仕事の仲間たち
「…着いたわ…ここみたいやなぁ…。なんか、めっちゃファンシーと
言うか…メルヘンと言うか…。」
2人が地図を頼りに、たどり着いた場所は薄ピンクの屋根に
クリーム色の壁。それに、緑色の看板が掲げられた店だった。
「え~?私は結構好きだよ。」
「…うちはあんま好きやあれへんねんけど…とりあえず、
開けてみーへん?」
「そうだね…」
「こ、こんにちは~…」
メリィとユリアの2人は同時にドアを握り、ドアを開けた。すると、
店長らしき人が2人のほうを見て話しかけた。
???「あらっ!いらっしゃ~い。あなた達が、セイドに紹介を
受けて来た子達よね?」
「…え?」
2人は驚きを隠せなかった。何故、セイドのことを知っているのか…
メリィは思わず聞いた。
「…何で知っているんですか?」
???「それは…セイドとあたしが昔からの知り合いだからよ。
えっと…2人ともココに座って頂戴。」
「はい…。」
女の人に言われるがまま、カウンターに面している
正面の席に2人は座った。
???「で、2人は名前は何て言うのかしら?ちなみに、あたしは
サリナって言うのよ。よろしくね☆」
「…こちらこそ…。」
しばらく沈黙していたが、空気に耐え切れなくなったメリィが
沈黙を破るように喋り出した。
「…えっと、私はメリィと言います。それでこっちが…」
メリィに紹介される前にユリアは口を開いた。
「ユリア言います。よろしゅうたのんますわ~。」
「…メリィちゃんにユリアちゃんね!覚えたわ。今日来てくれたのに
悪いんだけど…今日、定休日なのよ。」
「ええっ!?」
2人は驚きを隠せなかった。
「困ります…サリナさん…。」
「だから、今日はあなた達以外にここで働いてる人たちを
紹介するわ。みんな~お客様よ~。」
サリナはそう言うと、二階に上がっていった。そして、
約10分後…戻ってきた。
「2人とも御免なさいね。待たせちゃって…。えっと、
左からグリズディにレマ・イリアよ。仲良くしてね♪
2人の先輩になる子たちよ☆」
「…どうも…」
「こんにちはっ☆」
「よ、宜しくお願いしますっ!」
メリィとユリアの2人は、ふかぶかと頭を下げた。
「これで、みんなの自己紹介は終わったわね。仕事は
明日からなんだけど、仕事内容は今日教えるわ。この2人を
教育係にするから、色々と教えてもらってね☆」
「ええっ!?」
2人は驚きを隠せなかった。なぜなら、他にやることがあった上に
サリナがメリィ達に色々と教えるものだと、思っていたからだ。
「ちょっと!サリナっ!私、これから馬のエサやりが
あるのよ!」
「…俺は伝票の確認を…しないといけないんですが…」
「ん~それなら大丈夫っ♪レイちゃんの仕事も、グリの仕事も
あたしが終わらせといたから!」
レマ・イリアは思わずつっこんだ
「早っ!」
「でも、何で私たちなの?サリナでもいいじゃない。」
「…実は、配達で牛乳の本数が足りなかったらしくて…
これから、届けに行かないといけないのよ。あたしにしか
分からない住所なの。じゃあ、行ってきまーす!」
レマ・イリア達二人は、サリナを問い詰めるのを諦めた。
ズルい言い訳だなぁ…と思いながら。