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異世界召喚〜そして最弱職

普通に生きて、普通に仕事して、普通に死ぬ。

それが俺の人生なんだな、と自覚はしていた。

二十歳をすぎ彼女もいないまま大学を卒業。

特にオタクとかそういう属性ではない。やっぱり普通だった。なんの取り柄もない、それが俺だ。


「あ〜あ、なんか面白いことないかな〜」


そうなぜか呟いた。

・・・その瞬間だった。コンビニの帰りに道を歩いていたらいきなり目の前が真っ白に光った。

混乱した。

光は俺を包み込むように広がっていった。

そして俺は気絶した。




目が覚めた。周りには大勢の人が俺を囲んでいた。


「「「お待ちしておりました!勇者様!!」」」


勇者!?一体なんのことだ。そしてここはどこだ。訳がわからなくなった。

・・・俺は呼吸を整えて、周りの状況を確認した。

周りには俺を囲む人が大勢、真下には漫画とかによく出てくる、魔法陣みたいなのがある。そして赤いカーペットの先に玉座があり、そこには王冠をつけた老人がいる。


「勇者様お待ちしておりました。ようこそザマリアルテへ!私はこの国の王アルカ・タクラードと申します。」


王冠をつけた老人が話しかけてきた。自己紹介をされただけでわかった。この人は強いと。

自分でもなんでこの人が強いとか感じたのかわからない。


「早速で悪いのですが勇者様のお名前を聞いてもよろしいですか?きて早々混乱していると思いますが、質問は後でお願いします。」


そう言われ俺は素直に答えた。


「俺の名前は菅尾 英斗、23歳、普通のサラリーマンだ。」

「サラ?リーマン?というのはよくわからないのですが、・・・勇者エイト様!単刀直入に言わせてもらいます。この世界を、いや聖魔大戦を終わらせてください。」


これは・・・漫画で見たことあるやつだ。異世界召喚ってやつだ!確かに面白いことないかなって言ったよ。でもさ、こんなことある!?

でも・・・今の世の中も飽きてきたからいっか!

ここで新たなセカンドライフを送るとしよう。


「聖魔大戦というのがあまり良くわからないが、この世界を助けることは協力しよう!ただこの世界のことが何もわからないから教えてくれ!」


まずはこの世界のことから知ろう。もしかしたら言語なども違うかもしれない。でも、普通に話せてるから言葉は大丈夫そうだな。


「分かりました。まずこの世界は人間、天使、悪魔の大きく分けて三つの種族に分かれて存在します。我々人間が住んでいるここが地上世界と呼ばれるところです。そしてここからずっと上、雲の上にある天界と呼ばれる、天使達が住んでいる場所があります。それとこの地上世界の下、地底の奥深くにあるのが魔界、悪魔が住んでいるところです。そして今その天使と悪魔による戦争、聖魔大戦が行われているところです。何が原因で始まったか我々にはさっぱりわかりません。」


なるほど、少しこの世界のことがわかった。結論から、やっぱり異世界召喚だわこれ!ちょっとドッキリかと思ったけど、俺そもそもドッキリかけてくる友達いなかった。悲しくなるけど。まあいいか、でもそれだと何故俺が呼ばれてたんだ?天使と悪魔の戦争なら人間は関係なさそうだけど。


「何故俺を呼んだんだ?天使と悪魔の戦争なら人間は関係ないだろ?」

「実は・・・天界と魔界の間にあるこの地上世界が戦争の舞台になってしまったのです。それに天使と悪魔それぞれが召喚するモンスターが我々人間を襲ってきたのです。」

「戦えるやつはいないのか?国なら兵士とかいてもおかしくないだろ?」

「はい、兵士や冒険者も呼ばせて対抗させていただきましたが、モンスターの数、敵の強さに圧倒されてしまい、なす術がありません。ですからエイト様をお呼びしたのです。」


純粋にレベルで負けているのか人間は。だから勇者を召喚して助けてもらおうというわけか。


「でも俺も人間だ。ただ呼ばれただけでお前らと同じで弱いぞ。」


王の眉間が少しよった。弱いに反応したんだろう。一国王として当然だ。自分の子がバカにされたのだから。

でも大丈夫だった。王はすぐ元に戻り答えた。


「大丈夫です。召喚した際に基礎ステータス上昇の呪文をかけさせていただきました。自分の視界の右上にアイコンがありますよね、そこを押してみてください。」


俺は右上にアイコンがあるのを確認した。言われた通り押してみた。

おぉ・・・すげー!!ゲームしたいだ!


Lv.1 HP25 MP3 筋力12 敏捷15 防御力16 魔力7


「見えたぜ。能力が書いてある。」

「エイト様はこの世界に来たばかりですのでレベルがまだ1だと思います。でも大丈夫です。これからモンスターを倒していけば、レベルも上がるし、スキルも獲得できるでしょう。

・・・当然ですが職業名は勇者になっていますよね?」


職業名?・・・これか、ステータスの上に書いてあるやつか、えっと職業名は・・・


『エンチャンター』


なんだこれ!?勇者じゃないのかよ!!


「おい!エンチャンターって書いてるぞ!」


その言葉を聞いて王は驚いた。周りの人も驚いた。

そして騒めいた。

微かに周りの声が耳に入る。

「エンチャンター?って一番弱い職業のか」

「召喚に手違いがあったのか?」

「よりにもよって最弱職か」

・・・少しの間があいたが王が喋り始めた。


「静まれ!!・・・エイト様こちらの手違いがあったらしいです。・・・言いづらいのですが、勇者ではないのならすぐに帰してあげたいところなんですが、・・・帰る魔法がまだ無いのです。

申し訳ない、ある程度の装備、武器、何日か寝泊まりできるくらいのゴールドは出します。本当に申し訳ない。」


マジかよ!通りでステータスが低いと思った!

それによりによって最弱職かよ・・・

まあ帰る気はなかったけど、せめてもっと養ってくれよ!お前らの手違いだろ!なにが何日か寝泊まりできるくらいのゴールドだ!一生暮らせるくらいの金を用意しろよ!

と、俺は心の中で叫んだ。押さえ込んだけどね。

そう思っていたら目の前にゴールドが入った袋があった。


「100000G入っています。こちらの手違いで本当に申し訳ない。」


王は頭を下げた。俺はその姿を最後に見て、城からでた。


これが俺のセカンドライフのはじまりだ。



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