる実力者が一人、また一人と集まってきたのだ。

 剣聖、賢者、聖女、そして魔法剣士。

 彼らは勇者パーティとして共に行動するようになり、魔王討伐に向けて突き進んでいた。


 だが――勇者は魔法剣士を嫌っていた。


 その理由は単純なもので、男二人に女性三人のパーティだったからだ。


「お前が前に出て露払いをしておけ。俺は力を温存しておかなければならないからな」

「それなら、他の英雄たちも一緒に露払いを――」

「はあ? 貴様、女性に戦わせるつもりなのか?」

「本当ですね、勇者様」

「私たちは勇者様のために行動を共にしているのです」

「魔法剣士のくせに、私たちに命令するなよ?」


 勇者は女性の英雄たちには優しく接し、男性のラクスにだけは冷たく当たっていた。

 そして、男性一人のパーティを作りたいと常日頃から思っており、それにはラクスが邪魔で仕方がなかった。

 だからこそ危険な役目は全てラクスに押し付け、勇者と女性英雄たちは高みの見物を続けていた。


「……まあ、僕としてはみんなと離れられるからそれでもいいんだけどね」


 そんなことを呟きながら、ラクスはたった一人で目の前に迫る魔族を切り伏せていく。

 なかなか死なないラクスを見て勇者は苛立ちを募らせていき、最終的には魔王との決戦までも最初は彼一人で戦わせていた。


「貴様が勇者だな?」

「いいや、僕はただの魔法剣士だよ」

「……なんだと? 魔王である我に対して、ただの魔法剣士が一人で挑む?」

「そういうことになっちゃったね」

「…………あははははっ! これは舐められたものだな!」


 魔王は大笑いし、ラクスは肩を竦めながら苦笑いを浮かべる。


「まあよい。我の前に立ったのだから、殺されても文句は言えんだろう?」

「そうだね。でもまあ、死にたくはないかな」

「我を前にしてそう言えるとはな。どうやら楽しめそうだ」

「そうであってほしいね」


 まるで長年の友人かのように会話を楽しんでいた二人だが、次の瞬間には激しい剣戟音を響かせてぶつかり合った。

 周囲の地形が変わってしまうほどの激しい戦闘は丸一日続き、二人は疲労困憊となる。

 そこへ意気揚々と現れたのが、勇者と女性英雄たちだった。


「あとは俺に任せてもらおうか!」

「さっさと下がりなさい、邪魔よ」

「この程度の判断もすぐにできないのですね」

「自分の頭で考えてみたらどうなんだ?」

「あ……はは、そうだね、分かったよ」


 この時のラクスは、いつもの自分と違うことに気がついていた。

 今まではただの露払いとして戦っていたのだが、魔王との一戦は初めて自分と対等の相手を見つけて戦いが楽しくなり始めていた。

 それを邪魔されたことで一瞬だが判断が遅れ、離れていく間も視線は魔王を見つめ続けていた。


「……はぁ」


 そして、それは魔王も同じであり、そのため息が物語っている。

 ラクスは魔王と目が合っており、お互いに同じことを考えていたとすぐに理解し合っていた。


「さあ、終わりにしようか、魔王!」

「そうだな、さっさと終わらせてくれ」


 魔王の反応に勇者は自分が優位な立場だと思っていたが、それは完全な思い違いだった。

 先ほどまでラクスと戦っていた魔王だからこそ看破することができた。目の前の勇者が、間違いなく彼よりも実力ではるかに劣っていると。

 楽しみを奪われ、疲労困憊のところへ現れた真打がまさか格下だったことで、魔王の戦意は完全に失われていた。


「死ぬがいい、魔王!」


 ――こうして、魔王は討伐された。

 魔王が勇者に討伐される光景を、ラクスは後ろの方でただ黙って見ていることしかできなかった。

 だからこそ分かることもあったのだが、そのことについてラクスはこの場で言及することはなく、そのまま勇者たちから少し離れた場所を歩き王都へ戻っていく。

 一度だけ地形が変わってしまった魔王と激闘を繰り広げた場所を振り返り、すぐに正面を向いて歩き出す。


(いつの日か、またこの地に戻ってきてみるかなぁ)


 そんなことを考えていたからこそ――指名手配されたラクスが足を向けた先もこの場所になったのかもしれない。

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