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第02話:ギリギリの家庭

 あれから一年が経ち、高校2年生になった。クラス替えを心配していたが、錬と琴葉はまた同じクラスだったので安心した。

 そんな中、恐れていたことが起こってしまった。それは、俺の家での出来事。


 「今日という今日は我慢ならん! もうお前とは一緒に居られない!」

 「ふん! そんなの、こっちから願い下げよ!」


 俺の両親は、前々から仲が悪かった。原因は、親父が生活費を払わないでいることだ。一流企業に務めていて年収はバカにならないのに、ほとんどお袋にまかせている。

 他にも、性格が合わないだの細かい事情を出していけばキリがない。恐らく、俺が知らないところでも、色々起こっているのだろう。

 そういった日々の積み重ねがここに来て爆発したのだ。


 「俺にかかればな! お前よりいい女なんか簡単に見つかるんだよ!」

 「よくも言ったわね! あんたなんか、誰も相手にしないわよ!」


 そうこうしているうちに、お袋は荷物をまとめて家を飛び出した。


 「ふん! それじゃ!」

 「さっさと出てけ!」


 前々から喧嘩(けんか)していたとはいえ、あまりの急展開に、俺は家の中で硬直していた。ただ見ていることしか出来なかった。

 まあ、とにもかくにも、これからどうしようか。すると、親父が話しかけてきた。


 「拓海、すまない。お前には、これから選んでもらわなければいけない。俺と住むか、それとも……」

 「親父と住むよ!」


 俺は、即答した。俺には、少なからず大切な知り合いがいる。どこに住むか分からないお袋についていったら、もう会えなくなるかもしれない。別にお袋のことが嫌いなわけではないが。


 「そうか。じゃあ、新しい人を探さないとな。あいにく俺は、金はあるが家事が全くできん」


 親父は、そう(つぶや)いた。全く、にしても親父の切り替えの早さには(あき)れてしまう。もう新しい相手を探そうとするとは。


 そして、あれから1ヶ月が経ったある土曜日のことだった。さっそく、合コンで知り合った女性を家に連れてきた。


 はやっっ!


 まあ、これでも一流企業の人間だ。驚くほどでもないのかもしれない。


 「よろしくお願いします」

 「……あ、えっと。お願いします」

 「話は聞いていますよ。拓海くんですよね?」


 親父が連れてきた女性は、とても綺麗(きれい)だった。茶色く長い髪の毛に、大きな瞳。身長は、160cm+くらいだろうか。


 「私は、夢島(ゆめしま) (はな)です。いきなりですけど、これからあなたのお母さんになるということで、ご挨拶に参りました」


 女性は、優しく話しかけてきた。だが、驚くのはまだ早かった。女性の後ろには、さらに二人の女の子が立っていた。


 「それから、この子達は、あなたの姉と妹になる子たちです。ほら、ご挨拶しなさい」

 「はーい」

 「……はい」


 「はじめましてー! 私、夢島(ゆめしま) 瀬香(らいか)。高校3年生! よろしくね!」


 赤く短い髪の毛に、上がった口角。身長は、150cm後半くらいだろうか。そして、大きな胸だ。それから、大きな胸だ。さらには、俺の目には大きな胸が写った。


 「おい拓海、どうした?」

 「……え!? あーいやいや。なんも見てないぞ」

 「??」


 親父が、はてなマークをツルッとした頭の上に浮かべていた。


 「俺は釜切 拓海、高2です。よろしくお願いします」

 「ほら、風香も挨拶しなさい」

 「……は、はいっ。えっと、夢島(ゆめしま) 風香(ふうか)と言います。高校1年生です。よ、よろしくお願いします」


 水色の長くサラッとした髪の毛に、綺麗な瞳。身長は、150cm前半くらいだろうか。少し、オドオドしている。態度も胸も控えめだ。

 

 「拓海、いきなりですまないな。だが、許してくれ。俺はこの人を好きになったんだ」

 「いや、まあ驚いたけど。俺が断るのもあれだし。いいよ」

 「そうか。ありがとう」

 「ありがとうございます。では、改めて、これからよろしくお願いします」


 こうして、新学期の前に思わぬ新生活が始まった。ついては、親父が今まで住んでいた家を改築し、3人分の部屋を用意してくれた。


 さて、荷物などが落ち着いた次の日。色々と家のルールを決めた。その後、俺と姉妹の3人でも、3人のルールを決めたりするため、俺の部屋に集まった。最初に口を開いたのは、姉のほうだった。


 「まずさー。姉弟なんだし、あ、風香もだよ。兄妹じゃん? だから、敬語やめない?」

 「そうですか……あ、いや、そうだな」

 「よしっ。そしたら、ニックネームで呼ばせてよ」

 「ニックネーム?」

 「そうそう。うーん。どうしようか……あ! たくみんってどう?」


 ニックネームで呼ばれるのか。悪い気はしないが、なんとも新鮮な感覚だ。


 「たくみん? え、あー。まあいいよ。じゃあ俺は……ね、姉ちゃん?」

 「おー。いいじゃん。それでよろしく! んで、風香は?」

 「あえっと、私は、風香って呼んでください」

 「もー。だから、敬語やめよーって」

 「わ、わかった。じゃあ、風香って呼んでね、お兄ちゃん」


 その可愛さも相まってか、お兄ちゃんと呼ばれて俺は少しドキッとした。またしてもなんだこの新鮮な感覚。


 「わわ、わかったよ!」


 その後も、色々と話し合った。話していくうちに分かったことだが、なんと姉ちゃんと風香の高校も梵星高校だそうだ。

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