は、はひめまひへ!
い!
アイス事件の後。おれは帰宅していた。昼間はお母さんは働きに出ているから家にはおれしかいない。とりあえず適当に昼飯をすませて、やることもないため夏休みの課題に取り掛かっていた。
「明日はなにしようかな。おばあちゃんの家に行くのは明後日からだし。んーーーー」
あぁ、やばい。眠気が。昼ご飯も食べ満腹状態。課題をするのに頭を使い、心地よい疲労感。うたた寝をするのには最高のスパイスだ。
「お母さんは返ってくるの夜だし、、少しだけ寝よ、かな」
そしておれの意識は直ぐにまどろみに沈んだ。
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「ねえねえ、ほんと?ほんとに私に会いに来てくれるの?!」
それは幼い頃に交わした約束。
「うん!ぼくが--ちゃんに会いに行くよ!だから泣かないで!」
「約束だよ!私まってるから!」
おれはこの約束をだれとしたんだっけ。その子は今も待ってくれているのかな。もしその子とまた出会えたら謝りたいな。
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「ただいまー」
その声とともにおれは目を覚ました。
「ん、あれ、寝すぎた、?」
「かなめー!いるのー?」お母さんが帰ってきたようだ。
「う、うんー!いるよー!」
「あらそうなのね。じゃあご飯しちゃうわねー」
今は19時。あれから約4時間半程眠っていたらしい。
「あぁ首がいたいいい、寝違えたなこれ」と首をさすりながら部屋を出て1回に降りた。
「おかえりお母さん今日は少し遅かったね」
「そうなのよー。ほんと急に別の仕事頼まれてねー。まったく」
おれの家には父親がいない。7年前に亡くなった。それからお母さんは家を支えるために1人でずっと働いてくれている。だからだろうか。おれには反抗期というものが無かった。お母さんにはほんとに感謝し切れないほど感謝している。
「今日は晩御飯なにするの?手伝うよ」
「あらほんと?助かるわー。そうねオムライスでいいかしらね」
オムライス。なんと美しい響きだろう。程よい濃さのケチャップライスをふわふわの卵で包み込む。ああ想像するだけでヨダレが垂れてくる。
「それなら1人でできるからお母さんは休んでていいよ!」
「そう?ならそうさせてもらうね!」
そういいお母さんはソファでくつろぎだした。
「よし!つくるか!」
おれは気合いをいれてオムライス作りに取り掛かった。
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ご飯を済ませ、お風呂も終わり、おれは再び部屋にいた。お母さんは明日も仕事のようでもう寝てしまった。時刻は22時。
「んーー。昼間寝すぎたからなー、眠れない。なにしよう」
そういえば昼間も夢を見た気がするな。なんだっけ。最近よく見る夢に似てた気がする。
「ゲームでもするか」
おれは考えるのを放棄してゲームでもして暇を潰すことにした。お小遣いと短期バイトでお金を貯めて買ったゲーミングPCを起動し、1つアプリを開く。5v5の爆弾解除ゲームだ。最近のお気に入りだが、これがまあ難しい。なかなか敵に弾を当てられない。それに飽きたらつぎはアドベンチャーちっくなゲームを始めた。このゲームはなにも考えずに広大なマップを探索し、キャラとの交友を深めれる。やっぱfpsをしたあとはこうゆうまったりしたやつに限るなー。
そんなこんなで気づけば日付が変わっていた。
「もう2時じゃん」いい感じに眠くなってきたし、寝ようかな。
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次の日。おれは特になにかするでもなくだらだらと時間を過ごしていた。
「明日はおばあちゃん家か。久々だなあそこに行くのは。お父さんが亡くなる前に行ったのが最後だったかな」
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そしてあっという間に時間が過ぎ、予定の日になった。
「要。お義母さんによろしくね。あんまり迷惑かけちゃだめよ?」
「うん。分かってるよ。お母さんは休みの日にくるんだよね?」
「ええ。今週の日曜日になるかしらね」
「うん。わかった。じゃあいってくるね!」
「ええ行ってらっしゃい。気をつけるのよ」
「はーい!」
ここからおばあちゃん家には電車で都会の方に出てそこから港に行き、船に乗り、降りたらそこからまた電車に乗ら無ければならない。時間にして約4時間。
「ふぅ。やっと着いたでござる!」
だめだ。疲れで語尾がおかしくなっている。と、とりあえずおばあちゃん家まで行くか。
「久々だから道、覚えてるかな」
まあ適当に行けばそのうちだろう。そう思いおれは歩きだした。
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夢見諸島。いくつかの島々が連なっている最北端におれはいる。
「このへんだったはずなんだけどな」
おれは迷っていた。山のど真ん中で。そもそもこの島は山に川に海にと自然に囲まれているため、自分がどこにいるのかさえ怪しくなっている。その時だった。ぽちゃっと音がした。
「?水の音?」
なんだろう。気になって音のする方に向かった。そこは水辺だった。奥には滝のようなものもある。しかし、おれの目を1番引いたのはある1人の女性。色素の薄い肌に、処女雪のような髪。こちらからは横顔までしか確認できないが、なかなかに美人なのだろう。
(きれいなひとだな)そんなことを思ってしまった。
釣りをしているのだろう。手には竿を垂らしていた。
「ん?だれ?」
彼女がおれに気づいてこちらを振り返った。やはりというべきかかなり整った顔をされている。
「は、はひめまひへ!」
「え?はじめまして?」
噛んだ。それも盛大に。恥ずかしい消えてしまいたい。
「あ、あの道に迷ってしまって。大きな道路に出るにはどうすればいいですか?」
「んっと、それなら後ろに進んで行けば出れるよ?」
「あ、ありがとうございます!」
おれは体を翻し、走ってその場から飛び出した。
いまだに高鳴り続ける胸を抑えながら。
ヒロイン登場でやんす!あにきいいぃ!