16話 スーパーカー刑事
辰之助を乗せたパトカーは、千倉警察署に着いた。
「ワシは人など殺した事などない!」と抵抗するが警察官は聞く耳を持たず、署内の取り調べ室に入れられた。
取り調べ室の椅子に座らせると、警察官から暫く待つよう言われる。
辰之助は、「何も知らないから、話す事などない!」と訴えるも虚しく響く。
一台のスーパーカー 〝ランボルギーニ・ミウラ〟が猛スピードで千倉警察に横付けされる。
〝ランボルギーニ・ミウラ〟真っ赤なボディで、低い車体はまるで地面に貼り付けているようであった。
運転席から美形の一人のスーツを着た30代であろう男性が降り立つ。
「う〜ん、海の香は最高なんだけどね、ボディ錆びないかな?」と一言と漏らすと、「綾小路警部!」と警察官が二人近寄る。
「なんか、厄介な事件らしいじゃない?」と長い前髪をかき上げる。
「そうなんです!こんな静かな街で〝死体〟と〝拳銃〟がでてきまして、是非敏腕をおみせください!お車は移動しときますので!」と運転席に乗り込もうとすると、綾小路は、「ダメダメ!クラッチが削れちゃう!」と必死に止めた。
綾小路は誘導されて〝ミウラ〟を爆音を出して移動させた。
窓から「例の物頼んどいて!〝特上〟ね!」と警察官に指示をだした。
取り調べ室
辰之助が座らされている部屋の扉がバタン!と開く。
「お待たせ!お爺ちゃん!来てそうそう悪けど、話そうか!僕時間ないんだよね!今日さデートでさ!なんで、殺して埋めちゃったの?」と綾小路が入ってくる。
綾小路は、辰之助の向かいの椅子に座ると長い足を放り投げるように組んだ。
辰之助は、「知らん!見に覚えなどない!」と開口一番に、全否定をする。
綾小路は、勝也達から、取り上げた地図をバン!
と机の上に置く。
「じゃあこの地図は何の為に書いたの?何を孫達に掘らせるつもりだったのかな?」とデュポンのライターを出して、ラッキーストライクを一本咥え火をつけて、〝どうぞ〟と辰之助に勧める。
「タバコは〝わかば〟しか吸わん!アメリカかぶれが!」と辰之助を意固地にさせた。
「あのね、えっと‥酒田辰之助さん?あんた昭和25年まで、千倉で先生してたじゃない、その時埋めちゃったの?」と辰之助を見つめる。
辰之助は、「な!」と自分の過去が、簡単に知られている事に驚いた。
綾小路は、警察官に「〝例の物〟持って来て!」と指示をだす。
運ばれてきたのは、湯気の立つ〝ホカホカ〟の特上のカツ丼であった!
「さあ!お爺ちゃん!お昼まだでしょ!カツ丼!〝太陽に吠えろ〟でもさ、犯人が〝すいません!〟
って言ってかき込んで白状するじゃない?さあたべて!」と勧める。
「いらん!死体など知らん!」と後ろを向いた。
綾小路は、「あれ〜おかしいな?いつもはこれで決まるんだけどな‥」と頭を掻いた。
取り調べ室に沈黙が再び訪れた。