夢を知らない少女
※作品導入部の見直しに伴い、あらすじの更新および本プロローグを新たに追加しました。
本編の内容に変更はありません。
これから読み始める方への入口として整えたものになりますので、既読の方はそのまま最新話まで読み進めていただいて問題ありません。
月明かりに照らされた人形のように美しい少女。
絹のような金色の髪。
どこまでも透き通る翠緑の瞳の奥には、儚さにも似た哀愁の調べ。
その視線は、氷のように冷たく鋭い。
小さく華奢な、幼さの残る肢体。
ふれたら壊れてしまいそうな少女に宿る人智を超えた禁忌の力――【絶対領域】。
『祝福』は力。
『加護』は守護。
『支配』は使者。
三つの頂点から成る神の三角形。
その内側に属する極一部の者たち――それを、【絶対領域】と呼ぶ。
ラクラスもまた、その一人。
奏でる旋律は、滅びへの導き――。
『死の祝福』。
『闇の加護』。
その力の代償として失ったもの。
それは、人が当たり前に見るはずの『夢』。
それは、本来存在するはずのない欠落。
眠りの先に広がるのは、どこまでも続く静かな闇。
願いも。希望も。未来も映さない世界。
それでも――。
少女は願わずにはいられなかった。
もし終わりの先に始まりがあるのなら。
もし闇の果てに光があるのなら。
いつか、自分も夢を見てみたいと。
――私は、夢を見たことがない。




