異世界へ⑫
しーちゃんとしゅーちゃんは半泣きでも「ごめんなさい」を言えたので許しました。
あときちんとコーデルディアくんにも謝罪すること、と口にした瞬間2人ともあたしの視界から消えました。そして遠くで「ぎえええええっ!?」という悲鳴が……。
また怒ることが増えたじゃないの。
いや、2人の前で瞬時に消えて現れるという行為をしたルシフェルさんやサタンさんが悪いような気がする。
あの2人の真似はしないようにしーちゃんたちに言い聞かせておこう。
あとからしーちゃんたちに聞いたんだけど、花を消したり草に変えたりしたんじゃないんだって。
生えてる間隔を縮めて草原を広げただけなんだって。
「う~。う~!」
「うい」
「うん、それは分かったわ。でもね」
翼と手を大きく振りながら弁解をする2人の赤ん坊。
くっ、可愛がりたいけどあたしが今することは違うわ。
「そういうことは先に言いなさい! 後から言ったらただの言い訳にしかならないでしょう!」
2人の頭に手を置いて、ぐーりぐーりと撫でる。
ちょっと力を入れて前後にこするように。これはしゅーちゃんたちが嫌がるやり方なのです。
「「あーうー」」
2人とも頭を庇って手で覆い、あたしの手から逃れるように体を伏せた。
ついでに翼を使って上半身を隠してしまう。オムツと足は見えてるけどね。見事な頭隠して尻隠さずだわ。
「ス、スフインクス、大丈夫なのハルカ様は? 神子様方にあのような……。執行部隊がやって来たりはしないの?」
「何を心配しとるのか分かるが、落ち着ぅけ。ハルカァ様も神子であることに代わりはぁないぞえ」
「あ、ああ、そうね。一見するとちょっと分からないんで、忘れてたわ」
「シッ! 声をひそぉめえ」
いや、しっかり聞こえてるからね。
神子としての力を放出する翼がないから、見分けがつきにくいのはしょうがない。
カチューシャに装飾されている白黒の羽根くらいがあたしの放出器官になっている。それも微々たるものだし。
作っちゃったものは仕方ないので花畑の一角にレジャーシートを広げて、一時的な休息地とする。
翼のシェルターを解除したしーちゃんとしゅーちゃんにタオルケットをくるくるっと巻けば、2人はうつらうつらし始めた。
目測ではそろそろお昼寝の時間だわ。
2人を胸元に引き寄せてあたしも横になる。
初めての所でちょっと疲れたなあ。しーちゃんたちの寝息と共に、心地よい暗闇に引きずりこまれた。
ちょっとリアルがゴタゴタしてるので短い……。