冷たい指先
寒さに振るえる。冬の月。
僕は赤くなった手をこすりあわせる。
口元に近づけ吐息を吹きかける。
少し暖かくなると、すぐにまた冷えていく。
あぁ寒い。
コートのポケットに手を入れ、薄暗い空を見上げた。
雪が降りそうだ。
早く帰ろう。
雪がちらつき始めた。
カーテンをずらし、窓ガラス越しに外を眺める。
暖かい部屋にいると外の寒さを忘れてしまう。
だけど、冷え性の僕の指先はまだ冷たかった。
暖めたくて拳を握る。
「ねぇ早く…。」
僕より冷たい手が僕を掴んだ。
寒い。
外から視線をはずす。
振り返った先には艶容な笑顔。
暖めたたまりたくて、彼女に手を伸ばす。
「冷たい。」
冷たい声が僕を貫く。
分かっている。
「冷え性なんだ。」
苦笑する。
「すごく冷えるんだ。」
彼女は拒否するわけもなく僕に抱かれる。
温まらない指先が本当にほしがる物を僕は手に入れない。
替わりも聞かないのも分かっている。
分かってるさ。
一時しのぎに、間に合わせの温もり。
「寒いね。」