②友人と少女と木の実
俺には昔、魔物退治で一緒に戦った元メンバーの知り合いがいる。
そいつと久しぶりに会う約束をしたのだが――遅い。
俺はいまだに恋人ができないが、奴は俺より二倍年上だからそろそろ子供でもいるんじゃないだろうか―――。
「久しぶり」
「どちら様?」
本当は気づいていたが認めたくない。
なんか魔法使いのローブが女物になっているなんて。
「…お前格好はともかく、昔はそんな話し方はしていなかったよな?」
奴は一見魔女のような姿をしているが魔法を使える男である。
しかし魔男という単語は存在しないので呼び方に困る。
知り合いはたった二年で人が変わったようだ。
「いやー魔王倒したときにスッゴク負荷がかかってその反動でこうなったのよ~」
実に中途半端に女男になっている。
「赤ちゃん(女の子)が生まれたわ可愛いでしょう?」
というか知り合いが抱き抱えているのは赤ん坊ではないか。
まさか魔法使いは性別を超越しているのか?
「驚いた?本当は、オ…じゃねえわアタシが拾っただけなのよー」
「あ、手がすべった!」
「ふぎゃっ!」
なんてことだ奴は赤ん坊を落としてしまった。
赤ん坊が大変な事になってしまう!
というか落下した直後、何者かの声が聞こえた。
「いたた…落とすなんてひどいよ!!」
「どちら様?」