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異世界へ③


 周囲に集まっている始族&終族の皆さまは、本当に多種多様でした。


 まずは普通に人型の人。男性型と女性型。髪の色は金色が多くて、赤やら茶やら銀やらとその他多色。でも黒はいないみたい。

 あと男女かまわず古代ギリシャ人みたいな服装。それか腰だけ布で覆った半裸……、か鎧姿。羞恥心とかは、期待しない方がよさそう。


 他は頭が動物だったり、鳥だったり、魚だったり、虫だったりな人たち。あ、バスカヴィールさんもこの系統だねぇー。

 服装は人型の人たちと変わらず。


 あとは完全に動物や鳥や魚や虫の人たち。

 ライオンの方は執行部隊の人なのかなあ。魚型はオルトロスさんで慣れたけど、終族の1メートルサイズのクラゲの人とか、同サイズのカタツムリの人はちょっと怖い……。


 あとは少数だけど、シュネメスティラントロゥさんみたいに形状がよく分からない人たち。

 四角かったり丸かったりと、他にどう表現していいのか理解に苦しみます。


 ここに集まったのは三百人くらいで、それでも見渡す限りの範囲内にいた人たちだけだとか。

 それはまたずいぶんと1人辺りの空間が広そうなことで……。


 『新しい神子様ばんざーい!』と言ってぴかぴか光り出す人や、『新しい神子様! どうか我等に道を!』とか言って平伏する人。『神子様! 神子様!』と鼓舞しながら数十人で翼をバッサバッサ鳴らす人たちがいて、「どうしろと?」とおろおろしてました。


「ぷうー!」

「うー! むー!」


 「うっとーしーわっ!」と額にしわを寄せた赤ん坊2人の翼の一振りによって、『きゃー!』『わー!』と吹き散らされちゃったんだけど。

 ずっごい楽しそうな歓声だったわね。いまの……。


 ポカ―――ンと現状に置いてかれていると、サタンさんが爆笑してた。


「ぶわはははは! ハルカが唖然としてるぜ!」

「笑ってはいけませんよ、サタン。彼女もこのような事態に遭遇するなどとは、まず思わないでしょうし」


 苦笑しながら言うルシフェルさんも、対して変わらないと思うんですが。


「ぷ!」

「お、え!? ま、待て()ン! おまっ、その振り上げた翼はどうする気だこら!」


 ほっぺを膨らませ、怒ってますという顔のしゅーちゃんが、サタンさんへ向けて翼に剣呑な赤い光を灯した。


「むいむい」

「あうー!」


 しーちゃんが「やっちめー」と頷くと、ブォンと物騒な音を立ててしゅーちゃんが翼を振り下ろす。4分の1円くらいの赤く染まったどこかで見たような物体が、サタンさんへ向かって飛んで行った。


「どおおおっわっ!? あ、あぶねーな坊ン! 殺す気かぁ!?」


 サタンさん。避けるのはいいんですが、その先で大きくUターンした『某特撮ヒーローの放つブーメラン』、戻って来てますよ。


「おいハルカ、何処見て……。っぎゃああああああ!」


 あたしの視線で後ろを振り返ったサタンさんは、ソレを視認するや否や高速でこの場から飛んで行ってしまった。着かず離れずの距離を保ちながら、しゅーちゃんの放ったソレもサタンさんを追って行く。


「……しゅーちゃん?」

「むぷー」


 なんで晴れ晴れとしたやり遂げた顔で、無い汗を拭っているのかねキミは。


「は、ははは……。今までにない洗練された力の使い方、ですね……」


 なんで引きつった顔で絶句してるんですかルシフェルさん。

 もしかして今みたいなこと、割と普通にあった日常の光景なんですか?


 これもテレビ学習の成果と言えばいーのかなあ。




 しゅーちゃんを胸に抱きかかえながら、改めて周囲を見渡してみる。


 端から端までエメラルドグリーンの空間は南国の綺麗な海、みたいな印象があるけれど。ここまで一面にとなると、ちょっと落ち着かないイメージがあるなあ。


「にゅーむー」

「うー」


 しーちゃんとしゅーちゃんはお昼寝モードになってしまったので、ケースからタオルケットを取り出してしーちゃんに掛けてあげる。しゅーちゃんはあたしの服を掴んで離さないのでタオルはなしだ。


 ルシフェルさんは「何かあったら呼んでください」とサタンさんが消えた方に行っちゃいました。


 シュネメスティラントロゥさんもオルトロスさんの背中に降りて寛ぎモードらしい。あたしが赤ん坊2人の世話を焼くのを興味深そうに見てるけど。


 スフちゃんもこの機会に個人的な用事を済ませてくると言って何処かへ飛んでちゃった。



 いやー。のんびりとした空間ですね、ここ。時計を見たら家をでてからもう12時間ほど経過してたけど……。

 望さんが持たせてくれたお弁当を取り出して、赤ん坊が起きるまで食べるのは少し待とうかな。


 未だにオルトロスさんの背中の上なんだけど、少しずつ移動はしてるらしい。なんで降りないのかというと、あたし自身は空を飛べないからなんだよね。


 一応地表はあるんだ、地表は……。


 最初に言った大小さまざまな四角(サイコロ)形なのが地表なのである。この世界は。


 ふよふよと漂って来た、一辺60センチメートルの緑のサイコロを手にとってみましょう。

 手触りは芝生のような草です。草をかき分けてみると土があります。一面に手を触れてみると軽く引かれるような力場があります。ちなみに立てることが可能だそうですよ。


 シュネメスティラントロゥさんによると、この四角形がこの世界の大地だそうで……。

 小さいものは30センチメートルくらいから、大きいものは端から端までオルトロスさんの数十倍のものまであります。


 中には森が広がってたり、こんこんと泉が湧いてたり、河が蛇行して流れ、四角形の端っこから盛大に終わりの見えない滝となって流れ出ているのもあります。

 水源とかどーなってんのここ!?


 降り立つのは構わないんだそうですよ。

 でもこの大地、始族か終族の誰かが個人的なナワバリにしてるのもあるらしく、神子なあたしたちならよくても、一緒にいるスフちゃんやシュネメスティラントロゥさんと戦争になる可能性もあるらしい。


 ……喧嘩なら分かるけど戦争ってなに?


 余計な厄介事を避けるため、スフちゃんが知り合いの所有する大地に交渉しに行ってるんだって。

 あたしたちを一時的におけないかって。


「あれに頼りますか? あれはあれで結構変人なところがありますわ」

「変な人はもう充分見たような気がするんだけど」


 どうやらシュネメスティラントロゥさんは、スフちゃんが交渉に行った相手を知っているもよう。

 というか、さーちゃんに『大使館が置けるかどうか見てきてくださいね』って頼まれたけど、自力で次元の壁を突破して自力で飛べる人がいないと、まず無理……。

ネットの接続状況が悪いので、次の投稿は少し間が空くかもしれません。

たぶん10年くらい交換していないルーターのせい(苦笑


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