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過去
序章
「お父さん。どこいくの?」
コレは小さい頃の俺。
「少し遠くに、な。父さんが居ない間、母さんのこと頼んだぞ」
コレは俺が小さい頃に旅に出かけた父さん。
「いやだー!ぼくも一緒にいくぅー!」
小さい頃の俺は駄々をこねていた。
「こらっ。キリト。我が儘を言わないの。お父さんだって困っているでしょう?」
コレは俺の大好きな母さん。
「いやだ、いやだー!うわぁーあぁあん……」
小さい頃の俺は泣き出した。
「はっはっは。いいかー、キリト?お父さんが居ない間はキリトがお母さんのことを守るんだぞ」
「ぼく……が?」
「そうだー。女の人、大事な人を守るのは男の役目だかんなー。しっかり頼んだぞ」
そう言って父さんは小さい頃の俺の頭を力強く撫でた。
「それじゃあ行って来る」
父さんは歩き出した。
「お気をつけて。あなた」
「お父さーん。必ず帰ってきてねー!」
小さい頃の俺は大きく手を振った。
「おうっ」
そして父さんは旅立って行った。