ブラウニー ~coffee break sideリョウ~
僕らの恋模様のその後です。思い切りネタバレです(本編完結してません)
知りたくない人は…読まない方がいいです。
基本的には本編には触れてはいません。
「行こうか?りお」
「リョウ…待って」
年末に俺の方から告白してから、カレカノになった俺ら。
それなのに、俺はつい先に歩いてしまう時がまだある。
「りお…ごめんな」
俺は立ち止まって、彼女に手を差し伸べる。
「もう…忘れないでよ」
彼女が俺の手に自身の手を添える。それだけで意識してしまう。
「今日はどうする?」
「実力テストの問題で教えてほしいのと、物理の宿題」
「じゃ先に勉強してからお茶にしようか」
「そうする。今日は寒いね。…雪がまた降るのかな?」
とりとめのない会話をして俺に家に二人で帰る。
「…だから、加速度はどれになる?」
「ここ?」
彼女はテキストの数字を指差すが、それは…ちょっと違うぞ。
「違うよ。こっちね。問題を良く読んでみよう」
「そっか…やっぱり私…」
そそっかしい彼女はよくそういうミスをする。
いじける姿ももちろんかわいいけど、一番かわいいのは、頑張っている時だ。
「俺は頑張っているりおが好きだよ」
自分で思いを伝えたのに、彼女が真っ赤になって俯いてしまった。
…何か間違えた?ちょっと俺は不安になる。
「リョウ、嬉しいけど…恥ずかしいよ」
怒っている訳じゃない事が分かって俺はホッとした。
「りお…もう分かるだろ?俺…おやつの準備始めるぞ」
「うん、頑張る」
俺はキッチンに入って一人で見つめる。こんなにもかわいい彼女を
誰かにくれてやろうなんて思わない。
俺が愛しいと思った初めての人なんだから。
でも…彼女は俺がこんなに想っている事…気がついてない。
それが少しだけ…もどかしい。
冷蔵庫から切り分けたブラウニー。少しレンジで温める。
ミルクパンでミルクを温める。コーヒーメーカーのスイッチを押す。
ボールに生クリームを入れて、電動泡立て機を使って、しっかり角が
立つまで泡立てる。寒いとすぐに生クリームができるからありがたい。
ボールから小皿に生クリームを移して、トレイにブラウニー、カフェオレボール
生クリーム、砂糖をのせてダイニングテーブルに運んでセッティング。
そして俺は彼女の元に戻り、耳元で囁く。
「お嬢様、お茶のお時間ですよ?」
彼女はダイニングテーブルのブラウニーを見て驚いた。
「リョウが作ったの?」
「あぁ、朝に作ったから少しあたためてみたけど」
「だから、今日はパン屋さんだったのね。でもそれって、私がやるんじゃないの?」
「りお?元は今日は恋人の為のお祭り。男がプレゼントしてもいいの。
チョコ以外にしたら、りおが気にするかなって思ったんだけど…やっぱり嫌か?」
「違う。男の子から始めて貰って。しかも手作りで嬉しいの」
「座ろうな?ほら?」
俺は椅子を引いて座らせる。そう言った所作は親父が煩いからつい癖でしてしまう。
「リョウ、今すぐにでも執事になれそうね」
「母さんにその話しないでくれよ。りおもメイド服欲しいか?」
「…はるかさん、本気で買いそうだから止めておく。カフェオレなのね」
「チョコレート菓子にはこっちだろう?今日は冷えるしさ」
暫く、二人で学校であった事を話しながらのcoffee break。
いつもはお茶が多い俺達だから目新しいかもしれない。
「そうだ。私もあるんだよ」
りおがかばんからラッピングされた箱を取り出した。
「はい、リョウ」
彼女が俺に手渡す。調理実習のもの以外では、初めて貰う手作りのもの。
「開けてもいい?」
「いいけど…形がちょっと…」
「形より気持ちだよ。俺はいつも言ってるだろう?それとさ、父さんああ見えて
実はチョコが好きなんだよ。好きな子から貰ったものは一人で食べてもいいだろ?
俺は一人占めしたいんだけど?」
正しくは、りおも一人占めしたいんだけど…言ったら引くよな。
「私も…一人で食べて欲しい」
「本当はね…貰えないんじゃないかって思ってたんだ」
俺はずっと張りつめた糸の一部が切れた気がした。
「だって…校内じゃ恥ずかしくって…」
「冷やかされたくないものな。サンキュ」
俺は彼女に最大級の笑顔を見せた。
「りお?明日何処かに出かけようか?」
「学校休みだけど…レポートはどうするの?」
「…忘れてた。明日レポートやって木曜日にしようか?」
「どこに行く?」
「天気に左右されないところにしようか。残りの宿題やろう」
久しぶりの彼女とのデート。どこに行こうか悩む。母さんの編集さんから貰った
室内アミューズメント施設のチケットがあるから、ちょっと遠いけどいいかな。
彼女の事を好きというよりも、狂おしい程愛してる。手を触れたい。
黒い髪に触れたい。顔を触れたい。何かきっかけがあったら肉食男子として
行動してしまいそうな自分がいる。俺は…そんな事をしたくない。
けれども…彼女を愛しすぎて…彼女が欲しくて堪らない。
「リョウ、どうしたの?」
「何でもないよ。終わった?」
「うん」
彼女がにっこりと笑って答える。この笑顔、この笑顔に惚れたんだ。
「りお…愛してるよ」
りおの目に涙が一杯になって、ポロリと一粒の涙を落した。
俺はそれを指で拭う。
「ごめん、驚いた?でも…気持ちは本当だよ。りおに触れたら…俺…
自信がないんだ。りおが壊れてしまいそうで」
「リョウ…」
「俺は哲達みたく、腹も括れない、ヘタレなんだよ」
「違うよ。そんなことないよ。そんなに想われて私…嬉しいよ」
「だから…りお…俺が18になるまで待っててくれるか?」
彼女はポカンとして俺を見ている。
「俺…本気だから。りおが欲しいけど、精神的には守ってやれるけど、
経済的にも守れるように…俺…頑張るから…それまでは…」
俺は彼女の目を反らさずに見つめる。彼女の顔に安堵の色が見えた。
「分かった。その日が来るまで待ってる。私も…いい女になる」
りおの手を俺の手に大事なものを持つように包む。
それから…その手の甲にそっとキスをした。
「とりあえず、予約。今度、りおの両親に会おう。ちゃんと話そうな」
「うん、リョウ」
彼女は幸せそうに微笑んだ。
I always love you. これからも…ずっと一緒だよ。
男の子からプレゼントしてもいいですよね?
なんか、私が書いている男の子たちは想い過ぎてる気がして
仕方ないです。
まぁ、いいか。狂想曲だし…。




