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今日の君はもういない。  作者: 白犬
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出逢い。そして、また出逢い

これは、本物の素人が描くものです。

文章が下手かもしれません。つまらないかもしれません。

小説と呼べないかもしれません。

それでも読んでくれる方は読んでもらえると嬉しいです。

一応内容はすべて独創です。

これから頑張って更新していこうと思いますのでよろしくお願いいたします。



「上杉っちゃーん。上の空でどうしたんだい?」

気づくと同じ学部で親友でもある榎本清えのもときよしが声をかけていた。

昨日のことをぼーっと思い出して考えていた。


「あ、あの!どうかしましたか?」

桜の木の下で僕は確かに泣いている女性に声をかけた。

すると、無視された。あげく帰られた。


「はぁぁぁ、僕って世の女性から見たら怖いのかな。」

吹き出す榎本。

「急に何を言い出してるんだお前。」

あぁこれだけ言っても通じるわけがないと思い、ことの経緯を話した。

「なんだそれ!」

ゲラゲラと品の欠片もない笑いをこぼす榎本だが、こいつは馬鹿だ。

「だけど、まぁ俺が思うにお前は怖くないぞ。まぁ世の女性がどうかとかは俺にはわかんねぇけど、でも怖いと思うやつは少ないと思うぞ。その人も無視したわけじゃなくて、ただ単に聞こえなかっただとか、かもだしな。」

