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黒刀の勇者  作者: 阿化佐棚
シヒリ樹海編
5/5

敵襲

「総員、行動開始」


 その一声と共に扉の前からそれの気配が消えた。

 それと同時に、シケリが二人に覆いかぶさる。

「ちょッ…」「まっ…」

 二人が言葉を発しようと口を開けて声を出す。

 それと同時に壁を貫通して何かが3人のすぐ上を轟音と共に通り過ぎる。


「何!?何が起きてんのよシケリ!?」

 イズがシケリに尋ねる。

「敵襲です!何故かは分からないですし、誰かも分かりませんが!」

「はぁ!?ってか何でここに他の人間が来れたのよ!?結界は!?」

「あの刀です!恐らくあの刀の力が強すぎてここでも結界を弱めているんです!」

「じゃあ今攻撃している人たちは何ですか!?」

「全く知らないです!とにかくお二人だけでもお逃げください!」

「嫌よ!シケリを置いていけるわけないじゃない!」

「そうですよ!一緒に逃げましょうよ!」


 そう訴える二人をよそにシケリは不敵な笑みを浮かべる。

「心配は無用ですよ、伊達に何十年も稼働していませんから」

 そう言ってシケリは右の掌を開き、「『SAGO(サーゴ)』」と呟いた。

 その瞬間、シケリの掌が青白く光り出し、そこから鏃が顔を出す。


「シケリ…本気なのね…」

「本気って…シケリさんを止めないと…!」

「こうなったシケリは何を言っても無駄よ…こうなったら言われた通り二人で逃げるしかないわ」

 そう言ってイズはユハの手を取って家の奥へ進んでいく。

「ちょっ…」

 ユハは反論をしようとするが、イズはそれを許さないとばかりの力でユハを家の奥にある扉へ連れて行く。

「さあ入りなさい!」

「でも、シケリさんは…!」

「大丈夫だから!早く!」

「…ッ!」

 その声に気圧されたのか、ユハは黙って扉の向こうへと入って行った。


 イズもそれに続こうとしたが、少しの逡巡の後にシケリの方を向いて叫ぶ。

「シケリ!結界の外で待ってるから!」

 そう言ってシケリの返事を待たずにイズも扉の先へと進んでいった。

「…ええ、私もすぐに参ります」

 一人居間に残ったシケリは生み出した矢を見ながら呟き、微笑んだ。



 ◇ ◇ ◇




 ~ユハたちが襲撃を受けてすぐ~

 ユハたちが居た家に攻撃した張本人、オディス・リージンは少し離れて静かに状況を見守っていた。

「…出てこないな」

「そうっスね…もしかしてもう逃げたとか…?」

「いや、それは不可能だ」

「そうっスよね、だって周りに結界張ってますもん」

「そうだよな…マルル、ネイデオからは?」

「もうすぐ魔術陣が完成するそうっス」

 マルルと呼ばれた緑の髪の女、セイユ・マルルは眼鏡をクイっと上げて答える。


「…あまりに動きが無いな」

「『総員』って言葉にビビッてるんじゃないんスか?そんな言葉使われたら大勢いると思いますよ普通。まあ実際には3人しかいないし、なんなら行動してんの1人だけですけどね」

「…あまりからかうな、私とて適切な言葉を知っていたらそちらを使っている」

「ははっ、すんません」

 そんなやり取りをしている二人の元に同じ制服をした男が現れる。


「リージンさん、陣が完成しました。いつでもいけます」

「分かった、ありがとうネイデオ」

 そう言われた黒髪の青年、リジャロ・ネイデオは少し恥ずかしそうに「…うっす」と呟いた。

 そんな彼をセイユはニヤニヤして見ていた。

「…なんだよ」

「いや、別に?」

 そんな彼らのやり取りに呆れながらオディスは二人に指示を出そうとしたときだった。


「「「!?」」」

 それは、空に浮かぶ青白いエネルギーで形成された矢。

 鏃は地上の方を向いており、襲撃者を攻撃しようとする意志がよく分かった。

 しかし、それ自体は魔法を操るものたちとしてはよく見るものであった。

 ただ、特異な点としてはその数。

 家を中心に隙間なく大量の矢が同心円状に広がっており、それはオディスたちが居る場所にまで展開されていた。

「なんスか…アレ」

 セイユが驚愕の声を出す。

「ッ…ネイデオ!今すぐ陣を起ど…」


 オディスがリジャロに指示をしようとした刹那。

「『星冴(ペル・パレリ)』」

 その声と共に大量の矢が落下を開始した。

「ックソ!」

 そう言ってセイユが地に両手をついたと同時に、矢の速度が急速に上がった。

「『当たるな』…!」

 そう唱えた瞬間、3人の頭のすぐ上まで来ていた矢の軌道が逸れる。

 そして次の瞬間には地上に大量の矢が降り注いだ。

 地面に当たった矢は小さな爆発を起こしながら消滅する。

 それにより周囲の木々が倒れていき、あとに残ったのは家であったものの残骸と倒木のみであった。


 オディスは周囲の状況に驚きつつ、誰かに話しかけるように呟く。

「これは…すごいな」

「だろ?かなりの大技さ、気に入ったか?」

 そう言いながら家のあった方角から剣を携えたメイド、シケリが歩いてくる。

「…お前らだな?私らを殺そうとしてきたのは」

「そうだが…お前は誰だ」

「はッ お前らみてえな奴らに教える名はねえよ」

 そう言ってシケリが剣を構える。

「そうか…それは残念だ」


「…ッ!」

 オディスがそう言い終わった瞬間、シケリは何かに気づき姿勢を低くする。

 そのすぐ後に何かがシケリの頭上を高速で通過した。

 何が通過したかを確認せず、シケリは剣を宙に浮かべてセイユへと放つ。

 しかし、その剣はセイユに当たらずに虚空へと消える。

「まじか…!」

 シケリが驚きのを呟いたと同時に、セイユが地上に手をつこうとする。

 それを見た瞬間にシケリはすさまじい速さでセイユの元へ走り出した。

「…ッリージンさん!」

 リジャロが叫びながら剣を引き抜き、シケリへと正面から突撃する。

「ああ…!」

 それに応えながらオディスは片目を瞑る。


 その間に、リジャロが素手のシケリが衝突した。

 リジャロの剣がシケリに刺さり、動きが止まる。

 しかし、リジャロの顔には絶望の色が浮かび上がっていた。

「リージンさんッ!こいつ…!」

「『(ハヤブサ)』…!」

 リジャロが報告するよりも早くオディスが魔法を唱えた。

 その瞬間、先ほどよりもさらに速いスピードで何かがシケリの頭を貫く。

 それと同時にセイユがいる後方でドゴォン、と音がしてオディスは嫌な予感と共に後ろを振り返った。

(こいつッ…!)


 そこには胸に剣が突き刺さったまま動かないセイユと、既に居合の姿勢をとっているシケリがいた。

読んでくださりありがとうございます。第5話です。なんとかギリギリ1月に投稿出来ました。ほんとによかった。いやマジで。

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