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夢幻の少女ラクラス  作者: 明帆
第二部 ティラミス編 - 第一章 輪廻怨嗟

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第三十四話 未知なるもの

「う……そ……」


 それは、まばたきをする間も許されない一瞬の出来事。

 空間が裂け、裂けた空間が硝子片のように飛び散り、やがて異界の門が開かれる。


 目の前に現れたのは、リュミエールの顔をした赤い瞳の人型魔族、『魔人』。

 気配もなく現れたこの魔人がこれまでの奇妙な出来事の元凶。


 魔族故に、人が織り成す全てを違和感なく再現出来なかったのかもしれない。

 これで合点がいくというもの。


 姿を現した目の前の『それ』は、もはや気配を隠すことをしなくなった。

 

 いつの間にか建物は消え去り、ここで最初に見た廃墟が現れている。

 この状態がミストヘイズの現在の真の姿に違いない。

 心なしか、瘴気も薄くなっているような気もする。


 そんなことよりも、目の前の魔人。


 この気配は危険。

 相手の実力は未知数。


 魔人から感じとれる気配が実力相応のものなら、私なら何とかできるかもしれない。

 いまの時点で、ニアとお姉ちゃんでは正直荷が重い……。


(おい……、ララ。大丈夫か? コイツはヤバイ……な)


「ララちゃん……」

「うん……」


『えへへ。愚かな人間と闇精霊さん。余興は楽しめた?』


 魔人の声は先程までここに居たリュミエールの声そのもの。

 なのに、声から伝わる雰囲気は別人。

 凍てつくような冷たさを発している。


「貴方の目的は何? 何でこんなところに魔族の上位種がいるの?」


『お姉ちゃんたちにお話する理由なんてないよ』


(私が時間を作るからお姉ちゃんとニアは逃げて。魔人は私も初めての敵。気配だけでも危険なことは二人とも気付いているはず)


 ……私の思念通話なら同化に対抗できるかもしれない。できなければその時。

 二人は、私の意図を察して、ただ頷いただけ。これなら……。


『お好きにどうぞ。逃げられるならね。ああ、久しぶりに遊んでもらえる』

「念話が聞かれている……。同化には敵わないみたいだね……。仕方がない」


 この魔人は、リュミエールを素体にしているとしか思えない。

 仕草、言葉遣い、見た目。

 魔人がもともとはどんな姿をしていたかという想像は難しい。

 

 一体何の意図があってこんな酷いことを……。


「ララ、どうすんだ?」

「あの子を倒すだけのこと」


『嬉しい……。遊んでくれるんだね。お姉ちゃんたちだ~いすき』


 リュミエールの姿をした魔人は、今にも襲ってきそうな様子。


「最初から本気でいくね。どんな危険があるか分からないから……。二人は支援を」


『もう……、お話は済んだかな? 誰から遊んでくれるの?』


 

 瞬時に力を開放した私。

 間髪入れずに魔力鎌『月下夢幻(ゲッカムゲン)』で先制の一撃を放つ。


 ……と、私から仕掛けたのがこの戦いの幕開け。

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作品にふれていただき、ありがとうございます。

第一話の世界観を映像で切り取ったPVを公開しました。

小雪舞う静かな夜や揺れた儚さなど、文字だけでは伝わりにくい幻想的な空気を感じていただけましたら嬉しいです。

動きと音楽を通して、ラクラスの世界を少しでも追体験していただけます。

Xの夢幻の少女ラクラスPVのポストからご覧ください。

作品に興味を持っていただけましたら、「ブックマーク」や「ご感想」にて応援いただけますと幸いです。

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