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第33話結子から甘人の匂い洗われる
一方、風呂場で結子は身体を洗うと気づいた。
「はっ、これじゃあ甘人くんにおいがなくなっちゃったよー」
悲鳴をあげた。いとしい男の匂いがぬくもりが自分から消えるのは凄まじい悲劇である。
しかし人間が社会的生命体である以上身体を洗わないと不潔極まりない。これは仕方のないことなのだ。
「あーあ」
結子はやけくそとばかりに髪の毛を荒っぽく洗う。
彼女が使うシャンプーやリンスは当然彼の母親と同じものだ。
(これだとお母さんと同じ匂いなのよね・・・)
結子はちょっと嫌な気分になる。
しかし以前これを使った時甘人はこう言って抱き着いたのだ。
「なんかお母さんの匂いがするー」
「え?お母さんの?」
その時甘人に甘えられて結子はちょっと戸惑ったが同時に嬉しくなっていた。
だが今彼女は結子にとって甘人との二人の時間を邪魔する存在に見えるのだ。
「はあ・・・」
溜息をつく。
(ないものはしょうがないわね・・・)
今度自分用のを別でもってくるようだと思った。




