プロローグ
それは、幼い日の夕暮れ。
いつだったかは思い出せないほど曖昧な記憶。
だけど、そんな中確かに覚えている背中があった。
大してかっこよくないピチピチのスーツにセンスのないマントをたなびかせ、俺の前に両手を広げ、立つ。
かっこ悪かった
すぐに倒された
けど、何度も立ち上がった
その背中に幼い日の僕は
ーー憧れたーー
………………
…………
……
2020年、世界は大きな成長を見せていた。
突如として世界各地で確認された異常事態は世界の経済、秩序、時代の躍進全てに影響を及ぼした。
ー超人力ー従来の呼び方で言えば魔法、超能力、異能……様々な呼び方が付けられ、そのどれもが実在しなかったモノたち。
ある者は数トンもあるダンプを片手で持ち上げ、ある者は口から火を吹いた。
しかしながら、超人力がもたらしたのはいい結果ばかりでは無かった。従来の兵器では太刀打ちできない超人力を発現させた者の一部が犯罪に走ったのだ。
各地に跋扈し始めた悪人たち。警察、軍隊、様々な公的機関がほぼ意味をなさなくなった中で唯一悪人たちに対抗できる者がいた。
同じく超人力を持った人間で、なおかつそれを正しく使う者達。
超人力を巧みに操り、悪人たちを退ける。
その姿を見た者は口々にこう言ったのだ。
正義の味方だ……と