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生チョコレート ~忘れないで その後のFry To The Moon~

2本目の短編だったあの二人のその後です。


ある満月の日に片想いの彼と一緒に帰った女の子その後です。

I love you.を月がきれいだと言った明治の偉人に共感する二人です。

(本編は読まなくても、読めると思います)

その日は別に学校に行かなくてもいいんだけども、朝に届いた合格通知を持って

私は学校に行くことにした。久しぶりに…彼に会えるかもしれない。



自由登校の前の日に、私達はある約束をしていた。合格通知が届いたら…

私がメールを送って放課後の生徒会室で逢おうと。

2週間ぶりの制服。この制服を着るのも、今日を入れても後4日しかない。

ちょっとだけセンチメンタルな気持ちになる。

カレンダーを見ると今日は2月14日。今日位…勇気を出してみようかな。

チョコレートケーキはやり過ぎな気がするから、生チョコにしよう。

無印良品の製作キットは買ってあるし、香りづけでコアントローを入れたい。

ラッピングの資材もあるのでどうにかなりそう。



出来上がったチョコをラッピングして、合格通知をカバンに入れてから

私は家を出ることにした。両親は仕事だから学校に行きますと

書き置いてから家を出る。

学校に近付くにつれて自然と早まる私の鼓動。

今…背中を叩かれたら…私、心臓を吐けるかもしれない。

普通なら足取りが軽くなるはずなのに、今日はとても重たく感じる。

「まずは合格おめでとう。後は前期日程か?」

「そうですね。やれるだけやります」

職員室で先生達とやり取りをしても全く頭に入らない私。

元々は国立が第一志望でなくて、合格通知を貰った学校だ。

どちらも受かったらどうしようかな。まぁ、ゆっくり考えよう。

私の人生は私が決めないと。一度しかないんだから。



暫く、先生方とやり取りをしてから私は職員室を出て、次の目的地へ。

途中にあるのは、私のクラス。シーンとした教室に入る。

コツ、コツ、コツ。私だけの靴音はとても響く。

…というより、この階には私しかいないはず。

教室の後ろの黒板に私は小さく書き込む。

-第一志望受かりました。皆のおかげです 亜也-

黒板には、私の様に進路が決まったクラスメイトが書き込んでいる。

進学校だから全員が進学する。地方に進学するクラスメイトもいるようで

その子たちは皆で近くに住もうと決めたらしくて、今頃不動産屋巡りだ。

しかも…受験生の宿プランを利用して。それっていいのか?

でも…周囲の部屋に迷惑をかけなければ…いいのかもしれない。



「さて、行きますか。さっさと決着付けますか」

暫く机に座って外を眺めた私は自分に喝を入れてから歩き出した。

彼が待っているであろう…生徒会室に。



生徒会室前には、10人位の女の子がいた。今期は皆男の子だものね。

去年まではその部屋の住人だった事が今になると懐かしい。

折角だから、私物を持って帰ろう。何が残っていただろう?

「あれぇ?先輩。何で学校にいるんですか?」

「うーん、ちょっと用事があってね」

私は何でいるかはあえて伏せておく。私が言うことでそれが自慢に

取られてしまう恐れがあるから。

「生徒会室に用事があるんですか?」

「うん、予餞会の事で少し打ち合わせをしたいんだって」

本当は当日でもいいんだけども…少しだけと嘘とかなりの見栄。

そんな自分がピエロに見えてくる。

ドアの入り口で他の女の子とやり取りしていた彼と目が合う。

射抜かれたような強い目力に私は動けない。

彼はゆっくりと私の所までやってくる。そして笑顔で話しかける。

「あっ、先輩来たんですね。お待ちしてましたよ」

「ごめんなさいね。遅くなって」

「いいんですよ。皆ごめんね。これから打ち合わせだから帰って貰っていい?」

彼は無駄のないセリフで女の子達を排除する。

彼に嫌われたくない女の子達は渋々と退席した。

「どうぞ、お入りください。お待ちしてましたよ」

彼に促されて、私は室内に入った。



「受かったんですね。本命ですか?」

「そういうことになるわね。ありがとう」

彼が私にコーヒーを入れてくれるけど…そのコーヒーメーカーは私の私物だ。

持って帰れそうかな…聞いてみようかな?

