二話
いや、そういうと、多少語弊があるかもしれない。その少女はじっと屋上から、地上を眺めていた。衣里菜に気づく様子はない。風が強いことが幸いしたのだ。
衣里菜は、そこで、先ほど開けた扉が大きな音をたてて閉まるのを聞いて我に返った。その音にも、彼女は反応しない。余程切羽詰まっているのか、はたまた。
さて、私はどうするべきか。と、衣里菜は少し唇を右上に引っ張りあげた。
彼女を助けるか、見殺しにするか。でもみたところあの少女は自ら死のうとしているようだし、それを止めるというのも、とても失礼な気がする。しかし、衣里菜はふと思いあたる。彼女がここで落ちたら、ひとまず学校は大騒ぎになるだろう。そして、もしそのときに衣里菜が屋上にいたことが分かりなどしたら……。
「面倒くさいこと、この上ない」
衣里菜な小さく呟くと、ふむとひとり頷いた。
大きく息を吸う。間に合わなかったらどうしようか。まあ、努力したのだ、問題ない。最後にそんなどうしようもないことを考えて、衣里菜は駆け出した。
「駄目えええええええええ!! 早まっちゃ、駄目っ」
びくりと肩を揺らし振り返る少女。濡れそぼった長い髪が固まりになって、揺れていた。
追いつく、もう少し。衣里菜は手を伸ばす。驚きで固まった彼女は何をするわけでもなく衣里菜を見つめていた。
「ええい、面倒くさい。ほんとに」
彼女には聞こえないであろう声量で言ったあと、やっと掴める位置までよったところで、衣里菜は問答無用で腕を強く引っ張った。ぐらりとこちら側に倒れてくる彼女は、衣里菜を見てゆっくりまばたきをした。
「あ」
おちる。彼女の体は、そのまま衣里菜の方に落ちてきて、衣里菜はげんなりした。
久しぶりに書いたら話を見事に忘れました。
失墜の裏側の別の見方というか。
美香=衣里菜ですがキャラ崩この上ない。
しかし、まあ前の美香もこんな感じです。
全て由子の主観だとそうなっちゃうだけですね。
ネタの分からない人にはどーしようもない話でした。すみません。