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散歩道・本家③



 気を取り直して散歩散歩。


 裏庭には廊下に沿って横に続く、岩と砂と砂利と、点在する松の木。うーん、これこれ。この物悲しいような感じがなんか好きなのよねー。よく、さーちゃんには「年寄り臭いですよ」とか言われてたけど、今はもう年齢的には年寄りだから何の問題もないよね!


 でもあたしもややこしいな、この現状って。

 履歴書とか書くことがあれば、どうやって書き込めばいいのかなあ? 『○○年高校中退』まではいいとして、その後に『~○○年コールドスリープ』とか書いたら噴き出されそうだよね。



 まあ、ぼんやりしながら眺めて考え事をするのは昔の定番でしたが、今はそんな事も中々出来ないと断言しよう。


「こらこらしーちゃん! 砂をかき混ぜようとしないの! しゅーちゃんもそっち行っちゃダメでしょ!」


 ちょっとぼんやりしようとしたら、二人ともあたしの所から飛び出しちゃって。砂の上で羽ばたくわ、手を突っ込もうとするわ。こっち側から注意すれば松をむしろうとするわ、砂に座ろうとかするわで、悪戯っ子にも程がある。


 たぶん、あたしがぼんやりしているのが嫌なのらしい。二回も注意したら満面の笑顔で戻って来るし。


「これで綺麗な風景なんだから、弄ったらダメだよ二人とも」

「ぷー」

「むー!」

「遊ぶ所じゃないの。見るだけの所なのよ。二人もテレビ見ていて、いきなり消されたり、チャンネル変えられたら嫌でしょう?」

「あぅ」

「うー」

「作った人から見れば、苦労が台無しにされるんだよ。自分がされて嫌な事は他の人も嫌なんだからね。だから弄るのはダメ、分かった?」

「ぷぃ」

「むー」


 しゅんとうなだれちゃった。ちょっと例えが変かもだけど、やって良いことと悪いことは教えておかなくっちゃね。始族や終族の庭に枯れ山水があるかは疑問だけど。


「相変わらず遥様は凄い人やんなァ」

「凄くない凄くない。スフちゃんもここは入らないようにね?」

「分かってますえ。坊ン様方みたいに遥様に怒らーれたくはのうですから」


 あたしにしがみつく二人の頭を撫でり撫でりして落ち着かせる。しゅーちゃんもしーちゃんも翼を小さくして腕の中。下から見上げてくるあどけない瞳。ううっ、この目に弱いんだよね~、何でも許せる気がしてさー。


「えこしゃん!」

「は?」


 舌足らずな声と共に背後から軽い足音がして、屋内へ続いている廊下より小さな子供がこっちへやって来た。上下繋がった幼児服に涎掛けを首から下げて、目を輝かせている二歳か三歳の男……の子? 本家にいるって事は直系に連なる子でしょう。なんとなく見た目からして、さーちゃんの孫かそこらかな?


 もう一度「えこしゃん」と言うと、スフちゃんに近付いた。あたしとその子を交互に見て「どうしまっしょ?」とか聞いてくるスフちゃん。「いいんじゃない?」と返すと、おずおずと手を出したその子に体を擦り付けるスフちゃん。


 ぱあっと満面の笑みを浮かべたその子は床にぺたんと座り込み、スフちゃんの頭や背をペタペタと撫で回す。あたしのほうなぞまったく眼中にないという様子。さすが子供、視野狭窄ですねー。


「まあ、かなえ様!」

「え? 望さん、この子知ってるの?」


 あたしの後ろで、望さんが目を丸くしてびっくりしてた。



 エコと言えば「D」。

 それにしても、この編の一話毎は短すぎるかな?

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