四話~休息~
前置き長くてごめんなさい。
結局終わらなかった…
(やばい…もう無理だ…。)
俺は今とてつもない危機に瀕している。
そう、筋肉痛である。
歩く度にとてつもない痛みが襲っている。明日来ると思っていたのにまさか今日中に来るとは…。
普段運動していないツケが来てしまったか…。痛みに耐えながら歩き家に着くと見慣れない二足の革靴が並べられていた。
「た、ただいま。」
俺はちょっと躊躇って喋った途端奥から足音が鳴った。
「柊夜~お帰りなさい!あなた、柊夜が帰ってきたわよ!」
黒髪の若い女性が顔を出してきた。黒髪の女性の名は青葉洋子。俺の母親だ。見た目は二十代だが本当の年齢は息子である俺も分からない。
母さん曰く、「秘密は女の魅力を最大限に引き出すのよ。」だそうだ。
「母さん、はしゃぐのはいいけど年を考えt……「あなた?」いや、ほんとごめんなさい。母さん愛してます。」
母さんが出てきたドアから現れてすぐに九十度の綺麗な謝罪の姿を見せた男性が青葉雅紀、俺の父親だ。この通り母さんの年齢に関することは我が家では禁句となっている。
「気になったんだが、この靴は?」
俺は二人が履いてきたであろう二足の革靴に指をさした。
「それか?今度の劇に使う衣装セットの一部だ。母さんはヒロイン役、俺は主役の友人役だ。」
「あなたは私に振られる役だけどね。」「はうっ!」
母さんの言葉で父さんが崩れ落ちた。俺の両親は二人とも演劇をやっている。母さんは見た目が若いため高い確率でヒロイン役だ。父さんは準主役的な立場が多いため、主役の人に対して「母さんの隣は絶対俺が相応しいよな?柊夜もそう思うだろ?何で主役が俺じゃないんだ!?アイツ、マジユルサナイ。」と俺に愚痴っているのを毎回母さんに見つかって怒られている。
「けどもう演劇場に行けないから衣装必要ないんじゃない?」
「そうだったな…。はっ、待てよ?母さんが行けないということはヒロイン役がいない。つまりヒロイン役の人は別の人になる。つまりアイツは母さんに近づけない。はははは!今回の主役のアイツはどんまいだな!ざまあn…「あなた?」はい、なんでもございません。母さんのヒロイン姿を近くで見れなくて本当に悲しい気分です。」
父よ。あなたは何度怒られれば学ぶのだ…。父さんは正座をして母さんに怒られているのを見つつ俺は靴を脱いでリビングのソファーに座った。ふうー、足が痛いよー。ひとしきり怒ったのか落ち込んだ父さんとすっきりした母さんがリビングに来た。
「それにしても父さんも母さんもよくこの町にいたね。てっきり演劇の練習でいないと思ったよ。」
「それが今日は珍しく練習が早く終わって母さんと一緒に歩いて家についたら空が光って目を瞑っていたらいつの間にか壁あるし、警報機鳴るし、連れていかれて落ち着く暇が無くて大変だったよ。」
さっきまで落ち込んだ様子だった父さんがケロッとした様子で話した。父さんたちの演劇場は隣町にあるため俺はこちらに呼ばれていないと思っていたが、どうやらそういう日に限って呼び出されてしまったらしい。
それから話していると段々と陽の光が消え薄暗くなってきた。俺の家はソーラーパネルがありその日はいつも通りの生活をおくれた。外を見るとちらほらと明かりが見える。一部の家にもソーラーパネルがあり、何人かが他の家でお世話になっているのか家を出入りしている人が見えた。
(明日になると職業が貰えるのか…。)
俺はベットに入り明日について考えた。運動が苦手だし魔法使いにできればなりたいな。それに楽できそうだし。今日は走ったせいで疲れた。俺はいつもより深い眠りについた。
次回賜職の儀となりますのでみていただけると嬉しい限りです。