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イケメン襲来



「ぷっぷぷ、ぷっぷっぷ~」

「あぅあ~わぅ~あ~」


「神子様たちはご機嫌でおますね」

「さすがにこうなると、何て歌ってるんだか聞き取れないわね」


 最近は歌うのがしーちゃんたちのお気に入り、なんだけど、全部テレビの影響だ。良いことなんだか悪いことなんだか……。


 それはいいとしても、影響される周期がやたらと短期間なんだよねー。相撲もプロレスごっこも今はなりを潜め、クマのぬいぐるみはライオンのぬいぐるみと飾られてるって状態です。時々もこもこ動いてるくらいね。


 飽きっぽい多趣味っていう感じかなぁ。さーちゃんの見解では、凄い早さで学習しているってことらしいんだけど。まさかねえ。








「お茶よーし。お茶菓子よーし。退避よーし」

「ぷぷ~、ぷぷ~、ぷぅ~」

「むうい、あー」


 あたしが指差し確認していると、真似するようにしゅーちゃんが続き、しーちゃんが「構ってー」と着物裾を引っ張る。はいはい、ちょっと待ってね。


 部屋の隅っこでスフちゃんだけが座ったまま不動の如く。実際にはカチコチに緊迫しているというか、毛の生えた陶器製の置物みたいというか。


 事の起こりはスフちゃんが報告やらなんやらを済ませて戻ってきた時に、ついでにルシフェルさんからの伝言を携えて来たことだ。


 それによると、神子様方(あたし含む)の様子を見にルシフェルさんが直接来るんだそうな。サタンさんと違って先触れしてくれるのは有り難い。その日は朝から諸々の準備をしてくれた渕華さんと望さんには、離れから退避してもらう。自分の身の回りならひとりでなんとかなると思う、たぶん。


 以前あったサタンさんの来訪時みたいに存在酔い(?)されたらたまりませんからね。その辺思うんだけど、しーちゃんやしゅーちゃんも大人になったら神力やら存在力やらが増大して、周囲に人が近づけなくなるのかしら? 


 





 日程的には正月、三が日が過ぎた頃。


 正月は一族で集まって大宴会、無礼講もあるよ? みたいな感じだった。一応参加したんだけれど、開始早々昔世話した子(今は全員老人)に囲まれました。あたしの周りだけ平均年齢が六十超えとか。まあ、あたしも実年齢でいうなら人のことは言えませんが。分家のお婆様方が周りを固めていた為に、人垣の向こうでポツンと寂しそうな静流ちゃんに気付くの遅れたし。最後の方は長女の茉理ちゃんも込みでガールズトークしてたけど。


 ただ、しゅーちゃんたちが以前の栄蔵兄さんとの一件でお酒に拒否感を持ってしまい、


「では大伯母上様、一献」


 ……とか言って酒瓶持参で近付いて来た分家の若い人を、ドーンとぶっ飛ばしちゃったんだよねー。「神子の機嫌を損ねた!?」と、その場は一時騒然となっちゃって。大丈夫だから、と納得してもらうのに骨が折れました。本来なら一族の付き合いの関係上、十五歳くらいには酒に馴らされるんだけど。当時のあたしは病弱なのもあって、そういう行事とは無縁だったし。


 そう言えばルシフェルさんってばお酒とかは嗜む方なんだろうか? サタンさんに付き合ってお酒飲んでそうだけど、最初に会った時は御膳に少しも手をつけてなかったしなあ。


 膝の上でごろんごろんとひとり遊びをしているしーちゃんを抱き上げ、縁側まで移動する。西の空を見上げてみるけどまだ来るような感じはしない。午後くらいとは聞いたけど、果たして始族に時間の定義があるのかな?


「ルシフェルさん来るのは夕方くらいなのかな?」

「あぅむぃ」

「え? 来た?」


「こんにちは、ハルカ殿」

「ってわあっ!?」


 いきなり横から十二枚の白い翼をたたみ終わったルシフェルさんに声掛けられました。何時現れたんですかっ。揺らぎも見せずに出現するとか、どーゆー移動方法なの?



 いまだにスフちゃんの話し方が安定しない……。


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