そうだといいんだけど。。不安が消えない。

「かなり近くで立ち止まってゆったんだけどな。」

「じゃあ泣いてるところを見られて恥ずかしくなったから思わず逃げ出してしまいました。的な?」

馬鹿だ。だけどこいつはこういうときだけ鋭い。

「それで、女の子のこと心配するとか、どうしちゃったの~?惚れたか?お?」

ほら、こういうところ。

「実は、一目惚れしちゃって。とても綺麗だったんだ。」

本当に綺麗で、でも触れば壊れそうで、氷でできた花のように綺麗で、脆く、そんな感じがした。

「おおおおおおお。それは、あれだなぁ。もう一回会わなきゃだな!」

にやにやしやがって。むかつく。

「なぁ、僕、本当に怖くないか?」

榎本はニヤニヤしたまま

「顔か?大丈夫不細工なのは変わらない」

訳が分からない。返答になっていない。ただ笑った。いつのまにか不安はなくなっていた。もう一度会いたい、そう思った。


「さて帰るか~」

今日の最後の講義が終わり、帰り支度をする。

「うん。今日の晩御飯なに作ろう。」

主婦か!と榎本には突っ込まれたので、いつも食べにくる榎本にはご飯抜きを言い渡した。


電車に30分ほど揺られ、駅の改札を抜け、徒歩で10分ほどの場所に僕と榎本が住むアパートがある。

もちろん部屋は別々だ。

いつもの帰宅路。改札を抜け歩いていると桜が舞っているのに気付いた。僕らのアパートの前の大きな桜の木。そこには、昨日と同じ景色がうつっていた。

「ぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ」

「なんだ?どうした?」

榎本のほうをゆっくりとみる。

「あの人、さっき話してた人。」

榎本、思考時間5秒、その間二人停止中。

「ほほぅ。では気を利かせた榎本くんは先に部屋に帰るとするよ。ちゃんと頑張るんだぞ!うまく行ったらごはん、呼んでね。てへ」

おじけづく僕を置いて榎本はアパートに消える。


「もう、行くしかないか。。」

歩き出す。一歩ずつ、桜の木に近づいていく。

彼女は、まだ気づかない。


「あの!」

「?」

良かった今日は泣いていない。

それよりも、今日は無視されなかった。

「あの、なんですか?」

しまった、声をかけることしか頭になかった。このまま何も言わないのは不審がられる。

「昨日も!ここにいましたよね?」

「・・・」

あれ、反応がない。人違い?あれ、、昨日もってなんで知ってるのかとかそういう感じで不審がられてるんじゃ。。。

「ぃや、ちが」

「うん。ここに居ました。」

「え?」

答えてくれた。ここに居た、確かに居た。

「どうしてそれを知っているんですか?」

あ、まずい。ストーカーみたいに感じられてるのかも。

「そこ、僕のアパートで。いつもこの道を通るから。昨日も。」

「そう、なんですね」

会話してるんだよな。

「じゃぁそろそろ帰りますね。」

あ、これでお別れ?もう会えない、のかな、

「あ、明日も!明日も桜、見に来ますか、明日もまた会えますか。」

「また、来ると思います。」

明日も、会える。それだけでもううれしかった。

「僕、上杉太陽うえすぎたいよう

「私は、神田美代かんだみよ

神田さん。神田美代さん。

「じゃあ、また明日、僕はこのくらいの時間にここに来ます!」


約束ができたみたいで、うれしくて、一方的かもしれないけど、それでもうれしくて走ってアパートの中に駆け込んだ。


夕日が差し込む部屋。即座に布団へとダイブする。

「はは、は。また明日会える。」

「そうか、明日も会えるのか良かったな。」

「ぇ、、、?ぇぇぇ。なんで部屋にいるんだよ榎本!」

椅子に座って机の横でコーヒー缶をすする榎本。

なぜか部屋にいる榎本。

「いや、だって部屋となりだし。結果聞きたかったし?」

「違う!どうやって入ったかを聞きたいんだ。。。ここは僕の部屋なんだけど。」

あれ、部屋間違ったかな。いや合ってるよな。

「ん?ベランダをつたって来た。ベランダのカギを開けっぱなしで外に出るなんて不用心ですなぁ」

ベランダ?のカギ・・・壊れてたから修理するのも面倒くさくなって、そのままにしているんだった。

「それは、、僕に落ち度があるとはいえ、犯罪だぞ。」

「俺とお前の仲なら犯罪にはならない。」

そういう問題じゃないんだがな。。。

「それで、どうなったんだ?連絡先とか?」

「いや、そういえば、連絡先は聞いてない。。」

そうだった。明日また会えるということだけで舞い上がってしまって、連絡先を聞く余裕なんて全然なかった。

「でも、明日また、桜の木の下で会う約束をしたんだ。」

その時に聞けば、それでいいか。と思った。

「うーん。まぁ会う約束を作ってるなら、明日また連絡先とか交換すればいいんじゃないか?よく会ってくれる約束してくれたな」

あれ、会う約束、したんだよな。

あれ、返事聞いてないや。これ一方的に会いに行くだけなんじゃ。

「。。。勘弁してくれよ上杉~。」

「まぁ、会えたら、その時連絡先とか聞くことにするよ。」


ピピピピピピピピピピ

携帯のアラームの音がする。

「ふわぁ、あ。もう朝か。」

昨日は神田さんと会話をした。といっても、名前を言い合っただけな感じなんだけど。

「それでも、進歩かな。。。」


「上杉~準備まだかぁ~?」

ベランダからの声だ。もちろん隣の部屋のベランダなんかではない。もうすでに俺の部屋のベランダに侵入してきてる。本当にこいつはいつか犯罪を起こすのではないだろうか。

「ん、もう行く。」


ガタンゴトンガタンゴトン

揺れる電車。人の多い電車の中。

「なぁなぁ。今日も昨日の子と会うんだよな?」

「たぶん、会えると思う。」

そうたぶん。確信はもてない。ただ、確信は持てないはずなのに、いつもは嫌いな人の多い電車も今日は嫌に感じなかったほど、楽しみにしていた。

「なんだよそれー。まぁ、今まで彼女一人もいなかったお前からしたら進歩したと思うよ」

「今日さ、」

「あ、無理だわ~。今日はバイトの日でさ、そのあと女の子たちと飲み会なんだぁ。いやー悪いね」

あっそ。別についてきてほしいわけじゃなかったからいいんだけどな。

ただ、榎本からみた神田さんはどうなのかとか、俺おかしくないかとかちょっと知りたいだけだっただけだし。別にいいんだけど。

「そっか。」

「ちゃんと会ったらあいさつしろよー。困ったら連絡してこい!アドバイスくらいはしてやれるからさ。」

「う、ん。ありがとな。」

「それと、ちゃんと報告すること。まだ手は出したら駄目だからな」

「わかってるよもう。」

榎本は馬鹿だけどいいやつだ。本当に。モテるのもうなずける。


「さて、それではわたくしめは、行ってまいる。」

今日は榎本と受ける講義は別々だ。最後だけ、一緒になるくらいか。軽く手を振って見送る。

その間に神田さんと会った時のシミュレーションとかしておこうかな。


「それにしても、あいさつってどうするんだっけ。こんにちわでいいのかな。やあ、じゃおかしいかな。」


そうこう考えているうちに榎本と同じ講義になった。

「はぁぁぁぁぁ。あいさつが思い浮かばない。」


「え?何お前今日一日、あいさつをずっと考えてたの?いやはっずかし!」

「仕方ないじゃんか、僕は、女子とあんまりしゃべったことないんだから。」



榎本は笑いを我慢して、いや我慢できてないけど我慢しようとしていた。

「まぁ、あいさつとかさ、何も考えていなくても、実際会ったらすぐに出てくるもんだよ。あいさつとか考えてするもんじゃないし、会話も話したいと思ったら自然と出てくると思うけどな。」


