サーカス
いよいよやって来た遠足の日。俺は嫌な胸騒ぎがしていた。この遠足で何かが起きる気しかしないのだ。
「どうかした?」
尋ねてきたのは桑原 優。メガネをかけていて優等生である。術式は風で、情報を得たりして作戦を立てたりしている。こいつは心配性なので俺は。
「いや、何でもない」
と答えた。
1-6は少しの砂漠を徒歩で移動する。最近温暖化が進んで、前は緑豊かだったところも砂漠化し始めてきた。しばらく先生の後につづき歩いていると、先生が立ち止まった。それに合わせてみんなの足も止まる。
「一番後ろの人聞こえるー?」
『はーい』
「そう。いい、みんなよーく聞いて。これから向かうサーカス団は【クラウンサーカス団】。この砂漠化が進んだ地域では有名なサーカス団よ。先生、少しくらい前に遠足でどこ行くか悩んでたのよ。そしたらちょうどこのサーカス団の噂を聞いて書類にすぐさま書いて提出したのよ。いやー、あの時は助かったわ。締め切り近かったし」
無責任な教師だ……。と、みんな心の中で思っているに違いない。
「それでー、いちおー拝見しに行ったの。そしたら先生感動しちゃった。と言う訳で【クラウンサーカス団】に遠足しにきた理由は以上よ」
いい加減な説明で終わったな。まあ元々こういう性格の先生だってことは分かっているけど……。
「よし、それでは行くかっ」
先生が止めていた足を前に進めた。俺達も歩き出す。
それにしても、先生が感動するほどだからきっとすごいんだろうな。
【ドクン】
心臓が高鳴る。それと共に、さっきの嫌な予感がまたした。冷や汗をかく。体は火照って暑いのに、体の中は冷たく感じる。この嫌なものは何なのだろう……。