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⑤
少女はオネェ魔女の家を出てから、夕暮れの森を歩いていた。
「キシャアアアア」
モンスターの集団が、少女を取り囲む。
「うわああ!!」
少女に獰猛な牙、鋭い爪が襲いかかる。
「深緋なる焔から出でし、精霊よ
憐れなる獸を焼き尽くせ!」
モンスターの身体は、少女に被害をもたらすより先に、たちまち墨と化した。
「オネェ魔女さん!!」
「なんで今、その呼び方しちゃうのよ?(カッコつかないじゃん…)」
「どうしてここに!?」
「さあね」
オネェ魔女は少女に手を伸ばした。
「え?」
「帰るわよ」
「でもボク…なにもできないから
いてもただの穀潰しになるよ?」
「いいわよそれで…家に帰れるまで面倒みてやるわ」