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AQUA・WORLD  作者: あすぎめむい
アストライア編
3/34

魅せられた人々1

 『AQUA・WORLD・ONLINE』通称A・W・Oその名の通り、水の世界である。


 事前にサクから聞いた情報によると、このゲームは他のとは違う点が二つあるという。


 一つ目は戦闘のシビアさ。まず、初狩りはPTを組まなければ、ほぼ勝てない。


 どのステータスが育つかは戦闘しだい、自由に振り分けることができない。しかもステータスは基本、街にある専門の店でしか確認できないという。


 魔法に近いものは無くはないのだが、強力なものは習得するのがなかなかに手間だったりする。


 そもそもそれらはイベント発生条件がほとんど分かっていない。その分、使えるものは尊敬されたり恨まれたりするらしい。

 

 その上、水中での戦闘が多い。この世界の人間は水中でも長時間行動でき、水の抵抗はほとんど感じないのだが、空中戦に近く、慣れるのには時間がかかるという。


 もう一つはグラフィックの美しさである。




「凄え……」


 初めはそんな言葉しか出せなかった。これがゲームのグラフィックなのか本気で疑ってしまう。もはや、俺は外国に来た気分だった。


 橋一つ、壁一つ、タイル一つとても精巧に作られている。


 試しに壁を触ってみる、これがMMORPGの感触なのか。ほとんど現実のものと変わらないじゃないか。


 サクは自分の宝物を自慢するかのように微笑んでいる。


「凄いな。これがMMORPGなのか。俺もはまってしまいそうだ」


「でしょう? いつかこれをセイ君に見せたかったんだ。それで、聞きたいんだけどさ。セイ君はここで何をしたいの?」


「俺? 別に俺は妹の様子を見に来ただけだしなあ」


「それじゃあだめだよ!」


 サクは声を張り上げた。目を合わせられないほど怒っている。サクはいつもは気が弱いのだが、人の感情や誇りを感じる力はだれよりも強い。……俺はそれに何度振り回されて、何度助けられたか。


「A・W・Oをなめているの? このゲームの中にいる人たちは何かしら自分の楽しみを見つけているんだよ? 断言する、君はそのままじゃ絶対に妹さんに会えない。会えても妹さんはセイ君を相手にしないと思う。だってここはもう一つの現実だもん」


 俺は恐らくこのゲームを無意識に舐めていたのだろう。サクにそのことを気づかされた。俺だって譲れないものがある、このゲームにいる多くの人たちはA・W・Oが非難されれば憤慨するに違いない。彼らにとってはこの世界も自分の世界のひとつなのだ。


「すまんな、俺はA・W・Oを無意識とはいえ、ただのゲームだと思っていたよ。ありがとう」


「分かった? なら行くよ、まずは装備とアイテムを買いそろえないとね」


 俺たちは防具屋に向かった。まずは装備を整えるのだ。




「いらっしゃい、サクさん。あら、お友達とは珍しいですね」


「相変わらずミストさんはさらっと酷いなあ」


 ミストさんとやらの挨拶にサクは苦笑いを浮かべた。どうやら二人は知り合いらしい。


 ここはプレイヤーショップ|(流石にある程度は調べた)である。サクの話によると初めてここに来た時に色々と助けてもらって以来の知り合いだそうだ。


「私のところに誰かを連れてくるってことは、彼は初心者なのですね?」


「まあ、そういうことです。とりあえず、ソロプレイできるくらいまでPT組みますので、AGIビルド向きの軽くてそこそこ強い防具を作ってくれませんか?」


「軽くてそこそこ強い……サクさんかなりむちゃを言いますね? つい先程、新しい素材がその防具を作るのに適しているので期待には添えますけど、高いですよ?」


「…………、……いくらですか?」


 冷や汗をかきながらサクが問う。答えるミストさんもなぜか申し訳なさそうだった。


「……20000C」


 Cとはこの世界の貨幣である。因みに初期の所持金額は1万5千C。


「……失礼ですけど、まけてくれませんか?」


 普通無理な話である。しかし、ミストさんはたっぷり30秒ほど考えると、


「無理。……と他のプレイヤーなら断るのですが、サクさんの頼みなら、一つなんでも願いを聞いてくれるという条件で半額……いえ6000Cにしてもいいですよ」


 破格の条件を持ち出してきた。……絶対に裏がある。しかしサクは気にした様子もなく、


「いいですよ、交渉成立です。ところで、願いって何ですか?」


 あっさりと承諾してしまった。


 ミストさんは小さく微笑んで――


「サクさん、貴方を一日お借りします」

ここからサクの女難が始まります。


なんかサクの方が主人公っぽいですね

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