「それなら苦労しないんだけど。。。」

榎本は僕の恋を応援してくれてる。と思う。


「まぁしっかりやれよ」

そう言ってどこかへ行ってしまった。

「うっわ。もう講義終わってんじゃん!いつの間に終わったの?」

ただ僕が気づいてなかっただけなようだ。



ガタンゴトンガタンゴトン

揺れる電車の中。30分の時間を有効活用したい。

「・・・」

何もシミュレーションできずに終わった電車の旅。


「もうすぐ、もうすぐ会えるんだ。」


そう思うと自然と走ってしまう。

もうすぐ、もうすぐで。


「ぁ。」

桜の木の下。昨日と同じ場所。一昨日と同じ場所。神田さんだ。

少し離れた場所から見てもわかる。


歩いて近づく。


「っ」

言葉に詰まる。榎本の言葉を思い出した。

『話したいと思ったら自然と言葉なんて出てくるもんだ』


「こ、こんにちわ!」

「?」

神田さんもこちらに気付いたようだ。ただ、自分に声をかけられたのか不思議そうにしていた。

「昨日の、、、上杉太陽ですけど・・・覚えてますか?」

「上杉、、さん?」

「昨日も、ここで会いましたよね?その時の。」

神田さんは少し考えてるそぶりをみせた。


「あぁ、上杉さん。上杉太陽さんですね。こんにちわ。」

覚えていてくれたのだろうか。

「はい!上杉です。」

「神田美代です。今日は、どうしてここへ?」

うーん。あなたに会いたくてとは言えないし。

「僕、大学生なんですけど、ここは僕の通学路なんです。」

昨日も言った気がするけど。

「あ、そうなんですね。確か、おうちはそこのアパートでしたね」

覚えてくれてることってこんなにもうれしいのだろうか。

「そ、そそそうなんです!」

話したいことはいっぱいあるはずなのに、言葉に詰まる。


「じゃあ、そろそろ帰りますね」

今は夕方5時、まだ会ってから15分も経っていない。もう、帰っちゃうのか?

「明日も、会えますか!」

神田さんは足を止めて、ゆっくりと振り返った。

「明日もまた、来ると思います」

そういった彼女はどこかさみしそうで、悲しい目をしてた。

「どうして、そんな顔をするの。」

僕は小さくなっていく神田さんを見ながら呟いた。その声が神田さんに聞こえたのか、聞こえなかったのかは僕にはわからないけど、神田さんはそのまま見えなくなった。



「あの時さみしそうだったのは僕の気のせいだろうか。」

講義中に一人呟く。その横では榎本がゲームをしている。

「気のせい、なんじゃね?明日もまた来ると思いますって言われたんだろ?ならまた今日会えるってことなんだからその時にでも話せばいいんじゃないか?いっそのこと、あの木から離れて公園のベンチとかでゆっくり話したらいいじゃんかよ。」

