表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
松竹梅  作者: 雲丹
2/6

一話

文体ががらりと変わります。

というか、場面転換です。そして前の子と彼女は別人です。

 神埼衣里菜は屋上に続く螺旋階段を、足早に登っていた。リズミカルな足音がただ響いて、そのほか物音などは一切聞こえなかった。

 だからこそ彼女は、高をくくっていたし、油断していた。あろうことかその屋上に先客が居ようなどとは考えもしなかったのだ。

 それは彼女にすればごく自然な考えで、今は授業中で、さらに天気は雨。こんな日に立ち入り禁止の屋上に、好き好んでくる物好きなど、二人も居るはずがない。彼女はそう思っていた。

 雨のせいもあって、湿ってどことなく不気味な雰囲気漂う階段は、確かに常人が寄りつきやすい場所ではない。衣里菜本人は恐怖心など涌きもしないが、それでも他人からしたら、私を含めて不気味なことこのうえないんだろうなと、無責任に思ったりはした。

 長い階段をやっと登り終えて、衣里菜は、ちょっと立ち止まった。

 柄にもなく、鼓動が、早まった。ああ、この感じなんだか恋に似てる。と、大仰に胸に手をおいた。


 衣里菜は錆び付いたドアノブにそっと手を添え捻った。爪で黒板を強く引っかいたような嫌な音がして、重い扉がひらく。

 足を一歩踏み出し、吹きつける雨と風に感動したところで、彼女はみてしまったのだ。まさに今屋上から飛び降りようとしている、少女の姿を。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