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第08話:ギリギリの姉と

 姉ちゃんと俺は、近くのショッピングモールにデート?をしに行った。


 「んで? ここまで来たけどどうすんの?」

 「うーん。たくみんはどっか行きたいとこある?」

 「いや別に」

 「じゃあさ、私の買い物付き合ってよ!」

 「了解」


 俺は、様子を(うか)いながら姉ちゃんについて行った。というのも、お互いまだ知り合って日が浅い。俺が控えめなのは「そう見える」だけであって、むしろ姉ちゃんのほうがテンションが異様に高いということを理解してほしい。


 「あ! 私水着見たい! いい?」

 「いいよー」

 「やったー!」


 姉ちゃんは嬉しそうに店の中に走っていった。


 「……ってえ!? 水着!?」


 という俺の声は、周りにいる他人にしか聞こえていなかった。しまった。生返事で答えるんじゃなかった……


 30分後、姉ちゃんは一通り店内を見たあと、気に入ったものをいくつか手に持ち、更衣室に入っていった。


 「そこで待っててー」


 そう言われ、更衣室の前に立たされた。

 そして、3分後。


 「じゃーん!」

 「……」

 「え!? たくみん無反応!?」

 「いや、なんて反応すりゃいんだよ」

 「色々あるでしょー。可愛いとか、興奮するとか」

 「バカっ! なにいって……」

 「あー。興奮したんだー」

 「してねーよ!」

 「じゃあなんで目をそらすのー。ねぇー」


 全て見透かされているような気分だった。まあ、こういうのも悪くないと思ってしまった俺がいるのだが。


 「次、別の着るから、また感想教えて」

 「……」


 そして、1分後。


 「じゃーん!」

 「……」

 「えー! また無反応!? 二回目は学習しようよー」

 「……いやまあ。いんじゃねーの?」

 「なーんか素っ気ないな。じゃあさ、前のとどっちがいい?」

 「……前のやつ」

 「あの露出度が高いほうね?」

 「別にそういう意味で言ったわけじゃ!」

 「またまたー。嘘ばっかりっ」


 どうもさっきから振り回されてるな。


 さて、なぜ俺がさっきからこんなに素っ気ない態度をとっているかというと、理由は明確だ。琴葉のことを考えているからだ。


 ……の、はずだったのだが、そんな気持ちも段々薄れてきた。今はこの空間がぎこちなくも心地いいと感じてしまった。

 断ると面倒だから付き合ったデートだが、いつの間にか楽しんでいた。というか、姉ちゃんが楽しませてくれていた。


 「次で最後ね」


 そう言って、姉ちゃんはまた着替え始めた。そして、1分後。


 「じゃーん!」

 「カワイイじゃん」

 「ふふっ。ありがとう! これ、気に入った?」

 「そうだな。今までの中だと」

 「じゃあこれに決めた!」

 「え? いやまあ、別に姉ちゃんがいいならいいけどさ。いいのか? 俺のセンスに任せて」

 「大丈夫だってー。たくみんのこと、信用してるよ!」

 「そ、そうか」


 こうして、俺は甘い一時を過ごした。正直、楽しかった。



 買い物が終わり、家に帰った。俺は姉ちゃんに、部屋へと連れていかれた。


 「今日、楽しかった?」

 「うん」

 「でも、最初は楽しそうじゃなかったように見えたけど?」

 「そ、そうか?」

 「……」

 「……」

 「もー。たくみん、私が何も気づいてないと思ってる?」

 「え!?」

 「別に私だって全部わかってるわけじゃないよ。けどね、たくみんが琴葉ちゃんと特別な関係なのかなっていうのは思ってる」

 「気づいてたの?」

 「確信があったわけじゃないけど、なんとなく」

 「実は俺、琴葉に告白されたんだ」

 「そうなの!? まあ、驚くことでもないか。幼なじみなんだっけ?」

 「うん。だから、非常に残念だけど……」


 今日のことで、俺が姉ちゃんを素敵な女性だと思ってしまったのは事実だ。だが、それをグッとこらえて、俺は断ろうとした。……が、


 「じゃあさ!


 と、姉ちゃんがボールを手に持ち大きく振りかぶるかのごとく、提案?をしてきた。


  内緒で付き合っちゃおうよ!」


 投げてきたのは、とんでもない変化球だった。大谷もびっくりするだろう。


 「……え?」

 「だからー。二股しようよ。私はたくみんと一緒にいれればそれでいいよ。どうせ、琴葉ちゃんのことは諦める気ないんでしょ?」

 「いやだからって! 発想が極端すぎるよ!? そりゃ、今日のは二股だなーと冗談で思ってたけど」

 「うん! このまま、そんな感じで続けようよ! 今日一回限りじゃなくてさ!」

 「……」

 「大丈夫だって! 琴葉ちゃんにバレないようにすればいんでしょ? 私も協力するからー」


 この時、俺は良くない性質を帯びた。


 「……わかった」

 「ほんとに!?」

 「ああ。これから二人目の彼女としてたのむよ」

 「うん!」


 こうして、俺のブラックコーヒーライフが始まった。

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