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猫ふえる

 

 さて、スフインクスちゃん、「呼びにくいようでしたら略されてもよろしゅうっすよ」とか言われたので、略してスフちゃん。彼女? に色々、始族や終族の神子に共通する生態について簡単に教えて貰いました。スフちゃんの前身は前の始族の神子を面倒見ていた乳母だったそうです。


 まず、本来であれば食事は必要としない。これは神の種酒(ソーマ)を飲んで不老不死となったあたしにも共通するらしいのですが。じゃあなんで生きてるんだ? と問われると『エーテル』とか言う世界を誕生させ、構成している謎物質を体が適当に摂取しているらしい。但し、地球側はあちら側の世界に比べると謎物質の存在密度が低い為、食事をも必要としているのではないか? と言う見解だそうな。しかもこの場合、食事自体が嗜好品のような物で、食べなくても別に影響はないらしい。


「ええとつまり、地球側は薄いけどエーテルはあるから、何も食べなくても餓死する心配はない?」

「ええまあ、そないな感じで」

「あーぷー!」

「あーむー!」


 しゅーちゃんとしーちゃんはあたしの前、スフちゃんに抗議するみたいに座って、二人で自分たちのお椀を持ち上げている。食事制限反対! って言いたいんでしょうねー、多分。なんと微笑ましい。つか、そのお椀どうやって持って来た? あたし、目ぇ離してないよね? 二人ともこの部屋でさっきまで寝てたよね?


「まァ、姐さんも坊ン様方も餓“死”するなんてぇ夢のまた夢でしょうね」

「あー、不老不死だっけ……」


 この意味は分かるけど、実感は湧かない。多分、分かるのは少し年月が経って、他の人との差が明確に現れてからだと思うな。ただでさえ、さーちゃんたちと五十年の隔たりがあるからねー。一応、この会話は渕華さんや望さんにも聞いてもらっている。二人もさーちゃんに報告の義務があるだろうしね。


「あと、姐さんの立場ですが、坊ン様方と同等のような感じで両族に認められましたーに。覚悟しとぅてください」

「…………は?」


 なんだそれ? と首を傾げるあたしにスフちゃんがしてくれた説明によると、とてつもない例外ではあるが、公式的にも神子扱いだそうな。それは何か、あたしもこの子たちみたいに蝶よ花よと育てられなきゃなんないのか? 何年か経ったら生まれ変わってこの子たちみたいな赤ん坊になるんだろうか?

 よく判らない。先の事はさておくとして、神子並みであればそれなりに強い力を秘めているらしいが、おそらくそれは使えないのだそうな。


「わちらの力の放出器官がこの翼なんですのや。姐さんには翼が無いから、使う事が出来ないと思いますねん」

「ええとつまり、文字は知っていても筆記用具がないから字は書けない、とかの認識でいいのかな?」

「ええ、その場合には姐さんは先ず文字の勉強をせにゃならんでしょうねぇ」


 だからって力なんか持ってたって使い道なんかなさそうだしなぁ。手足があって科学の産物があって、これ以上望んだって扱いきれんわ。


「あーあぷー」

「むーあー!」

「はいはい、ご飯はなくなったりしないから。あとお椀は返そうね」


 あたしの浴衣を掴んでくいくいと引っ張るしーちゃんを撫でて落ち着かせ、お椀を振り回すしゅーちゃんを抱き寄せる。ついでにお椀を渡して貰い、望さんへ返す。望さんも「いつの間にここに?」と首を捻っていた。






「じゃあ、スフちゃんはここに住むってことでいいのね?」

「は、はぁ。ルシフェルのアンさんとサタンの旦那との繋ぎも必要でっしゃろ?」


 スフちゃんの答えを聞いた望さんが一礼して「では、部屋を用意させますね」と言ったら、慌てて首をぷるぷる振った。


「いや! そんな客人扱いせんでえぇから!」

「でも、始族様からのお客様ですから、蔑ろにしてしまうと私たちが怒られてしまいます」


 どうしましょう? と困り顔をする望さんの目は楽しそうだ。計ってますね……。


「だったら、この部屋で一緒に住めばいいんじゃない?」

「ひぇっ!? 坊ン様方と一緒だなんて恐れ多い」

「あとはお客様扱いで広い部屋にポツンとひとりだけ、とかの選択肢しかなくなっちゃうけど、どっちがいい?」


 あたしと望さんと顔がもうニヤニヤ状態の渕華さんと、しーちゃんとしゅーちゃんの視線を受け、汗だらだらのスフちゃんが最終的にだした答えは……。


「……一緒の部屋でいいどす……」


 やったね、あたし、同居人が増えるよ。




 メインがぜんぜん進まないのでコッチを更新しました。

 書いてはいるんですけど進まない。……何故だ?

 

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