大変な新人教育
「よ、よろしくお願いします!えっと…グリズディさん。」
「…こちらこそ。まずは…テーブルの上を…
拭く作業から…。」
「は、はい。こうですかね?」
メリィはテーブルを押さえず、拭いたのでテーブルは
勢いよくグリズディの方に倒れていった。
「…危ないし、俺はそこまでやれとは言ってないぞ…
テーブルを手で押さえてくれ…頼むから…。」
「す、すみません…グリズディさん…。」
一方、その頃ユリアとレマ・イリアはテーブルを拭く作業を
終え、次の作業の説明を受けていた。
「これでええですか?」
「そうそう!上出来っ☆テーブルを拭く作業は
こんなものね。次は、グラスとお皿をテーブルに置くの。
やってみて?」
「はーい!」
ユリアはテーブルに普通に皿を置いた。すると、粉々に皿が
砕け散り辺りに飛び散った。
「お皿、どーして割っちゃうのっ!」
「あれ?おかしーわ。変な力ついてもーたかなぁ?
全然、力入れて無いんやけどな…。」
「先が…思いやられる…。」
その日の夜、店の扉を開けてサリナが帰ってきたと同時に
泣きつくようにレマ・イリアがサリナに近づいてきた。
「サリ~。」
「あらっ?レイちゃん!どーしたの?あの2人は
どうだった?」
「それがね、聞いてくれる?ユリアちゃんがお皿
割ったのよ。」
サリナはレマ・イリアの頭を撫でながら、グリズディに訪ねた。
「それは大変だったわね…。で、メリィちゃんの方は
どうだったの?グリ。
「…その呼び方…やめて下さい…。メリィさんなら…
テーブルを倒しました…」
「…そう。でも、2人とも慣れて無いだけだと思うから、
もう少し様子見たら?」
2人は顔を見合わせて、呆れ顔で言った。
「…仕方ないね。」
「…分かりました。…また明日、考えます…。」
一方メリィ達は、部屋のダブルベッドで寝ようとしている
所だった。2人の部屋は同じである。
「…ねぇ、ユリア…寝ちゃった?」
「…寝てへんで。…何や?」
「…今日、失敗しちゃったね…いっぱい…」
「…そうやな…」
「…明日こそは失敗しないで、頑張ろうね。」
「…そうやな…明日早いから、もう寝るで!
お休み…メリィ…」
「お休み…ユリア…」
こうして2人のアルバイトは、始まっていったのである。