「それで…今日が合格通知が来たのは偶然ですか?」

彼は意味深で私の顔を見る。

「もちろんよ。ちょっと失礼じゃない?」

「僕にチョコを渡しに来たんじゃないんですか」

彼はちょっとだけ拗ねているみたいだ。

「見てよ…ちゃんと合格してるでしょう?」

私はカバンから出して合格通知を見せた。

「本当だ。でも浪人してくれれば良かったのにな。留年でも良かったのに」

不躾に彼は失礼この上ないことをのたまう。留年ですと?ありえません。

浪人は…結構ありえたけど。

「酷い…どうしてそんなこと言うの?」

私はさっきの言葉がショックで不安が隠せない。

もしかしたら、この2週間で私達の距離が悪い方向で離れてしまったのかもしれない。

私はチョコを渡すタイミングを失くしてしまって、俯いた。



ギシッ。彼が椅子から離れて私の背後に立った。

「ごめん…俺…先輩と一緒にもう少しいたかったんだ」

「えっ?」

「だって…留年だったら、同じ学年で卒業できるし、浪人なら予備校で逢えたから」

「そんな事ないよ。時間は作ればいいんだから」

私は彼が想っている事がなんとなく分かる。

でも…この年齢差は永遠にこれからも続く。今度表面化するのは就活なんだろうな。

彼と離れるのは、やはり寂しいと私自身が訴える。やっぱり…伝えないといけない。



「一緒に見た満月を忘れないでね」

「あの日のですか。凄かったですよね。あの日の月は」

彼も思い出したみたいだ。あの日…放課後に一緒に見た満月の事を。

「僕…俺も忘れてませんよ。あの日の事は」

今なら…きっと渡せる。私はカバンから作った生チョコを取りだした。

振り向いて…今なら…絶対に言える。

「I love you」

私は彼にチョコと渡しながら、ずっと言えなかった言葉を紡ぐ。

私の気持ちは受け入れてもらえるのだろうか?



彼が顔中を笑顔にして私を見る。

「月がきれいですね。今の俺もそう訳せるよ…亜也」

彼は優しい目で私を見る。ゆっくりと私の頭を撫でる。

「告白してくれるのは待ってたよ。忘れる訳がないだろう?」

「なんで?」

「あの日の訳は亜也の俺に対しての本音だろう?だからあんなに考えたんだろう」

そう、あの時即答できなかったのは、自分の本音が見透かされそうだったから。

でも…気付いていたんだろうね。やっぱり彼は…私より大人だ。

「チョコがなくても告白してくれても良かったのに」

「あの日の月を忘れてたら…告白はしなかったと思う」

「そうやって…一歩引いて対処する貴方に惹かれたんですよ」

彼に頭をちょっと押されて制服越しに彼の鼓動が聞こえる。

もしかしたら…私よりも早いかもしれない。彼の鼓動。


「俺だって…待ってたんですよ。このタイミングを」

「うん」

「離しませんから。いいですね」

「うん」

「だから、コーヒーメーカーは返せません。これからもここに来るようにね」

最後に一言だけ、わざと耳元で言った。こういう行動は狙ってやってるかしら?

まぁ…いいか。そんな所も含めて好きなんだから。

「予餞会も、卒業式も噛まないようにね…亜也」

「何か…私の名前いつから読んでるの?」

「小さい事は気にしないの…な?」

これ以上言っても答えないってことなのか。仕方ない。

「今度月を見ませんか?」

「そうだね。今日は帰ろうか?」

私達は帰宅の準備をして生徒会室を後にする。


「ほらっ、亜也。すぐ転ぶからな」

彼が手を出す。手を繋いでもいいのかな?私はちょっとだけ躊躇する。

「いいんだよ。俺だけを見てろ。帰るぞ」

私は彼に手を引かれながら、私は彼と一緒に歩く。

これからはずっと二人で歩んでいく。何んとなくだけども…確信した。



I always love you. ずっと…ずっと…好き

短編の前の話の構想もあります。忘れないでまでの話もちょこっと考えはあるんですが…いつになるかは分かりません。


そのうちに…です。


次はどんなカップルでしょう?

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