説明、初戦闘、反撃、そして……。その4
AQUA・WORLDの中で作者が特に気に入っているキャラの一人、華さんの登場です。
結果。今日の戦闘で俺のLVは3となった。
アストライアに帰ってきた俺たちはポップで出た金を使い、近くの喫茶店で休んでいた。
サクは緑色の炭酸飲料らしきもの、俺はコーヒーを注文した。
「ふう。これで一応、一通り説明は終わったね。僕はピュアファイターだから、ギミックとアートは教えられなかったけど。セイ君はこれから妹さんを探しに行くんだよね?」
「まずは、自由に泳げるような場所を探さないとな……」
妹は泳ぐことが好きだ。ならば、泳げる広い場所に妹はいるはずだ。ただ、
「ここは水ばっかりの世界だということが問題なんだよな」
探す範囲があまりにも広すぎる。
俺とサクが二人で唸っていると、一人の女性が近付いてきた。
「わたくしなら、一つ、心当たりがありますわよ」
そう言ってきた女性はどこかのお嬢様のような服装をしていた。
俺はファッションについては良く知らないのだが、この女性の服はふわふわとしたもの(フリルとかレースとかいうものだろうか)に包まれていた。手に持っている帽子も同じ素材でできているようだ。
そしてこの女性、とても美人だ。キメの細かい白磁の肌とウェーブのかかった金色の長髪が自然と似合っている。これでじっとしているのであれば、避暑地に来たお嬢様か、精巧に作られた人形に見えるかもしれない。
「申し遅れました。わたくし、華といいますわ。ですが、サクさんとセイさんはわたくしのこと、ご存知ですわよね」
だが、
「「……何しに来たんですか、華さん」」
俺達というよりサクにとって、華さんは黒幕に等しかった。
「たまたま近くでお茶をしていたらサクさんがおりましたので、ついでに助言をしようと思った次第ですわ」
「心当たりというものは?」
「一週間後、アクエリアという町で水泳の大会がありますの」
「いつも思うけど、VRMMOやってまで水泳って……」
サクは若干引いていた。
「そこがAQUA・WORLDの醍醐味ですし、水着の調整でこの前注文が入ったので私たちも問題ありませんわ。本題に戻りますが、今回もあの人が参加するらしいですわ。『人魚姫』さん」
「アクエリアス……、水がめ座の街に水がめ座の名前を持つ女性プレイヤーか」
「そのアクエリアスさんとやらが俺の妹とどう関係するんだ?」
「あなたの妹さんは泳ぐことが好きなのですよね。泳ぐことが好きな『人魚姫』さんなら、妹さんの居場所も知っているはずですわ」
「どうすればアクエリアという街に行けるんだ?」
何気無く聞いてみたその問いに対して、サクと、なんと華さんまで微妙な顔をした。
「「正直、僕達|(わたくし達)では無理(ですわね)」」
二人の言葉はほとんどかぶっていた。サクと華さんって、本当は相性がいいのではなかろうか?
「僕たちじゃ、たどり着く前に全滅すると思う。まあ、手が無いわけじゃないんだけど。ちょうどアストライアに『海軍』っていうギルドがいて、そのギルドマスターと知り合いなのだけどさ」
いったいサクの交友関係はどれほどなのだろうか。一度調べてみたい気もするが、それは別に今でなくても良いだろう。
「その人たちのPTに一度入って連れて行ってもらうのはどうだろう?」
「でも、わたくしから一つ条件があります」
サクの提案に対し、華が話を遮った。
「うぐっ」
どうやら、サクは華さんが何を言おうとするのかがわかるようだ。……顔が真っ青である。
「わたくしとサクさんで『海軍』のギルドマスターさんと交渉しておきますので、セイさんは一人でアクエリアに向かってくださいな」
「ぼ、僕がアクエリアを案内しようと思ってたんだけど……」
そうサクが反論しようとすると、華さんはにっこりと笑って、言った。
「サクさん。まさか、『約束』を忘れたなどとはおっしゃりませんわよね?」
次回でアストライア編はひとまず最終回です。
やっと妹が出ます。……少しだけですが。