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ホットチョコレート~おいしくなぁれ~

歩美が靖之に頑張って作ろうとしますが、真美が言うにメシマズな彼女が選んだのは?

星に願いを…してみる?の番外編の二人のその後です。

「いい?これなら絶対に失敗しないからね?作ってみようか?」

「もう、真美しか頼れないんだよ。助かるよ」

私は正直に言うと料理が嫌いだ。苦手なんてレベルじゃ済まされない。

高校は行ってすぐの調理実習で家庭課室のコンロを一台再起不能にしたことがある。

けれどもね…愛するダーリンと過ごす最初のバレンタイン位は手作りしたいじゃない?

…で、はっきりと私の料理をメシマズと断言する真美に私でも出来るものを

伝授して貰い、練習することに。

「ねぇ、彼だって、あゆが作れない事知ってるんだから買ったら?」

「嫌だったら、嫌なの。絶対に義理チョコ一杯貰ってくるんだから」

「だったらさ、チョコファウンテンの装置貸してあげようか?体にチョコ塗っておく?」

「それはそれとして装置は貸して」

「…やるんかい。脳みそ溶けてるんじゃない?大丈夫?」

「平気です。…で、私は何を作るの?」

「ホットチョコレート」

「ココアじゃん」

「言いきればいいの。言いきれば」

真美はあっさりとしている。でもココアじゃない。



仕方なしに、真美に横について貰って練習。

「ほら、ミルクを焦がさない」

「火が強い」

「ココアをちゃんと混ぜる。そんな適当に混ぜない」

こっ、怖いよ。私…やっぱり買おう…かな。

「今…買おうとしたでしょう?もう、この光景を写メしたから彼氏はその気だねぇ」

ひぇぇ…。もう逃げられない。どうしよう…。

「あのさ、竜也の方がもっと上のランクのもの作るって張り切ってるわよ」

「いつの事?」

「昨日、いきなりメールが来て。勝負に出るんだって」

「竜也らしいね。竜也は何を作るの」

「…クランチチョコ。これも簡単だけども…あゆにはねぇ…」

真美が遠くの目をみている。

「ねぇ、鍋焦がしたの。何個目?」

「…ごめんなさい」

私はシュンと俯いてしまう。必死なんだけどな。どうしたいいんだろう?

「分かった…。レンジで作ろう。それなら絶対大丈夫だから」

真美の方向転換で再び私達は作り始めた。



「まぁ、そんなところでしょう」

「ありがとう…でもごめんね」

「なんで?」

「真美も…作るんでしょう?」

「何を?」

「哲君のチョコ」

何で、分かり切った事を聞かせる気なんだろう。

「哲は明日の朝にちょっと早く起きて作るからいいのよ。

明日は自分で練習しなさい。竜也が明日は来るの」

「愛の力って凄いわねぇ」

私だったら・・・朝になんて…無理。普段からお料理しているからかな?

「私だって最初は出来なかったわよ。作り始めたの体操やめてからだもの」

「ってことは、私でもできるってこと?」

「うん。相手の笑顔を見たいって思えば上手にできるからね」

「分かった、ありがとう。今日は帰るね」

「うん頑張れ」

私は真美の家からダッシュで家に戻った。もう一度練習しないと。



「歩美、家を壊す気?」

なんで自分の親にそこまで言われないといけないのよ。

「そういう言い方をする親の方が問題だわ」

私は言われた通りの手順で作り始める。

「出来た。なんだ。やれば出来るじゃない」

思った割に上出来で私は嬉しくなってしまう。

「本番に強い子ならそれでいいと思うけど…」

とことん、娘を信用していないんですか。あんまりです。

「帰り、遅くなるからね」

「はいはい、ごゆっくり」

母は私に軽く一瞥してキッチンから出て行った。

一応、心配はしていたのかな?だったらちょっとだけ嬉しい。



私は彼の携帯に電話をかける。ワンコールで出るのが彼らしい。

「靖之さん?今…いい?」

「あゆ…いいけど。明日は開けたから。着替えてから家においで」

「うん、明日の予定って?」

「外に食べに行こうか?クリスマスは家で鍋だっただろ?」

そうだったね。クリスマスは彼の家で鍋食べて…それから…。

ちょっと思いだして私は赤くなる。

「明日は、家に帰すからな。送っていくし」

「うん」

「楽しみだな。どんなチョコが貰えるのかな」

そう言われると私の心が少しだけ痛む。

ごめんなさい、メシマズな彼女で。



あっという間にバレンタインの放課後。気がつくと教室には私一人。

今になって、自信を失くしていた。クラスの女の子が差し出していた

ランクの高いチョコレートを見てしまったから。

真美は、気持ちが一番だよ…って言ってくれたけどね。

気持か…ちょっとだけ前向きになれそうな気がする。

私も自宅に戻ることにした。



「いらっしゃい。結構な荷物だね」

「うん…。たくさん貰ったんでしょ?」

「義理だって。あゆも食べるか?」

「そうじゃないよ。準備してもいい?」

「いいよ。見てない方がいいよな」

「出来れば…ね」

「分かった、仕事してるから、終わったら呼べよ」

「うん」

私は昨日練習した通りに作り始める。鍋で作って火傷したりした私を

見かねてお湯で少し溶かしたココアにレンジで温めたミルクを少しずつ

溶かしていった。甘いココアとミルクの甘さがキッチンに広がる。



「靖之さん?出来たよ」

寝室兼書斎になっている彼の部屋のドアの前で呼んでみる。

「じゃあ、持ってきて」

私は言われた通りトレイにホットチョコレートを入れたカップを置いて運ぶ。

「はい、どうぞ」

「おぉっ。俺ホットチョコレート好きなの知ってたのか?」

「知らなかった」

でも…喜んでもらえた。凄く嬉しい。

「あゆもこれから頑張ろうな。お料理」

「うん…。で、これは俺から」

小さな箱を手渡される。これって…もしかして…

「や…靖之さん?」

「あぁ、卒業したら結婚しよう。小さいものでごめんな」

そう言って、箱を開けて左手の薬指にはめた。

はめられたそれは私にしか合わないって位、デザインもサイズもぴったりだった。

「あいつらが指輪をしているのをいいなぁって言っていたからさ。…で、普段はこっちな」

今度はシルバーのシンプルなリング。

目元が潤んでしまって、彼の顔がもう見られない。

「卒業まで後1年だから…あいつらと同じになるが婚約しよう」

「…はい、先生」

「先生はもう、なし…愛してるよ」

「私も…愛してる」

「さあ、食事に行ったら、ご両親に挨拶に行くか?お母さんは知ってるんだろう?」

「うん、お父さん…びっくりするかな?」

「きっとな。殴られるのは覚悟してるぜ」

靖之さんはニヤリと笑う。大丈夫。父はそんな人じゃないよ。

「でも…ごめん。父は口が達者だよ。弁護士だから」

「うっ…そうだった。通報されちゃうかな?」

「大丈夫。私が守ってあげるわ。ダーリン?」

「頼もしいですね。俺の奥さんは」

彼はそういうと私のおでこにチュッとキスをした。


I always love you. 私の想いはあなたより想ってる…はず。



一応、二人の話はここが最終地点になります。

その前の付き合い始めるまでの構想がチラリとあったりします。


その時が来るまでお待ちください。

竜也との時系列を揃えるために変更しました。

次に出てくるのはだあれかな?

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