「ごもっともでございます。」

「奥手な上杉太陽くんにはできないかもしれないけどねぇ。でも立ったまま話してるから10分かそこいらで帰られちゃうんじゃない?」

確かに。立ち話を長くしたいと思う人間はそうそう居ないだろう。

「今日は、公園まで一緒に歩こうって誘ってみようかな。」

「お?強気だねぇ。ま、頑張んな」



今日は、少しでも長く話したかったから、少しでも早く会えるように走って桜の下まで向かった。

「神田さん!」

いつものきょとんとした顔。

「今日も、また会えましたね。」

「ということは、上杉さん?」

ということは、とは、、、もしかして人の顔と名前を覚えるのがちょっと苦手なのだろうか。

それでも、やっぱり覚えていてくれたこと、それだけでうれしい。

「はい。神田さん、今日は少し散歩しながらお話しませんか?」

言えた。

「んー、、少しだけなら。」

彼女は小さくうなづいた。


「それで、榎本っていう友達がいるんですけど。」

「楽しそうだね。大学。」

神田さんは、また、少し寂しそうな顔をしていた。

そんな神田さんを元気づけたくていろいろ話題を考えるけどいい話題も思いつかなくて。

「そういえば、神田さんいつも、あの時間にあそこにいるのには何か理由があったりするの?」

「・・・うん、まぁちょっとね。」

僕に会いにわざわざ来てくれてるわけでもないだろうし。

「あの桜の木に何か思い入れがあるとか?」

そういった刹那、神田さんの頬には一筋の涙が零れた。

「あ、ごめん。今のなし。」

ってそんなこともできないか。

「ううん、上杉くんは何も悪くないの。」

そうは言ってくれても罪悪感だけが、残る。

「ごめんね、もう今日は帰るね。」

「あ、」

もう一回謝ろうとしたけど、何も言葉にすることができなくて、神田さんは行ってしまった。

今日が金曜日で明日から春休みに入るのに次会う約束もできないまま。

終わった。そう思った。


「ちーん。」

「僕はこの春、初恋をして、その恋は儚く散っていきました。」

「何言ってんだぁ?お前。」

許してくれ、神よ。

「まぁ、その話題は触れてはいけない話題だったのかもしれないけどな、別にお前は悪いわけじゃない。だって、そんな話題でそんな結果になるなんて誰が想像できたんだよ。」

そうは言っても、神田さんを泣かせたのは事実で。

「もう、会えないのかなぁ。」

今日も来てくれるのかな。でもあんなこと言われた後だし、、来てくれない、かなぁ。

「はぁ。」

溜息ばかりこぼれる。


日曜日。

昨日は結局来なかった。


月曜日。

会ったらすぐに謝りたいと思った。だから僕は桜の木の下で待つことにした。なぜかわからないけど、今日は会える、そんな気がしていた。


夕方になったころだった。

「今日は少し冷えるなぁ」

春の冷たい風が通る

後ろから声がする。振り返るとそこには神田さんの姿があった。

「神田、さん。」

安堵と申し訳なさが同時にこみ上げ、弱弱しくつぶやいた。

「はい?」

「神田さん、この前はごめん。無神経なこと言ってしまって。もう会ってくれないかと思って、すっごい後悔して、でも会えて、よかった。」

「んー、上杉くん、だよね。」

神田さんは、この前のことなんて全く気にしていないように笑っていた。

でも、そんな神田さんの顔が余計に見れなくてうつむいてしまった。

「上杉くんが私に会うのは今日で何日目なのかな」

そんなことを急に言われても。

「1日目に初めて私を見たんだよね。その時私は泣いていた。」

そう、あの時は桜が舞う綺麗な場所で君が泣いていた。それで一目惚れをしたんだ、

「二日目に初めて私と会話をした。その時に自己紹介もした。」

そう二日目に自己紹介をした。

「三日目に上杉くんは大学生という話をしてくれて、それだけで終わった。」

「四日目に上杉くんは少し歩きながら話したいって言って来た。私はその提案をうけて少しだけ歩きながら会話をした。そこで上杉くんは私になぜいつも来ているのか質問をしてきた」

「そして君を泣かせた。」

そういった僕を見て神田さんは微笑んだ。

「本当はね、謝らなきゃいけないのは、私のほうなんだ。」

「でも、」

「本当はこんなに話すつもりも会うつもりもなくて、すぐに忘れるだろうとか、あっても挨拶程度だろうとか思ってたけど、上杉くんはいつも何か話をしようとしてくれて、私とかかわろうとしてくれていた。」

神田さんは歩きながら言葉をつづけた。

「だけどね、私は上杉くんにうそをついてきたの。ずっと。最初の日から。」

「え?」

言ってる意味が分からない。僕の理解能力がないだけなのだろうか。

「少し、歩きながら話そうか」

今度は彼女からの誘い。

僕は頷く。

「信じてもらえないかもしれないんだけど、今上杉くんが会ってる私は、最初に会った私じゃなくて、二回目に会った私でもなくて、三日目にあった私でもなくて、きんようびの私でもないの。」

何が言いたいのかわからない。さっきから神田さんは何を言っているのだろうか。うそをついているとか。違う人だとか。

「驚くのも無理ないよ。信じれないのもわかるよ。順を追って説明しないといけないよね。ごめんね。」





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